このコーナーに書くのは、2年前に護憲+の戦時を語るコーナーに、戦前・戦中・戦後に体験したり聞いた事を書いたものですが、再編してお送りしています。
思い出(2)
小さな町だから出征兵士を送るのは私たち小学生の務め。鎮守の森に出征兵士を迎え武運長久を祈るのである。
当時の邑長さんは朝鮮の方で、高齢なので日本語の発音はもう一つ。最後に万歳三唱をするのに「デンノウヘイカ、パンチャーイ」と三唱したのは良いのだが、誰とも無く「デンノウヘイカ、パンチャーイ・パンチャーイ・パンチャーイ」と訛ったまま全員がやったので、どっと笑いが揚がった。
学校へ帰り全員講堂に集められ、「邑長を馬鹿にするのも情けないが、お前たちのあの態度は不敬罪に当たる」と板の間に正座をさせられ、四時間程説教をされた。
思い出(3)
先にも書いたが、両民族が混在して生活しているので、仲良くなると人間同士のつきあいで人種等関係がない。
夏休みの暑い時、吉州(キルジュ)で、朝鮮の新婚さんの初産が有った。産婆さんは出産が重なって来られないという。
妊婦さんの親類や近所の者が相談したあげくに、母のところへ助け舟を求めて来た。深夜に呼ばれて母は飛んで行った。朝まで経っても生まれない。自宅の直ぐ横で狭い家だから、励ましや叫び声が聞こえてくる。こんなに苦しんで、子供ってどこから生まれてくるのか気にもなる。弟と二人で出産のお宅の横から入り、指に唾を付け戸の張り紙に穴をあけ覗いたのである。そこで見た光景を想像して頂きたい。子供が頭から出てくるのを見て吃驚仰天、音を立てたので母親に気付かれてしまった。
助産婦さんの代理を無事終わって皆さんに喜んでもらったのだが、帰宅した母に首の根っこを掴まれ、お臀を嫌という程たたかれ、柱に縛られたのである。先日弟にこのことを聞くと、良く覚えていて、不謹慎だが大笑いした。
戦前と大東亜戦争時代の日本政府は、朝鮮人に対しての扱いがいささか変わった感じがしている。戦中後半は、弾圧は感じられなくなった気がしている。当時の軍はもし朝鮮で暴動でもあれは戦えないと感じたからではないだろうかと思っている。これはあくまでも私の体感だ。
民族同士でも、個人個人は人間としての付き合いができる。そこに行政という難しいものが入り込むと、人間社会は難しいものになり、それが戦争につながる。人類とは、民族とは。人間は、はたまた難しいほ乳類である。
今後、戦前戦後のことを書くことはないかも分かりません。戦争のため父母や妹を亡くし、思い出すのが辛いことも有ります。
もう一つ、戦争を知らない政治家や国民が増え、内閣が若くなるほど、昔の教訓が分からないというか知ろうとしない政治家が多くなったのが何か空しくなってきましたから。
思い出(2)
小さな町だから出征兵士を送るのは私たち小学生の務め。鎮守の森に出征兵士を迎え武運長久を祈るのである。
当時の邑長さんは朝鮮の方で、高齢なので日本語の発音はもう一つ。最後に万歳三唱をするのに「デンノウヘイカ、パンチャーイ」と三唱したのは良いのだが、誰とも無く「デンノウヘイカ、パンチャーイ・パンチャーイ・パンチャーイ」と訛ったまま全員がやったので、どっと笑いが揚がった。
学校へ帰り全員講堂に集められ、「邑長を馬鹿にするのも情けないが、お前たちのあの態度は不敬罪に当たる」と板の間に正座をさせられ、四時間程説教をされた。
思い出(3)
先にも書いたが、両民族が混在して生活しているので、仲良くなると人間同士のつきあいで人種等関係がない。
夏休みの暑い時、吉州(キルジュ)で、朝鮮の新婚さんの初産が有った。産婆さんは出産が重なって来られないという。
妊婦さんの親類や近所の者が相談したあげくに、母のところへ助け舟を求めて来た。深夜に呼ばれて母は飛んで行った。朝まで経っても生まれない。自宅の直ぐ横で狭い家だから、励ましや叫び声が聞こえてくる。こんなに苦しんで、子供ってどこから生まれてくるのか気にもなる。弟と二人で出産のお宅の横から入り、指に唾を付け戸の張り紙に穴をあけ覗いたのである。そこで見た光景を想像して頂きたい。子供が頭から出てくるのを見て吃驚仰天、音を立てたので母親に気付かれてしまった。
助産婦さんの代理を無事終わって皆さんに喜んでもらったのだが、帰宅した母に首の根っこを掴まれ、お臀を嫌という程たたかれ、柱に縛られたのである。先日弟にこのことを聞くと、良く覚えていて、不謹慎だが大笑いした。
戦前と大東亜戦争時代の日本政府は、朝鮮人に対しての扱いがいささか変わった感じがしている。戦中後半は、弾圧は感じられなくなった気がしている。当時の軍はもし朝鮮で暴動でもあれは戦えないと感じたからではないだろうかと思っている。これはあくまでも私の体感だ。
民族同士でも、個人個人は人間としての付き合いができる。そこに行政という難しいものが入り込むと、人間社会は難しいものになり、それが戦争につながる。人類とは、民族とは。人間は、はたまた難しいほ乳類である。
今後、戦前戦後のことを書くことはないかも分かりません。戦争のため父母や妹を亡くし、思い出すのが辛いことも有ります。
もう一つ、戦争を知らない政治家や国民が増え、内閣が若くなるほど、昔の教訓が分からないというか知ろうとしない政治家が多くなったのが何か空しくなってきましたから。