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知的遺産のピラミッド作り

科学者という仕事

2008-01-16 04:11:25 | 科学
科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか (中公新書 (1843))
酒井 邦嘉
中央公論新社

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超多忙なのに本を読んでいる。いや、忙しいからこそ読んでいる。
その分、ほかを犠牲にしていることは確かに多い。ごめんなさい。
そして、そしてブログに書く。
人は暇だね!という。
だが、暇だから書いているわけではない。忙しいからこそ書いている。
というわけで、寝る暇がますますなくなる。

自分は研究者に向いているのであろうか、と悩む諸君。どうも集団の中でうまく行かない、でも研究は好きだという諸君。ひょっとしてこの世界は自分と違うのではないかと悩む諸君。ポスドクという暗雲がどっかりとのっかり悩む諸君。ちょっとでも研究に関わっている諸君。この本はまたまた必読だ。

なぜ、私はこの本を手にして、とてつもなく忙しい集団研究のリーダをやるながら読んだのか?
そう、私も未だ悩みながら毎日を過ごしているからである(人間だから当たり前)。
表向きは、「キャーとか、おもしろいね」!とか(本当にそう思えるから)はしゃぎながら自分を盛り上げ、議論を楽しみ、研究者や技術者を鼓舞、盛りあげる。
日本流「和の精神」を私は好きだ。

でも言いたい事を言わせないと、西欧人には通用しない。
ぶつかってこその「和」なのだ。
興奮せずに論理を展開させる。いいながら自己抑制が進行しているのが見える。
<興奮したとたん負けだぜ!>
<お、よしよし、冷静にせや!>と心で言う様が見える。

「おーい、たばこでも吸いにいくか!(Shall we go out to smoke and calm down?>
<ちょっと興奮して失敗したかに見える外人をつれて外へ>
「うめ!大海原を眺めながらの一服は最高だ!」
「アメリカ日本の禁煙運動、くそくらえだ!」

これからも、あ~あ、またあっちでも衝突か、こっちでも衝突か、なんてことが頻発するだろう。
この船の上でも連続だ。予期せずにこの本を持ち込んだが、なかなかいい!
ずーんと迫ってくる。科学者集団の中にどっぷりとつかると実にドラマ人間模様だ。
著者酒井氏の東大の駒場の諸君はこういう人の講義を受けられて幸せである。

でも、ちょっと待てよ。
いつも得するのは東大?
ずるいぞ!東大!

そうか、かれらは聞けるだけが有利なのか?
しかしちょっと待てよ。それってひょっとすると不利?
聞くと読むとは大違い。
聞くより本を読んでその含蓄のあるところを噛み砕く方が有効だ。
映画を見た後の小説より、見る前の小説の方がはるかにおもしろいのと同じ。
活字とはそのような独特のメッセージがある。

というわけでおすすめ。
おっとと、また呼んでる。
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