アメリカのドナルド・トランプ大統領が、新型コロナウイルスの危険性を意図的に軽く見せようとしていたとインタビューで語っていたことが明るみになり、国民に誤解を与えたとの批判が出るなか、トランプ氏は10日、発言は「適切」だったと自己弁護した。
トランプ氏の発言は、ウォーターゲート事件報道で有名な米紙ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者
<ボブ・ウッドワード(Bob Woodward, 1943年3月26日 - )は、ワシントンポスト紙編集主幹。カール・バーンスタイン記者とともに、ウォーターゲート事件における卓越した調査報道 (Investigative Reporting) で有名
イェール大学卒業後、海軍に勤務。そのときホワイトハウスとの連絡係を務め、ディープ・スロートことマーク・フェルトと知り合う。その後、海軍を退役。地方紙への勤務を経て、ワシントンポストに勤務。
単なる侵入事件と見られていたウォーターゲート事件をバーンスタインとともに調査。FBI副長官になっていたフェルトの協力もあり、ウォーターゲート事件におけるニクソン政権の組織的な関与を裏付けた。後に同事件は全国的な注目を浴びることになり、政権からのさまざまな圧力に屈しなかったポスト紙と2人の記者はピューリッツァー賞を受賞した。
その後も、クリントン政権のチャイナゲート(英語版)事件[1]などワシントンの政界を主な取材対象として積極的な調査報道を行う。ニクソン政権の終焉を描いた『最後の日々(The Final Days)』からブッシュ政権のイラク政策の迷走を描いた『ブッシュのホワイトハウス(The State of Denial)』まで、その著作は常にジャーナリズムの世界で注目を浴び続けている。2018年9月11日には、ドナルド・トランプ政権の内幕を描いた『恐怖の男 トランプ政権の真実(Fear: Trump in the White House)』(翻訳:伏見威蕃)を出版した。
邦訳著書
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89 >
の新著に書かれている。同記者は昨年12月から今年7月までの間にトランプ氏を18回インタビューした。
今月15日発売のウッドワード氏の新著「Rage」(怒り)には、アメリカで最初の新型ウイルスの死者が確認されるよりも前に、トランプ氏が新型ウイルスについて「致命的なもの」だと同氏に語っていたと記されている。
トランプ氏は今年2月、パニックを回避するために新型ウイルスの重大性を過小評価したと述べたという。
「適切な」発言
トランプ氏は10日、「ボブ・ウッドワードは僕の発言を何カ月も報じなかった。僕がすごくひどいことや、危険なことを言ったと思ったのであれば、人の命を救うためにどうしてすぐに報じなかったんだ? 彼にはそうする義務がなかったというのか? いやそれは違う。彼は僕の発言が適切で正しい答えだと分かっていたんだ。落ち着いて、パニックにならないで! っていう発言がね」とツイートした。
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1304042651147284480
その後記者団から、新型ウイルスの危険性について意図的にアメリカ国民に誤解を与えたのではと指摘されると、トランプ氏はうそをついたことは1度もないと答えた。
10日午後のホワイトハウスでの記者会見で、トランプ氏は「うそはつかなかった。我々は落ち着かなければならない、パニックになってはいけないと言ったんだ」と述べた。
さらに、「飛び跳ねて、『死んでしまう、死んでしまう」なんて叫び出したくはなかった。そういう問題じゃないからだ」と付け加えた。
11月の米大統領選で再選を狙うトランプ氏は9日、ウッドワード氏の著書について「政治的な攻撃」だと述べた。
アメリカでは新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)開始以降、19万1000人以上の死亡が確認されている(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計、日本時間11日午前時点)。
ウッドワード氏の主張
ウッドワード氏は、トランプ氏の当時の発言内容を公表せずにいたことをめぐり批判を受けている。中には、同氏の判断は非倫理的なものだったとする声もある。
同氏は9日、米紙ワシントン・ポストとAP通信で、トランプ氏が言ったことが正確かどうかを確認する必要があったと弁解した。
「私が抱えていた最大の問題は、トランプ氏との間では常に問題になることだが、彼の発言が本当かどうかわからなかったことだ」と、ウッドワード氏はワシントン・ポストに述べた。
また、大統領選までに取材内容を公表することが重要だったとAP通信に明かした。「自分の本をクリスマスや年末に出版するなんて考えられなかった」。