東京都現代美術館で開催されている
吉岡徳仁展覧会『クリスタライズ』に出かけました。
結晶化・・・、塩の結晶を育てた小学校の理科の実験を思い出します。
もちろん、展覧会のクオリティはそんな幼児体験とは比べ物になりませんが、大人になってもどこか心の片隅に残っている子供心をくすぐる展示でした。
『白鳥の湖』を聞きながら育つ結晶。音の波動が結晶の形を変化させるのでしょうか。ワーグナーを聞かせたりなんかすると、どんな形になってしまうのでしょう。
実際に育成中の大型作品も展示されています。一体どれくらいの時間をかけて結晶化が進んでいくのか、興味は尽きません。
結晶化したガーベラも不思議な作品です。結晶の内部で花そのものは朽ちていくのでしょうが、その色彩を吸い上げてほのかに染まる結晶に悪魔的な美しさを感じます。
マティスが装飾を手掛けた南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂へのオマージュとして作られたクリスタルプリズムの構築物がハイライト。
太陽の光を受け、風や雲の流れ、時間によって変化する光のスペクトルに包まれる感じ、を想像しながら作品に向かいます。というのも、残念ながら室内環境での展示なので、光源は不動の人工灯、スペクトルは弱く変化しません。せめて光源が動けばいいのにな~、と、作品が素晴らしいだけにモッタイナイと感じてしまいます。クリスタルプリズムの柱の前に置かれた『Water Block』と名付けられたガラスのベンチに座り、その虹のような光を頭の中で増幅させながらゆっくりと作品に包まれ、自分自身も結晶化して楽しみました。