京都で買った ほうじ茶 を飲む。
急に、小末さんを思い出した。
小末さんは、大正生まれの
元・別嬪舞妓さん。
巽橋を渡って、小末さんを訪ねた夏
打ち水をして
涼しげな玄関に
朱色の鬼灯が飾ってあった。
祇園祭だった。
小末さんは、奥のお部屋で
アイスコーヒーを入れてくださった。
なるほど・・・、80歳を超えても、
別嬪さんの風情。
若い頃から食器が好きなので、
旅館や料理屋をしてみたかったとか。
帰ろうとすると、
「京都のほうじ茶どす」。
買ってきたばかりの
手提げ袋に入っていた
ほうじ茶 をお土産に下さった。
小末さんの家は、
お手伝いさんが来て、
一見さんはもちろん無理だが、
昔のなじみ客やお友達は
朝食つきでとまることが出来た。
その「小末旅館」に、
いつか泊めてもらおうと思っているうちに、
残念ながら、ずいぶん前に
小末さんは亡くなられた。
あの、鮮烈は朱色の鬼灯。玄関で手を振って
送ってくれた
小末さんが目に浮かぶ。