ひびのあれこれ・・・写真家の快適生活研究

各種媒体で活動する写真家の毎日。高円寺で『カフェ分福』をオープンするまでの奮闘記、イベント情報などをお伝えします。

三三月例独演会

2007年10月29日 | Weblog
三三独演会@内幸町ホール。
まず「蔵前駕籠」。マクラで駕籠かきの符牒でお腹が空いたが「キザエモン」、歌舞伎の世界の符牒でご贔屓を「花(花はカタカナのヒイキで構成されているから)」というそうだ。噺自体はテンポ良く展開。特別な演出は施されていなかったように感じた。
そして「茶の湯」。師匠譲りのおかしみがあった。お茶を飲む時の茶碗の持ち方、親指を茶碗の中に突っ込んでつまみあげ、茶碗を腕でグラン、グランと3回廻す仕草、滑稽。他の噺家もあのスタイルなのか?
中入後に「豊志賀」。三三のドロドロ噺はいつも期待しているのだが、豊志賀の演出は背筋をぞっとさせるものがあってその点は楽しめた。観客席からは時折恐怖におののく声があがっていた。それにしても、落語での新吉は心底豊志賀に尽くしているようでいて唐突にお久に寝返る。これがどうも腑に落ちない。円朝の本で読むと新吉はかなりの曲者で、やや女にだらしのない雰囲気、それなら突然の心変わりも納得できるのだが。
夕飯は六本木ヒルズの片隅にある古奈屋でキノコ入りカレーうどん。最近といっても随分前からだが古奈屋はすっかりどこでも食べられるようになった。ヒルズ店ではカレーをあますことなく楽しめるようにと玄米ご飯がオマケとしてついてくる。メニューの品数も増えて便利にはなったが、なんとなく巣鴨でしか食べられなかった頃が懐かしい。やっぱり一番オーソドックスなカレーうどんが一番おいしい。バナナの天ぷらは悪くない。

2日続けて立川談春・・・「白談春」

2007年10月28日 | Weblog
落語初心者に談春が贈る落語会「白談春」も今年最後、しかも来年は未定。企画意図を見事に裏切る落語会常連でほぼ席が埋まっている状況、それもそのはず初心者にはチケットがあまりにも取り難い。そんな常連に杭を刺すためか、2日連続公演の中身は若干マクラに変化はあったがほぼ同じ内容。しかし小春は時間の都合上か、2日目高座に上がることを許されず、代わりに談春の前座噺講座。「たらちね」の談春ネタ「ヨネのことなり」「ヨネ?九つの時神隠しにあったあのヨネかい?」はかなりおかしい。前座噺は口慣らし以外にも、演者が個性を加えられない人物が登場することで、基本の基本を叩き込む意図があるという。その好例が「たらちね」のおかみさんや「たぬき」のたぬき。獣は人間と目を合わさない、時々チラチラ見上げる程度、という演出法、続く「たぬきの鯉」でなるほど納得。「たぬき」シリーズで札、賽はよく演じられるが、鯉はあまり聞かない。子供達に「犬をいじめちゃいけないよ」「犬じゃないよ、たぬきだよ」という子供とのやりとりから展開。談春のいたずら子供、助けられた子狸は愛嬌がある。鯉は出世魚、お祝いにはもってこい。そうして兄いのところに祝いの品として届けるが、間の悪いことに包丁を持たせたら玄人レベルの男が訪問中。早速鯉をさばく手筈が整ってしまう。子狸と涙の別れ、そして俎板の上に載せられた鯉についてのもっともらしい講釈。しかし本当の鯉ならいざしらず、相手は鯉に化けた狸だから暴れる一方、さらには包丁を持つ男を睨みつけ、引っ掻く始末。さげは「あれが本当の鯉の薪のぼり」。
「禁酒番屋」は侍の近藤が酒屋の主に禁酒になったいきさつを語る場面から展開していく。小便屋へと至るまで、酒屋の使用人たちのなんとか酒を届けよう、何とか番屋を出し抜いてやろうという気合いがどんどん盛り上がっていく、その演出が見事。カステラに執着する小僧がかわいい。番屋の侍がぐでんぐでんに酔っぱらっていく変化もおかしい。
中入後に「景清」。にわか盲の定次郎。腕利きの木彫り師だった頃にこれぞという作品が残せなかった、悔しくはないかい、という旦那の言葉に自分を取り戻し、観音様に願掛け100日。満願の日、開くはずの目が開かない。散々悪態をついている所で旦那に諭される。威勢が良くって強がり一方の定次郎が観音様の前で旦那に弱音を吐くシーン、そのガラリと変わる調子につい涙。そんな定次郎を連れ帰る途中、雲行きが怪しくなる。そして雷が定次郎を貫き、無類の雷嫌いの旦那は定次郎を置き去りにして逃げ帰ってしまう。我に返った定次郎、なんと目が見えるように。しかし旦那はあんまりひどい、と旦那にかわいい復讐を計画。サゲは「目を開けてくれたのは観音さまです」。
夕飯は阿佐ケ谷の韓国料理太田屋(テジョンヤ)で。焼肉はイマイチだが、ここのクッパはおいしい。パジョンは鉄鍋でジュウジュウ音を立てながらサービスされる。これを裏表返しながら食べるスタイル。かなり厚みがあって、表面はパリッ、中はトロッとしていて食べ応えがある。値段もリーズナブル。

