タマリロはナス科の植物で、果実の見た目は同じナス科のトマトにそっくり。原産地も、トマトと同じペルーです。木になるトマトという意味で、英語名は「ツリートマト」。和名では「コダチトマト」と呼ばれています。
タマリロは熱帯や亜熱帯などでも生産されていますが、寒さに強いことが特徴で、原産地のペルーでは標高1800~3000mの高地で栽培されているほどです。現在は、ニュージーランドやメキシコ、スリランカ、インド、アルゼンチン、米国、ポルトガルなどが産地となっていますが、特にニュージーランドには早くからタマリロが持ち込まれ、品種改良が行われ、1930年代から商業栽培が行われてきました。
実はタマリロという名称も、ニュージーランドで67年に、通常のトマトとの混同を避けるために名付けられたもので、元々はニュージーランドの先住民であるマオリ族の言葉でリーダーシップを意味する「タマ」とスペイン語で黄色を意味する「アマリージョ」を組み合わせて作られた名前だとされています。
タマリロの木は高さ3~5mほどの常緑低木で、果実は5~7cmほどの長卵型です。果実は細長い果梗(かこう:果実の柄の部分)の先につき、数個ずつ木から房がぶら下がるようになります。
タマリロの果実は、熟したときの果皮が深紅色になるものと橙黄色になるものに大別できます。深紅色になるものは、果肉がオレンジ色で、黒っぽい色の種が中に多数入っています。味はやや甘く、わずかな酸味があり、そのまま食べるのに向きます。色鮮やかなので、サラダなどに彩りを添えるにも好適です。
果皮が橙黄色になるものは、果実の中に白い種が少し入っています。甘みや酸味は少なめです。
両方とも果皮はなめらかで光沢があり、果肉の食感や風味はトマトに似ています。
タマリロは低脂肪、低カロリーで、多くのビタミン類、ミネラル類を含んでいます。ビタミン類では、人の成長に関与し、妊婦や乳児にも重要なビタミンA、エネルギーの供給などに関与するビタミンB群の1つビタミンB6、抗酸化作用があるビタミンCとビタミンEなどが含まれています。
ミネラルではカリウムやマンガンが多く含まれています。カリウムは血圧を正常に維持するために重要な栄養素であり、マンガンはいろいろな酵素の構成成分となるもので、骨の形成に必要とされています。また、便秘の予防に役立つ食物繊維も豊富です
食べるときは、半分に切ってそのままスプーンですくって食べるのが一般的です。酸味が強い場合は、砂糖をかけて食べてもよいでしょう。
タマリロはジャムやジュースの材料としてもよく用いられます。食物繊維のペクチンが豊富なため、特にジャムには向いています。一般に、果物を糖分と一緒に煮ると、ペクチンが水に溶け出し、糖分と反応してゼリー状になるためです。また、サラダや煮込み料理に加えたり、ピザのトッピングにするなど、幅広い利用方法があります。もちろん、ピューレやソース、チャツネなどにも加工することもできます。冷たいデザートではフルーツのコンポートやババロア、シャーベット、ヨーグルトなど、焼き菓子ではチーズケーキ、マフィンなどにも用いられます。