ジャズトランペッターの五十嵐一生さんと日本を代表するジャズピアニスト、辛島文雄さんのコラボCD「I Wish I Knew」にジャケット写真で参加させていただきました。
撮影地はアメリカの国立公園、デスバレー内の「レーストラック」です。
デスバレーはアメリカの国立公園で最も広大な面積を誇り、最も暑く、最も乾燥し、最も低い海抜地帯を含みます。しかも周辺の山々は3000メートル級の高さ。そんな激しい自然環境によって生み出された景観は、ドラマティックで、地球の創世記を彷彿とさせます。
レーストラックは、オフロードを延々走った先、デスバレーの中でもちょっと行きにくい場所にあります。初めて訪れたときはセダンだったので、ゲートの係員に「そんな車じゃぁ行けないぜ」と鼻で笑われ断念しました。この写真を撮影した時は、レーストラックに行くためにわざわざ4駆を借りてリベンジ。なので、走行はバッチリだったのですが、あまりに過酷な環境のためか、計器がバカになるのです。意味不明のアラームが点灯したり、オイル交換サインが出たり、ヒヤヒヤの連続。もちろんカーナビも携帯もアウトですので、崖から落ちても誰も発見してくれません。数少ないガススタンドで給油を逃すと命に関わります。私も一度走馬灯が頭でクルクル回る体験をしました。
レーストラックで印象的だったことのひとつが、山々に囲まれた広大な乾燥地帯で、無音だったこと。ダイナミックな景観を静寂が満たしている、そのアンバランスな感じに背筋がゾクゾクしました。
写真では、二つの石がまるで意思を持っているかのように軌跡を描いています。その軌跡の交差点が、このアルバムではないでしょうか。
辛島さんは現在闘病生活を送られています。CDの売上の一部は、辛島さんの応援に寄付されます。ご購入の際は、五十嵐さんから直接お願いしていただけると、そのような形で支援につながりますので、是非!
isseiigarashi@gmail.comへその旨お知らせください。