撮影後記:鳴門

2007年10月26日 | Weblog
淡路2日目。ホテルニューアワジの朝食は和・洋ビュッフェ。静かだったので気が付かなかったが、ゲストでレストランは一杯。
朝から雨が降り続く中、一件目の取材先は立ち寄り温泉「ゆ~ぷる」。丘の上に位置するガラスと木の建物が小奇麗な温泉施設。お風呂は男女日替わり。この日は女風呂にウォータースライダー付き露天風呂、男湯に和風露天風呂が併設となっていた。朝10時開館と同時に地元のお客さんが入ってくる。
雨足は一層強まり、空は真っ暗、雷模様。そんな中、特産の瓦を使った「みどりの道」のモニュメントへ。さらに、日本三大鳥居があるおのころ島神社、七福神参りで有名な護国寺(ここには布袋さんが祀られている)へ。護国寺には江戸期に作られた池泉式の庭園がある。小さな庭だが、立派な自然石を使った石橋が龍の形の池にダイナミックに架けられている。境内には布袋さんがあちこちに。
そして昼食。取材がてら淡路ファームパーク、イングランドの丘へ。強気の入園料、とはいえちょっとした動物園、植物園、イングランドガーデンがそろった複合施設なので、見所には不自由しない。広い園内は日本で唯一の無人運転バス(幽霊バスみたいで気持ちが悪い)が結んでいる。食事に訪れたのだが、メニューは貧弱。折角園内で収穫した野菜を使っているのなら、もう少し気の利いたメニューがあってもいいのではないか、と首を傾げたくなる。食後は大雨の中、イングランドガーデンを一回りし、家畜と触れ合い、コアラを観察し、温室を散策し、帰路につく。
ホテルは老舗旅館「やぶ萬」。美人若女将に伴われお部屋「渦潮」へ。次の間付きの広いお部屋。こざっぱりとして気持ちがいい。お料理は「鯛めん」を中心とした和食。一番お得なコースでお願いしたにもかかわらず、ボリュームがあってお腹一杯。お風呂は小さめだが、泉質はちょっとぬめりがあって湯上がりにはすべすべになる。南淡路の温泉はこのようなトロみのあるお湯が多い。

