楽学天真のWrap Up


一語一句・一期一会
知的遺産のピラミッド作り

世代順送としての終末活動 (1) 残された父の肉声と直筆

2021-01-21 03:00:00 | 生活

 父は34年前に亡くなり、一昨年には兄も亡くなった。母は8年前に亡くなった。そして昨年、実家も畳んだ。父も兄も享年72歳であった。膨大な遺品が残された。

 その父が亡くなる2年前、すなわち70歳の時に録音された声のテープが出てきた。学校教員であった父が、初めての教え子と持った40年目の同窓会の席でのお礼の言葉である。高等小学校の教員となったのは太平洋戦争突入の昭和16年。最初の教え子たちとの集いである。元気一杯で声に張りがある。短い時間に自分の人生も語っている。これから百歳まで生きる決意だ、と。

 しかし、病気したことすらなく、病弱な私から見れば、永遠の命を持つように見えた父は、急性白血病であっけなく逝った。大雪が降り積もる札幌雪まつりを前にした節分であった。走り続けていた父には余命が告知されることはなかった。終末活動が出来ずに逝った父は無念だったに違いない。病院のベット脇には、書きかけた原稿が残されていたという。

 自分も終活を本格的にと再び記し始めたこのブログ。しかし、この世代送りの作業は、自分のことだけではない。どの順番でどう整理するか。膨大な段ボールの山を前に、まず、そのことが課題である。(続く)

 

 


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