乙武洋匡氏の【北欧の旅を終えて】という記事を読みました。『北欧で最も感じたのは、「障害者を特別視しない」ということ。町を歩いていても、交通機関に乗っていても、「お手伝いしましょうか?」と声をかけられたり、特別な対応をされることがほとんどなかった。もちろん、こちらが助けを求めれば快く応じてくれるのだろうが、こちらから頼まなければ、とくに見向きもされなかった。それは、私にとってじつに新鮮で、心地の良い世界だった』
この記事を読んで、社会派の名匠スパイク・リー監督の映画「セントアンナの奇跡」を思い出しました。今朝、二度目の観賞をしましたが、最初に観た時以上に様々な<奇跡>が散りばめられていたことに気づきました。
アメリカ軍に入隊したが、母国での訓練期間中でさえ、米国市民から差別を受ける4人の黒人兵たち。ダイナーに立ち寄り、かき氷を注文するが、主人から「裏で待て!」と云われる。国を守るために軍隊に入ったにも関わらず、黒人兵たちへの差別は一向に変わらない。彼らにとって差別をなくすための闘いでもあったはずだ。4人の黒人兵たちはこんな心の葛藤抱きながら、イタリアの山村“サンタンナ”(セントアンナ)に迷い込む。しかし住民たちからは、黒人への差別意識を微塵も感じなかった。母国であるアメリカにいた時、常に感じていた辛辣な差別や疎外感を感じなかったのだ。それが異国の地であることが、彼らには不思議でならなかった。それはまさに彼ら4名にとって一つの奇跡というべき出来事だった・・・
アメリカ軍に入隊したが、母国での訓練期間中でさえ、米国市民から差別を受ける4人の黒人兵たち。ダイナーに立ち寄り、かき氷を注文するが、主人から「裏で待て!」と云われる。国を守るために軍隊に入ったにも関わらず、黒人兵たちへの差別は一向に変わらない。彼らにとって差別をなくすための闘いでもあったはずだ。4人の黒人兵たちはこんな心の葛藤抱きながら、イタリアの山村“サンタンナ”(セントアンナ)に迷い込む。しかし住民たちからは、黒人への差別意識を微塵も感じなかった。母国であるアメリカにいた時、常に感じていた辛辣な差別や疎外感を感じなかったのだ。それが異国の地であることが、彼らには不思議でならなかった。それはまさに彼ら4名にとって一つの奇跡というべき出来事だった・・・
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村上春樹氏の『1Q84』の中で「物語」(=人生)についてこう言っています。「それは理解できない呪文が書かれた紙片のようなものだ。時として整合性を欠いており、すぐに実際的な役には立たない。しかしそれは可能性を含んでいる。いつか自分はその呪文を解くことができるかもしれない。そんな可能性が彼の心を奥の方からじんわりと温めてくれる」<呪文が書かれた紙片>こそが私が想う数々の小さな奇跡と言えます。
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61年も生きてくると様々な小さな奇跡が、今の私の人生を支えいることに気づかされます。若い人には決して見えない人との縁や不思議な出来事がまるで必然であったように私の過去と現在をつなげて見せてくれるのです。映画を観ながらふと自分に起こった奇跡の数々に想いを馳せてしまいました。