撮影後記:鳴門

2007年10月25日 | Weblog
朝4:30起床。準備を整え羽田→徳島へ。徳島空港でライターKさんにピックアップしてもらい、淡路へ移動。空港から鳴門まで、30分もかからず到着。あまりの近さに驚きました。
まずはうずしお観潮船に乗るべく、なないろ館へ移動。出発まで併設の足湯「うずの湯」で撮影。この足湯、地元の人が朝からたくさんいらっしゃっているのですが、湯温・泉質ともに◎。海っぷちの解放感と相まってオススメ度はかなり高いです(しかも無料/タオル100円)。
観潮船は咸臨丸(かんりんまる)、優美な大型帆船です。渦潮は満潮時に一番見やすいということで、今日は10:50分発の船に乗り込みます。到着時は大雨でどうなることかと思っていたのですが、出港時にはすっかり回復、青空が広がり、すばらしい撮影日和となりました。福良港を出発、大鳴門橋まで約20分、凪の海は静かで船はほとんど揺れることもありません。ところが、橋に近づくにつれて、海の様子が変わってきます。複雑な流れが入り組み、波が飛沫をあげて船体にぶつかります。いよいよ瀬戸内海と太平洋がぶつかる場所に到着です。波の動きは複雑さを増し、目が回りそう・・・、するとあちこちで渦らしきものが生まれては消え、そして湧き上がってくる様子が!船上は興奮に包まれます。大人も子供も海面を凝視し、渦を見つける度に歓声があがります。そういえば、太古より人間は渦巻き模様に魅せられてたんだよな、と思いながら、ひたすらシャッターを切り続けます。興奮の15分でした。
次は大鳴門記念館の展望レストランでお料理の撮影。南淡路の旬の食材を中心とした華やかな創作料理が自慢です。古代米を使った鯛のお料理は今年の創作料理コンテストでグランプリを獲得したメニュー。見た目に迫力があり、しかもヘルシー。女性好みの一品です。

そして同じく大鳴門橋記念館内にある、淡路人形浄瑠璃館へ。500年の歴史を誇る伝統芸能が、ここでは毎日上演されています。上演前の人形教室では、実際に人形に触れたり、太夫の方のお話を直に聞くことが出来る貴重な体験ができます。その人形の大きさにまずびっくり。3人がかりで操るのですが、主(顔と右手を操る太夫)になるまで、足7年、左手7年といわれるぐらい修業を要するそうです。事実、人形の動きは滑らかで、人形であることを忘れてしまうくらい表情があり、まるで血
が通っているかのようです。上演時間は約20分。見応え充分、かなりオススメです。
今日の最後は道の駅「うずしお」から大鳴門橋の夕景撮影です。下から見上げる橋の姿、迫力があります。この時間は瀬戸内海側から太平洋に向かってもの凄いスピードで潮が流れていきます。そんな潮の満ち引きを、海上から、或いは橋の袂から眺めることが出来るのも鳴門の面白さかもしれません。
宿泊はホテルニューアワジ淡路島。リゾート型ホテルです。部屋は広々、お風呂も内風呂・露天・サウナ・ジャグジーと色々楽しめます。アロマセラピーやリフレクソロジーもメニューもあり、疲れを癒すにはもってこい。ただ、夕食は懐石風のコースしかありません。周辺にも飲食、コンビニなどの商業施設はないので、必要な場合は港近くで済ませるしかありません。

