少数派シリーズ 特設|新型コロナウイルス VOL.140
①コロナ保険が感染拡大で一旦休止 ②医療費1兆4千億円減少 ③がん検診17%減
■10万円の保険金を受け取れるコロナ保険を販売したが想定以上の感染拡大で休止に
毎日新聞・東京新聞(趣旨)/第一生命保険は、新型コロナウイルスに感染した加入者が10万円の保険金を受け取れる保険商品の販売を一時休止した。傘下の第一スマート少額短期保険が、4月に募集を始めた「コロナminiサポほけん(特定感染症保険)」。3か月の保険料が890円から最大で2270円まで、感染動向に応じて支払う保険料が変動する新しい商品だったが、「5波」で感染者が急増し、同社の想定を越え価格の維持が難しくなった。9/28の時点で、約2.5万件のうち、150件以上の支払いをした。10/1から、保険料を2270~8090円と大幅に引き上げ、販売を再開した。経済評論家の荻原博子氏は「正社員なら疾病手当で給料の大半がカバーされる。自分にとって本当に必要な保険なのか、冷静に見極めたほうが良い」と語った。
■20年度の医療費は過去最大の減少1兆4千億円、コロナ禍で受診を控えたことが影響
毎日新聞・しんぶん赤旗掲載/厚生労働省は、病気やけがの治療で2020年度に病院や診療所に支払われた医療費は42兆2000億円で、前年度から1兆4000億円(3.2%)減りました。この減り幅は過去最大です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う受診控えが影響しました。1人あたりの医療費は33万5000円で、1万円減りました。減少は16年度以来ですが、この時は前年度に登場した高額薬がその後値下げされたことが影響しました。概算医療費は、社会保険料や税金、患者の窓口負担分を集計したもので、全額自己負担の医療や労災は含みません。また国が費用をまかなうワクチン接種は含まれません。受診控えが健康悪化につながっている実態が各種調査で明らかになっています。
医療費の内訳は、「入院」が3.4%減の17兆496億円、外来受診や往診などの「入院外」が4.4%減の14兆2072億円。「歯科」は0.8%減、「調剤」は2.7%減でした。診療科別に見ると、減少幅が最も大きかったのは「小児科」(31.5%)、耳鼻咽喉科(24.4%)が続きました。新型コロナの感染を心配して、病院に足を運ぶ機会を減らした人が多かったのが影響しました。1年間に医療機関で診察を受けた患者を「1日あたり1人」でカウントした「受診延べ日数」は前年度比で8.5%減りました。特に外来は10.1%減っています。病気別では、風邪などの呼吸器疾患で減少が最も大きくなりました。マスクの着用や手洗い・うがいなど、感染対策が定着したことが要因とみられ、前年度から5700億円減りました。心臓や血管を含む循環器系も1700億円減り、ほかの病気でも減りました。年齢別では未就学児の医療費が2割近く減っています。
■がん検診は19年比17%減、受診者が1~2割減れば1~2万人が見つけられない
しんぶん赤旗掲載/日本対がん協会は、2021年上半期(1~6月)に胃や大腸などのがん検診を受けた人は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年同期比で約17.4%減となったことを発表した。協会は7~8月、市町村のがん検診を受託する全国42支部に受診者数などを質問、32支部から回答を得ました。同期に胃、肺、大腸、乳、子宮頸(けい)のがん検診を受けた人は延べ156万6022人。19年上半期(189万5708人)と比べ、約17.4%減となりました。※20年上半期(70万4385人)。各検診の減少幅を今年と比べると、胃がんが最も大きい約21%で、肺がんの約20%、乳がんの約17%が続きました。同協会は、検診数の伸び悩みについて、市民の受診控えが続いていると分析。また3密回避のため人数制限を設けた会場があるほか、自治体がワクチン接種の準備などに追われ、がん検診まで手が回っていない可能性を挙げました。同協会の小西宏プロジェクトディレクターは「受診者が1~2割減れば、がんが見つからない人が全国で1~2万人増えると推測される」と指摘。早期に発見できれば治る可能性も高いので、感染対策をした上で検診を積極的に受けてほしい」と呼び掛けています。
しんぶん赤旗の複製可能範囲内において、投稿者によって一部割愛や
それに伴う接続文章等の修正・タイトル付けを行いました。
投稿者からのひと言/せっかくのコロナ保険が、感染拡大でパンク(休止)してしまうとは何とも皮肉だ。医療費の減少、がん検診や人間ドックなども減少している。コロナ感染・死亡が注視されているが(それ自体は重要なこと)、問題はコロナの影響による一般医療への受診控えや診療・手術が後回しにされていることだ。つまり病気が見落とされ症状が進行して、重症化や死亡が懸念される。コロナ感染者はこの1年半で170万人だが、専門家は病気などの医療全体の患者数は桁が違うため、仮にコロナが終息しても、一般病床の患者や予備軍は後々にこれらの影響や負担が相当増すと指摘している。コロナによって追いやられた受診・手術遅れの患者が死亡に転じ、多年に渡って続くことからコロナ死者より上回る予測が出ている。失礼な表現だが、災害時に使われる直接の死亡ではない「関連死」同様に、「コロナ関連死」のほうが多くなるのではという予測も出ている。
参考/コロナによる死亡数は17970人(21.10.11現在)=東日本大震災の直接の死者・行方不明者合わせて18425人に近づく。
次号/141・コロナ補助金で病院黒字は平均6.6億円、でも感染患者の生命が守られたのか
前号/139・菅首相の「コロナ・明かりが見え始めた」根拠ない楽観論、危機感欠如はあまりに深刻だ
