南シナ海での共同資源開発へ覚書、中比首脳会談
11/20(火) 23:27配信 産経新聞
【シンガポール=吉村英輝、北京=西見由章】中国の習近平国家主席は20日、フィリピンを公式訪問し、首都マニラのマラカニアン宮殿(大統領府)で、ドゥテルテ大統領と首脳会談を行った。両国は南シナ海を念頭に置いた石油と天然ガスの開発協力や、巨大経済圏構想「一帯一路」の推進に関する覚書に署名した。
中国外務省によると、両首脳は両国を「全面的戦略協力関係」に格上げすることで一致。習氏は「インフラ建設や農業分野などでの協力を強化しなければならない」と述べた。また南シナ海の領有権問題については「友好的な話し合いで立場の相違をコントロールできる」と主張した。
ただ、天然資源の共同開発海域はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)や領海内が想定される。ドゥテルテ政権は自国の取り分を6割以上とする確約を取り付けたい意向だが、フィリピン国内には対中警戒から一切の合意に反対する声も根強い。中国との共同開発に踏み切るためには議会の承認が必要で、今回署名した覚書の内容が実現できるかは不透明だ。
ドゥテルテ氏は、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が中国の南シナ海の主権主張を全面否定した裁定を「棚上げ」し、見返りに経済協力を取り付けるなど、対中融和姿勢を維持している。
フィリピン政府によると、中国の国家主席が首脳会談のためにフィリピンを訪れたのは、2005年の胡錦濤氏以来13年ぶり。
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