撮影後記:枝幸小学校

2007年10月24日 | Weblog
枝幸2日目。朝7:00起床、快晴のポカポカ陽気です。朝食は和総菜が充実のビュッフェスタイルです。小学校へはタクシーで10分弱。トドマツ、カラマツの黄金色の紅葉はまだ始まったばかり、ナナカマドの真っ赤な紅葉が目を引きます。
久しぶりの学校取材。子供たちは元気溌溂、好奇心の塊といった感じで、新参者の我々に興味津々。目が合った途端に「にらめっこ」遊びが始まります。その後遊びはどんどんエスカレートしていき、「カンチョー」「クサクサ攻撃(上履きを鼻に押し付ける)」で揉みくちゃにされ、すっかり子供たちに精気を奪われてしまいました。恐るべし。
シャケの解体作業は学校から10分ほど離れた漁協で行われます。指導役の方からまず説明を受け、いよいよ子供たちがシャケを捌きます。1年生から6年生まで、おぼつかない手つきの子、気持ち悪くって内蔵を触れない子、黙々と捌いていく子、それぞれ懸命にシャケと格闘している姿をひたすら撮影。小さな1年生の女の子が、大きな包丁を握っている姿には感心させられます。危険だからといって包丁やナイフを触らせない風潮の中で、敢えて危険と対峙させるということもまた大切な学習なのではないかと改めて感じました。
山積みのシャケはみるみる解体され、いったん休憩。次は学校に帰って煙で燻す前の漬込み作業です。調味料の調合、分量の計算、漬込は子供たちがグループになって力を合わせて取り組みます。ここで味が大きく左右されるとあって、子供たちの目は真剣そのもの。皆おしゃべりもそこそこに夢中で作業を進めます。
作業後は4時間目の授業。そして給食。お誘いいただき、23年ぶりに給食をいただきました。メニューはスパゲッティにコロッケ、スープ、牛乳、アンズ、そしてなんとピタパンが!我々の時代はコッペパンオンリーだったのに、随分こ洒落たものがでるものだと驚きました。
帰路もきっちり8時間かかり、家に着いたのは23時過ぎ。明日は徳島・南淡路の取材です。

撮影後記:枝幸への道程

2007年10月23日 | Weblog
小学館の「edu」という雑誌の取材で、稚内に行ってきました。羽田から旭川へ、そして電車で音威子府(オトイネップ)へ、さらにタクシーで枝幸へ、その道程なんと8時間。感覚的には海外旅行です。
今日は移動のみ、枝幸到着後小学校へご挨拶に。生徒数20人の小さな学校で行われている、今年15年目の校外学習、シャケの薫製作りの段取りの説明をお伺いしました。漁協さんからお裾分けいただいたシャケを生徒達が解体、漬込み、燻し作業を行い、出来上がった薫製は地元の人達に還元。味も評判で、毎年その出来上がりを皆さん楽しみにしていらっしゃるそうです。
宿はホテルニュー幸林<http://www.new-kohrin.co.jp/>。広々として気持ちの良い温泉付き、ジャグジーやサウナもあります。泉質はクセのない無臭タイプ。お料理はボリュームたっぷりでカニはタラバと毛ガニが並びます。サービスの人達も親切で、掃除も行き届いており、満足度の高いお宿でした。

エドワード・ヤン『タイペイ・ストーリー』

2007年10月21日 | Weblog
東京国際映画祭2日目。エドワード・ヤン監督の『タイペイ・ストーリー』(1985年、110min)を見る前に、蓮實先生の講演を聞く。ヤン監督急逝をメールで知ったという蓮實先生。その時脳裏を過ったヤン監督との3つの思い出を語る蓮實先生の声に目頭が熱くなる。京都・知恩院界隈で白いシャツを着たヤン監督が屈託のない笑顔を漲らせて自転車で走ってくる姿に言及した際、昨日見た『光陰的故事』の自転車の練習シーンが重なって、まるで映画を見ているように、その映像がはっきりと頭の中に浮かんできた。
『タイペイ・ストーリー』は、中心となるべき物語が失われた状態で進行していく。それぞれの登場人物が何かしら問題を抱えながら、しかしその問題は語られることのないまま歯車が少しずつ狂い、関係がすれ違っていく。寡黙な登場人物達の人生を揺るがすような出来事が、まるで三度の食事のように淡々と描き出され、大都会のイルミネーションは何事もなかったかのように煌々と街を照らし出す。結局、登場人物達の「その後」は宙吊りにされたまま、歯痒い状態でラストを迎えることになるのだが、それはいかにも現実の我々を取り巻いている現代社会の日々そのものといえよう。主人公のホウ・シャオシェンがカラオケ・スナックでダーツゲームをやる相手はヤン監督自身か?主人公の妹の不良グループのバイクが数台で街を走るシーン、ただ街中を走っているだけなのに美しい。ベランダの主人公と少年のバックに煌めくフジフィルムのネオンがドラマティック。壊れつつある恋人同士が、部屋に入ってスイッチを点けては消すシーン、ぐっとくる。台詞が少ない分、登場人物の些細な動作が心の機微を浮き彫りにする。ヤン監督は、自然光と人工灯の使い方がとにかくうまい。ハリウッド映画好きにはお薦め出来ない作品。
ランチは六本木ヒルズ内の「The Kitchen Salvatore Cuomo」で。前菜はビュッフェ、メインは7種の中から1つ、デザートは3種類の中から1つ選べるようになっている。開放的でスタイリッシュな空間、親切でなかなか気が利くスタッフ、料理は、驚きはないがパスタはきちんとアルデンテ。前菜ビュッフェの種類が豊富で女性好み。ビュッフェスタイルが苦手な人にはコースが用意されているので安心。お昼は1人?2500~。

