ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

オラファー・エリアソン展@東京都現代美術館

2020年08月12日 | ART

オラファー・エリアソン展に出かけてきました。

お盆真っ只中の水曜日、昼食前なら空いているかな?と読み、11時頃入館。
がら空きではないが、ストレスフリーな来館者数でした。

日本ではあまり知られていないのに、世界的には注目度MAXの現代アート集団。
幅広い分野で活躍されているようです。

サステイナブル・アートといった感じで、持続可能性やリサイクル等環境問題への気付きが随所に窺えます。
作品を運搬する際の振動を図式化したデータがアートになるなんて、面白いですよね。

そして、視覚や既成概念の危うさにハッとさせられるような作品や揺れる水面から反射する光を使った作品、観客と作品が一体となる作品などなど、見応えのある展覧会でした。




お子様連れの方も多く、家族で楽しめる内容です。
夏の思い出作りにもオススメです。

ヨーガンレール@MOT

2015年09月08日 | ART
東京都現代美術館にて開催中の展覧会『おとなもこどもも考えるーここはだれの場所?』に出かけてきました。
夏休みの子供達のための展覧会、ということでしたが、もちろん大人も楽しめて、世界について考えるきっかけになるような企画でした。
なかでも、強烈なメッセージをつきつけてくるのがヨーガンレールの作品。
廃棄物として石垣島の海岸に漂着するゴミを利用し、ただ美しいだけではない、現在我々が直面している環境問題について目を開かせる、コンセプチュアルでありながら魅力的な作品でした。

最初に入った部屋にはカラフルなゴミがちりばめられたポップな世界が広がっています。




しかし随分バラエティに富んでいますね・・・。
感心することじゃないんですけれど。


ペットボトルの蓋って、こんなにカラフル。
これ全部漂着物(もちろんほんの一部)。

カーテンを潜って次の部屋へ。
入った瞬間、想定外の展開にのけぞってしまいました。


大きな空間を眩い光がキラキラ、壁に張られた鏡がその光を増幅します。


これ、全部ゴミ!!!
あまりにも美しい、それだけにショッキング。




寄って見ると・・・

あ、なんかメリーゴーランドみたい。


これなんかリゾートっぽい。


それぞれが1つの惑星のようで、それぞれの世界観があるんです。



最後の部屋には、現実の世界が。




ヨーガンレールが伝えたかったこと、是非お子様と一緒に足を運んで、向き合って欲しいです。






リサ・ラーソン展

2015年08月16日 | ART
先日、群馬県立館林美術館に出かけてきました。
お目当てはスウェーデンの陶芸作家、リサ・ラーソンの展覧会。



いまやすっかりお馴染の動物のキャラクターたちや、一点ものの貴重な作品が一同に会する、国内初の大規模展示です。
抽象化された魅力的なフォルムとちょっぴりユーモラスな表情、そして落ち着いた色調のバランスはリサ・ラーソンならでは。



美術館自体も光や風、木々の緑が取り込まれた素敵な建築です。



東京から車で約2時間。
ちょっとしたドライブにオススメです。

そして!
次の展示はな・なんと!!!
大好きな彫刻家、舟越桂さんの展覧会『私の中のスフィンクス』が開催されます。



こりゃもうマスト・ゴーです。
9月19日から12月6日まで、詳しくは美術館のHPをご参照ください。




印象派と世紀末美術@三菱一号館

2014年01月04日 | ART
ちょっと気になっていながらイマイチ積極的にはなれないけれど、明日最終日だしなんとなく時間もあるし、じゃあ出かけようか、ということで三菱一号館で開催されていた『印象派と世紀末美術』展を観に出かけました。

ルドンは好きな画家なのですが、個人的には黒のリトグラフシリーズじゃないんですよね。小舟に乗った聖女の絵が救いでした。

今回の展覧会では、唯一、モネの『草原の夕暮れ、ジヴェルニー』が圧巻でした。頭上で風に揺れる木々の枝葉を通して夕日のきらめきがキャンバスから広がり、周辺をキラキラと照らし出し、風や匂いまで伝わってくるようです。自分自身も夕日に照らされているように温かくなりました。この1枚に出会えただけで、この展覧会に来た甲斐がありました!

クーデルカ!

