<製造企業生産現場に関する無知、無理解、無関心、無視が露呈か>
<(在宅勤務に必要な通信端末コスト)対(オフィスの賃料コピー機などのリース料、紙の費用の一人当たり)比=<1か>
<在宅勤務と出勤勤務は補完・補強関係か>
:::::
緊急事態宣言が全国で解除された現在。生活や働き方が今後どこまで「コロナ前」に戻るのか、あるいは戻らないのか模索が続いている。特に働く人にとっての関心事と言えば「今回のテレワークはコロナ後、元通りになるのか」だろう。
そこで、テレワーク研究の第一人者で、多くの企業を調査してきた
東京工業大学環境・社会理工学院の比嘉邦彦教授
<
主な研究テーマ 組織戦略としてのテレワーク,外部資源を活用した組織革新,E-コマースの評価・分析モデル,分散環境におけるコミュニケーションと情報共有支援システムなど. 主な活動
- 高知県アウトソーシング検討委員会 委員長 (高知県庁主催)
- テレワーク推進フォーラム副会長・普及部会部会長(国土交通省、総務省、経済産業省、厚生労働省共催、環境省後援)
- 日本テレワーク学会 代表幹事
- 社団法人日本テレワーク協会 アドバイザー
略歴
州立アリゾナ大学経営・政策学院経営情報システム専攻博士課程修了.1988年,学術博士. 東京工業大学社会理工学研究科経営工学専攻助教授を経て,1999年より東京工業大学理財工学研究センター教授,平成17年4月より東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科技術経営専攻教授.
>に前後編インタビューで聞いた。コロナ禍によるテレワーク転換の度合いを評価した前編に続き、今回のテーマは「テレワークは結局、定着するのか」だ。
例えばTwitter社はコロナ後も恒常的にテレワークを許可すると発表した。生産性が上がることが確認できたからだろう。こうした企業が継続していくことで、1〜2年の間にテレワークの定量的な効果が報告されることになる。うらやましがって後を追う企業が出ることで、2〜3年後に本当のムーブメントが出ることを期待している。
そもそも今回の問題が無くとも、日本は台風や地震など災害の多い国だ。出勤できない状態の際にちゅうちょなく在宅勤務に切り替えられるようにする企業は、今後間違いなく増えるだろう。一方で、テレワークを「非常時の事業継続ツール」としか見ていない経営者がほとんど、という問題もある。
むしろ短期的に出る成果として経営者が取り組みやすいのは、オフィスの賃料を始めとした大幅なコスト削減だ。こちらは確実ですぐ出る効果であり、定量的にも評価しやすい。(オフィス廃止で)通勤費やコピー機などのリース料、紙の費用なども無くなる。東京23区内のオフィスの1人当たりコストは約7万円というデータもある。特に中小企業にとっては大きな削減効果になるだろう。
例えば、前から言われているのが「就労人口におけるフリーランスの割合」問題だ。米国では2030年に60%に達するという試算もある。日本はもう少し遅れるかもしれないが、いずれフリーランスが過半数を占めるだろう。
もし今回のコロナを機にテレワークのムーブメントが日本で起きなかったとしても、5〜6年は今のままでお茶を濁せるかもしれない。ただ10年単位で見れば、改革できなかった会社は淘汰されていくだろう。大半を占めるオンラインワーカーを管理できず、(就職市場でも)優秀な人材ほどそうした企業を見限るからだ。テレワークのムーブメントは今起きなくとも、10年スパンでは不可避なのではないか。