東京国際映画祭/談春独演会

2007年10月20日 | Weblog
本日は映画と落語の2本立て。
東京国際映画祭も今年で20回目。そのオープニングを飾る「光影的故事」をシアター・コクーンで見る。この作品は1982に撮影された台湾の若手監督4人によるオムニバスで、もちろん目的は2007年6月29日に急逝したエドワード・ヤン監督による第2話「指望」。2000年に制作された「ヤンヤン・夏の思い出」以来新作を待ち侘びながら、結局それが遺作になってしまった。そんなヤン監督の初期の作品は、その才能の片鱗がうかがわれるすばらしい出来栄えだった。時折見られる不思議なズームは初期作品故か、それでも被写体とカメラの距離は絶妙で、なんともいえない空気感が漂っている。少女が大人の女性へと成長していく、そんな年頃の主人公に芽生えた年上の男性への淡い恋心、それが残酷な現実に破れ散る。押しつけがましさからは無縁の、感情の抑制が効いたカットで淡々と、そして繊細に描写される少女の成長、見ているこちらはとにかく切ない。そんな少女が自転車を練習するシーンは、まるでワルツを踊っているかのように優雅で美しく、特異な存在感でフィルムを彩っている。最後に、自転車にようやく乗れるようになった男の子が、まるでゼンマイ仕掛けの人形のようにぎこちなく、その小さな体と不釣り合いの大きな自転車のペダルを漕ぎながら現れるカット、衝撃的だった。ずっと押さえられていた感情の吐露が、ついにこの男の子の口から洩れる。切なすぎる。
そして名古屋へ移動。アスターミュージック主催の「第三回立川談春独演会」@今池ガスホール。
開口一番は小春で「たらちね」。談春の独演会で高座に上がれたことが嬉しくってしょうがない、そんな雰囲気が会場にも伝わってきて、つい応援したくなる。
談春は「鰻の幇間」。兜町で客を釣り上げるまでがとても速い。鰻屋に上がってから、客の住まいの所在ついてのやりとりで客がやたらと一八にからむ。トイレに立った客の不在中は一八の回想録。芸人としての心構えを説いた、死んだ師匠の言葉を反芻。それに従いトイレの客をお迎えに行くが、呼びかける前に客の不在を知る。祝儀の変わりに残されていた支払いの代金はなんと4万8千円!客は7人前のお土産と共にトンズラ。手銭とわかった一八、女中に意見。鰻は白焼→干物に形容、鰻は白くて壁は飴色、漬物はキムチ、掛け軸がみつを作、、、聞く度にアレンジが施されている。
仲入り後は「九州吹き戻し」。キノスケが100両貯めるまで、トントン拍子で展開。毎度のことながら嵐のシーンは映像がありありと浮かんでくる。海の底から湧き上がってくるうなりが聞こえてきそうだ。
今日の談春は風邪なのか花粉症なのか、鼻や目に手をやることしきり。