2014年01月02日 | ART
今世紀最高の写真家のひとり、ジョセフ・クーデルカの展覧会に出かけました。

写真集は数多く出版されているにもかかわらず、本格的な回顧展としてはアジア初!これは事件です。
ということで、2日に吉岡徳仁の『クリスタライズ』とダブルヘッダーで出かけました。
自慢すると、クーデルカの作品との最初の出会いは20年前。イギリスに撮影に出かけた時ロンドンの小さなギャラリーでその作品に触れる機会を偶然得たのです。以来大好き&大尊敬する作家で、テオ・アンゲロプロスの映画『ユリシーズの瞳』でスチール撮影を手掛け、東京都写真美術館でその上映会が開催された際クーデルカの小さな作品展が同時に開かれ、来日していたクーデルカに、持参した写真集『EXILES』にサインを頂いたのです!私が勝手にイメージしていた本人像と異なり、長身で細身、髪はボサボサっとして、全く飾り気のない風貌だったのが逆に好印象で、益々ファンになりました。その時担当の方が、クーデルカは放浪癖がありなかなかつかまらない、な~んておっしゃっていました。孤高の作家、クーデルカ。作品も異彩を放っています。

特に私が好きな作品群は『Chaos』以降。

大胆に切り取られたパノラマの世界。被写体は異化され、変容し、無限のイメージを纏っています。写真集とは違い、ビッグサイズのプリントで相対する作品は迫力満点です。残念ながら展覧会は13日で終了してしまいましたが、次の機会が待ち遠しいです




吉岡徳仁-クリスタライズ

2014年01月02日 | ART
東京都現代美術館で開催されている吉岡徳仁展覧会『クリスタライズ』に出かけました。
結晶化・・・、塩の結晶を育てた小学校の理科の実験を思い出します。
もちろん、展覧会のクオリティはそんな幼児体験とは比べ物になりませんが、大人になってもどこか心の片隅に残っている子供心をくすぐる展示でした。

『白鳥の湖』を聞きながら育つ結晶。音の波動が結晶の形を変化させるのでしょうか。ワーグナーを聞かせたりなんかすると、どんな形になってしまうのでしょう。
実際に育成中の大型作品も展示されています。一体どれくらいの時間をかけて結晶化が進んでいくのか、興味は尽きません。

結晶化したガーベラも不思議な作品です。結晶の内部で花そのものは朽ちていくのでしょうが、その色彩を吸い上げてほのかに染まる結晶に悪魔的な美しさを感じます。

マティスが装飾を手掛けた南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂へのオマージュとして作られたクリスタルプリズムの構築物がハイライト。

太陽の光を受け、風や雲の流れ、時間によって変化する光のスペクトルに包まれる感じ、を想像しながら作品に向かいます。というのも、残念ながら室内環境での展示なので、光源は不動の人工灯、スペクトルは弱く変化しません。せめて光源が動けばいいのにな~、と、作品が素晴らしいだけにモッタイナイと感じてしまいます。クリスタルプリズムの柱の前に置かれた『Water Block』と名付けられたガラスのベンチに座り、その虹のような光を頭の中で増幅させながらゆっくりと作品に包まれ、自分自身も結晶化して楽しみました。

バーン=ジョーンズ展

2012年07月16日 | ART
丸の内の三菱一号館美術館で開催されている展覧会『バーン=ジョーンズ展』に出かけてきました。



初めて作品を観たのは20年前の渡英時、そして1998年、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催された『英国ロマン派展』で再会。ヨーロッパ各国の美術館で目にする機会はたびたびあったのですが、英国絵画の巨匠の割には日本で初の個展ということで、まとまった作品群が一同に会する今回の展覧会を心待ちにしていました。感激です
作家個人の来歴等は今回初めて知ることばかりで、ロセッティに可愛がられ(しかも同じモデルを描いた作品がある!)、ウィリアム・モリスと生涯に渡り親交が深く、19世紀末にはヴィクトリア朝絵画の頂点を極めた、そうです。そんなにスゴイ作家だったんですね・・・
何がそんなに好きなんだ?と聞かれ、よくよく考えてみると、まず人物の顔と表情。簡単に言うと、超美男美女のオンパレードです(笑)。あとは境界線の際立ちと硬質でありながら優美な作風ですかね。バーン=ジョーンズの作品を目にすると、魔法の世界と言いますか、おとぎ話の世界に迷い込んだようなうっとりとした気分になります。過去に観た作品で一番好きな作品が『ヴィーナスの誕生』



展示されている中で最も印象に残った作品は、連作『ペルセウス』のメデューサの首を切り取ったシーン、ペルセウスを捕えようとする姉の黒い翼が妙に生々しく、正面を見据えた歪んだ表情とその視線から緊迫感が伝わってきて、背筋が寒くなります。こちらは画像がないので会場でお楽しみください。

今回は展示されていなかったですが、一度見たい作品がこちら『不吉な顔』。



8月19日まで開催されています!




