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「米ファーウェイ制裁でも影響が限定的な理由
日系電子部品メーカーは禁輸に意外と楽観的」
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2020/09/26 5:25
劉 彦甫(りゅう いぇんふ)Yenfu LIU
東洋経済 記者
台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。専攻はアジア国際政治経済、東アジアジャーナリズム。現在は電機大手や電子部品、精密機械、医療機器、宇宙業界を担当。台湾や香港を中心に東アジアの動きも追いかける。趣味はピアノや旅行。
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冒頭のように、日本国内でもファーウェイの勢いはもはやない。2019年までは、都心に店舗を出す大手家電量販チェーンに多額のリベート(販売奨励金)を支給。店舗内の目立つところに商品を並べるだけでもリベートを出し、一時はSIMフリースマホ市場で販売台数が日本国内トップに躍り出たこともあった。
だが、アメリカ企業の製品やサービスを順次調達できなくなった。とくにグーグルストアやGmailなどが含まれる
「グーグルモバイルサービス」がスマホに搭載できなくなり、日本の消費者は自ずとファーウェイから遠のいた。
日本以外でも同様の事態が生じており、先進国を中心にファーウェイの海外事業は縮小が続いている。
2020年4~6月のスマホ出荷台数の世界シェアでファーウェイは首位に立ったが、内実は競合各社が新型コロナの影響で苦戦するなか、いち早く経済活動が回復した中国市場の需要を取り込んだにすぎない。
地域別にみるとファーウェイの出荷台数に占める中国比率は72%に達する一方で、中国外向けの出荷台数は前年比27%減少した。
今後懸念されるのがファーウェイに部品を供給してきた電子部品各社への影響だ。
ファーウェイによると、日本企業からだけでも年間1兆円超の部品を調達している。今回の輸出規制の影響を受けると考えられるのはソニーやキオクシア、ルネサスエレクトロニクスなど日本を代表する半導体製造企業だ。ファーウェイ製の5G基地局向けアナログ半導体を供給しているルネサスは「9月14日の相手先入荷分までで取引を停止した」という。
禁輸の直接対象にはなっていない部品も、ファーウェイの生産活動が停滞すれば、ほかの電子部品の発注も影響を受けるおそれがある。
「ファーウェイが在庫を積み増すための部品需要の先食いがあったかもしれない」(コンデンサーメーカー幹部)と、例年どおりの売り上げが今年はたたない可能性を示唆する声もある。
ファーウェイに供給していた部品は相対的に高機能かつ高付加価値のものが多く、「上位機種では新モデルごとに毎回最新の部品が採用されていた」(電子部品メーカー首脳)。
ソニーはファーウェイのスマホカメラ向けに画像センサーを供給しているが、カメラ性能がトップクラスであるファーウェイに代わる同規模の顧客を見つけるのは容易ではない。他社でも「(高単価品の数量減で)採算が悪化するおそれもある」(前出の首脳)との声が聞かれる。
ただし、一連のファーウェイ禁輸の影響は実際にはそれほど大きくないと電子部品各社は口をそろえる。
スマホや通信基地局の市場でファーウェイのシェアが落ちても、他メーカーへの部品供給が増えることが期待できるためだ。
アメリカのアップルや韓国のサムスン電子、中国のOPPOなどとも取引のあるメーカーが多く、消費者がファーウェイ以外にシフトするだけなら部品メーカーに影響を与えることはないとの見方だ。
すでに韓国メディアはサムスン電子がファーウェイ向けの半導体供給を停止した一方で、自社のスマホのシェアが高まるため打撃は少ないと伝えている。
各種半導体を自社で製造するサムスン電子のシェアが高まるとソニーやキオクシアなどの半導体メーカーにとっては痛手だが、サムスンと取引がある電子部品メーカーにはマイナスとならない。
さまざまな顧客に部品を販売しているのが日本メーカーの強みであり、今回のファーウェイ禁輸でも各社の顧客開拓力が試されている。(注1)
(注1)(注1)焦点:一帯一路・海外遠征・戦狼外交、共産党一党独裁政府、国家安全維持法=国内域外・事後遡上適用法=施行、中国依存のドイツが味わう「ゆでガエル」の恐怖
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN1HO07I
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN1HO07I