京都特集

2007年10月19日 | Weblog
9月初めに取材に出かけた京都の特集掲載号が発行された。雑誌は某カード会報誌で、8ページの特集。京都取材の場合、特に寺社関係は色々難しいので、最低でも2か月は準備を要するところが、無理矢理のつっこみ企画で準備期間は3週間。果たしてこの取材は成立するのだろうか?と本気で心配になるくらい過酷なアポ取り攻防戦を何とか凌いだグロッキー気味の編集さんと共に、いざ京都へ。しかしその成果というか、撮影はピーカン続きにもかかわらず順調に進み、最終的には満足度の高い、格調ある誌面構成となった。ばんざい!
今回お邪魔させていただいた所は、西芳寺、東福寺(方丈)、曼殊院、大徳寺大仙院、京都御苑内捨翠亭、そして梅小路公園。さらに、読者サービスとして食の取材を2件、大徳寺納豆と精進料理の「大徳寺一久」と老舗料亭「山ばな平八茶屋」。
私にとって、庭園に興味を持つきっかけを与えてくれたのが東福寺の方丈庭園「八相の庭」。昭和の名作庭家、重森三玲デザインの庭は、伝統と革新的意匠が見事に融合されていて、見た目に美しいだけではなく、釈迦の生涯に起きた8つの出来事を象徴的に表現した、非常に意味深長な庭でもある。特に北庭は、苔で描かれた市松模様がモダンで、手前から奥へいくに従って「ぼかし」の技法が施されている。このように絵画の技法を庭園の意匠に取り入れたのは、重森三玲が最初だと言われている。東庭の「北斗七星」は、東司の基礎をリサイクル活用したもの。ダイナミックな南庭の枯山水でも、三玲は巨大な自然石を横に寝かせてデザインするという新しい試みを行っている。私は過去3回東福寺を訪れたが、燃えるようなモミジの赤と苔の緑に彩られる紅葉の頃が一番印象的だった(取材の詳細は9月の項に後日追記します)。

蘊蓄好きにはかなり面白い本を一冊。文春新書発行の「知って合点江戸言葉」(大野敏明著)は、現代の我々が知らずに使っている言葉のルーツや、江戸の人々の言葉のセンス、吉原言葉などが、江戸文化や風俗と合わせて紹介されている。特に「へぇ~」と思ったのが、人を罵倒するときに使う「イカ」「タコ」の発生について。まず「イカ」が先に登場する。その意味は、海に住んでる「イカ」じゃなくて、「お目見え以下」のこと。将軍にお目見え出来る大名や直参の子供たちが、お目見え出来ない旗本の子供に対して、「イカ(=以下)」と嘲笑ったことが始まり。「イカ」といわれた子供が何と言い返すか、やっぱり「タコ」でしょう。そこから、身分の上の人を罵倒する際に「タコ」と言うようになったとか。

五十嵐一生ホームページ制作

2007年10月17日 | Weblog
今日はジャストランペッターの五十嵐一生さんのホームページ制作の打ち合わせ。昨年末にオーマガトキから発表した「Free Drops」http://www.shinseido.co.jp/omagatoki/ISSEI/freedops/freedrops_main.htmlに合わせて新しく作り直すことになっていたはずが、お互いのスケジュールのすれ違いでなかなか進まなかった。五十嵐さんの音は都会的であり、スリリングであり、感傷的になり過ぎないサラッとしたところがいい。ライブではそのスリリングさに拍車がかかり、何とも言えない緊張感で会場が満たされる。真剣勝負のステージ、一見の価値あり。
夜は四谷の京料理「八平」で食事。厨房前のカウンターに案内される。今日は満席、厨房は戦場さながら、にもかかわらずちょうど良いペースで食事が出てくる。本マグロのこども(名前を失念)のお造り、ぐじ(甘鯛)の蕪蒸し、豚角煮自然薯あんかけがとてもおいしかった。店内も小奇麗で大人の雰囲気。値段も大人だが、結構ボリュームがあるので納得出来る。