原美術館にて

2012年03月07日 | ART
分福のお客様にチケットを頂戴し、3月11日まで開催されていたジャン=ミシェル・オトニエルの展覧会『My Way』に出かけました。



巨大なガラスのオブジェを中心とした作品展。
ガラスの魅力てんこもりでした。

なかでも、展覧会のチラシに使用されていた作品『Lagrimas(涙)』は秀逸

水を入れたガラスの瓶(香水ボトルのように美しいフォルム!)にガラスのオブジェが浮かんでいて、その瓶が5mのテーブル上にずらりと並んでいるのですが、視線を動かすたびにレンズ効果で映り込む色彩が変化してまるで万華鏡のよう!
この作品の前から離れられなくなってしまいました。
有機的な作品、好きです。


ガラスという素材自体、魅力的です。
熱により液体化した状態から冷えて固形化した状態へと移り行く時間の流れがガラスには凝縮されているように感じます。
オトニエルさんの作品には、その時間が艶めかしく残存し、固定化されず未だ変化し続けているような質感に惹かれます。


まるで分子構造のようなガラスのオブジェ。不安定な形が動的な印象。

次回の展覧会も確実に見に行きますっ







オディロン・ルドン展

2012年02月23日 | ART


丸の内の三菱一号館美術館で開催されている『ルドンとその周辺 夢見る世紀末』展を見に出かけました。
ルドンの作品、岐阜県美術館が大量に収蔵しているのですね
いやはや、展示のボリュームもクオリティも非常に満足度の高い展覧会です。

闇の中の光が繊細且つ大胆に描かれる黒の時代から複雑な青色が印象的な色彩の時代へ。そしてルドンが影響を受け、またルドンが影響を与えた画家たちの作品がとてもわかりやすく展示されています。ギュスターヴ・モローの作品が2点、ムンクが3点展示されていたのがお値打ちです


個人的には1865年頃に描かれた『樹(樹のある風景の中の2人の人物)』の、木の枝にきらめく光の繊細な描写と人物の輪郭を照らす大胆な光の表現から目が離せなかったです。暗室で写真を焼く時に大切にしている光の表現がこの絵に集約されているように感じました。

今回の展示の白眉『グラン・ブーケ』は、そのサイズ(248.3x162.9)にまず圧倒されます。ロベール・ド・ドムシー男爵から任せられた城館の大食堂の36平米の壁面をぐるりと飾るルドンの絵、当時の映像を見てみたいものです。


三菱一号館の界隈、ブリックスクエアは魅力的な場所です。ロブションのカフェあり、フランスの激旨バター「エシレ」のショップあり、そしてメッセージ&コンセプト性の高いリサイクルショップ「パス・ザ・バトン」あり・・・。ついつい買い物してしまいます。

ロブションでは前菜(2種類から選択→キッシュを注文)と本日のガレットとドリンクのセット(1600円)を注文。どれもおいしく満腹満腹

エシレではマドレーヌとフィナンシェのセットを購入。しっかりコンガリ、外側はサックサクです。バターの風味がしっかり感じられます。


素敵なお店がどんどん出現している丸の内界隈。出かける度に発見があります!

オススメ展覧会

2011年07月29日 | ART
開催中の展覧会、オススメ情報です。


東京国立博物館で開催されている「空海と密教美術展」、マスト・ゴーです。
展示作品の98.9%が国宝、重文というだけでも貴重なラインナップですが、そのボリュームに圧倒されます。
展示の方法も美しく、照明もこだわりが随所に感じられ、さすが、トーハク!です。

個人的には、書画より何より仏像群が白眉です。
360度楽しめる配置が嬉しいです。

1番驚いたのは、八幡三神像の女神像が展示されていること!
これは・・・私が長年憧れていた神像なのです。
写真でしかその姿を眺めていなかったのですが、実物は想像以上に大きかったです。
そしてそのフォルムのなめらかでたおやかな曲線・・・、うっとりします。
顔立ちもザ・倭!で、他の像と明らかに出自が異なっているように感じられます。
いつまでも傍にいたかったです。



まあとにかく内容・ボリュームともに超弩級なので、見学後はズ~ンと疲れます。
覚悟してお出かけください。


もうひとつ、国立新美術館で開催されている「ワシントンナショナルギャラリー展」、こちらもオススメです。

モネの3作品「日傘の女性、モネ夫人と息子」、「ヴェトゥイユの画家の庭」、「太鼓橋」の3作品が1つの壁にずらっと並んでいるのですが、光がキャンバスから溢れているような輝きが感じられました。
癒されます~。

スーラの2作品、夢と現実の境界線がキャンバスに閉じ込められたような世界です。
点描画ならではの、乱反射する光のキラキラ感が見事に再現されているようで目が離せませんでした。

あまり好きではなかったルノアールですが、「踊り子」は必見です!
少女の視線の強さが、周囲のあいまいな輪郭の中で際立っています。
その視線に釘付けです

国立新美術館は月曜日がオススメです。
他の美術館が閉館している中、ここは火曜日が休館。
意外と空いているのでゆったり観覧できます。

リフレ~ッシュ