①コロナ保険が感染拡大で一旦休止 ②医療費1兆4千億円減少 ③がん検診17%減
■10万円の保険金を受け取れるコロナ保険を販売したが想定以上の感染拡大で休止に
毎日新聞・東京新聞(趣旨)/第一生命保険は、新型コロナウイルスに感染した加入者が10万円の保険金を受け取れる保険商品の販売を一時休止した。傘下の第一スマート少額短期保険が、4月に募集を始めた「コロナminiサポほけん(特定感染症保険)」。3か月の保険料が890円から最大で2270円まで、感染動向に応じて支払う保険料が変動する新しい商品だったが、「5波」で感染者が急増し、同社の想定を越え価格の維持が難しくなった。9/28の時点で、約2.5万件のうち、150件以上の支払いをした。10/1から、保険料を2270~8090円と大幅に引き上げ、販売を再開した。経済評論家の荻原博子氏は「正社員なら疾病手当で給料の大半がカバーされる。自分にとって本当に必要な保険なのか、冷静に見極めたほうが良い」と語った。
■20年度の医療費は過去最大の減少1兆4千億円、コロナ禍で受診を控えたことが影響
毎日新聞・しんぶん赤旗掲載/厚生労働省は、病気やけがの治療で2020年度に病院や診療所に支払われた医療費は42兆2000億円で、前年度から1兆4000億円(3.2%)減りました。この減り幅は過去最大です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う受診控えが影響しました。1人あたりの医療費は33万5000円で、1万円減りました。減少は16年度以来ですが、この時は前年度に登場した高額薬がその後値下げされたことが影響しました。概算医療費は、社会保険料や税金、患者の窓口負担分を集計したもので、全額自己負担の医療や労災は含みません。また国が費用をまかなうワクチン接種は含まれません。受診控えが健康悪化につながっている実態が各種調査で明らかになっています。
医療費の内訳は、「入院」が3.4%減の17兆496億円、外来受診や往診などの「入院外」が4.4%減の14兆2072億円。「歯科」は0.8%減、「調剤」は2.7%減でした。診療科別に見ると、減少幅が最も大きかったのは「小児科」(31.5%)、耳鼻咽喉科(24.4%)が続きました。新型コロナの感染を心配して、病院に足を運ぶ機会を減らした人が多かったのが影響しました。1年間に医療機関で診察を受けた患者を「1日あたり1人」でカウントした「受診延べ日数」は前年度比で8.5%減りました。特に外来は10.1%減っています。病気別では、風邪などの呼吸器疾患で減少が最も大きくなりました。マスクの着用や手洗い・うがいなど、感染対策が定着したことが要因とみられ、前年度から5700億円減りました。心臓や血管を含む循環器系も1700億円減り、ほかの病気でも減りました。年齢別では未就学児の医療費が2割近く減っています。
■がん検診は19年比17%減、受診者が1~2割減れば1~2万人が見つけられない
しんぶん赤旗掲載/日本対がん協会は、2021年上半期(1~6月)に胃や大腸などのがん検診を受けた人は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年同期比で約17.4%減となったことを発表した。協会は7~8月、市町村のがん検診を受託する全国42支部に受診者数などを質問、32支部から回答を得ました。同期に胃、肺、大腸、乳、子宮頸(けい)のがん検診を受けた人は延べ156万6022人。19年上半期(189万5708人)と比べ、約17.4%減となりました。※20年上半期(70万4385人)。各検診の減少幅を今年と比べると、胃がんが最も大きい約21%で、肺がんの約20%、乳がんの約17%が続きました。同協会は、検診数の伸び悩みについて、市民の受診控えが続いていると分析。また3密回避のため人数制限を設けた会場があるほか、自治体がワクチン接種の準備などに追われ、がん検診まで手が回っていない可能性を挙げました。同協会の小西宏プロジェクトディレクターは「受診者が1~2割減れば、がんが見つからない人が全国で1~2万人増えると推測される」と指摘。早期に発見できれば治る可能性も高いので、感染対策をした上で検診を積極的に受けてほしい」と呼び掛けています。
しんぶん赤旗の複製可能範囲内において、投稿者によって一部割愛や
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投稿者からのひと言/せっかくのコロナ保険が、感染拡大でパンク(休止)してしまうとは何とも皮肉だ。医療費の減少、がん検診や人間ドックなども減少している。コロナ感染・死亡が注視されているが(それ自体は重要なこと)、問題はコロナの影響による一般医療への受診控えや診療・手術が後回しにされていることだ。つまり病気が見落とされ症状が進行して、重症化や死亡が懸念される。コロナ感染者はこの1年半で170万人だが、専門家は病気などの医療全体の患者数は桁が違うため、仮にコロナが終息しても、一般病床の患者や予備軍は後々にこれらの影響や負担が相当増すと指摘している。コロナによって追いやられた受診・手術遅れの患者が死亡に転じ、多年に渡って続くことからコロナ死者より上回る予測が出ている。失礼な表現だが、災害時に使われる直接の死亡ではない「関連死」同様に、「コロナ関連死」のほうが多くなるのではという予測も出ている。
参考/コロナによる死亡数は17970人(21.10.11現在)=東日本大震災の直接の死者・行方不明者合わせて18425人に近づく。
次号/141・コロナ補助金で病院黒字は平均6.6億円、でも感染患者の生命が守られたのか
前号/139・菅首相の「コロナ・明かりが見え始めた」根拠ない楽観論、危機感欠如はあまりに深刻だ