【教室にて】
Nikon D90 + AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR
あの日起こったスペクタクルなハプニングの数々を、どうして書かずにいられよう。
だがしかし。
ハプニングの内容を事細かに書くと傷つく人がいる。若干一名。
悪魔「でもなぁ、、、あんな面白いドタバタ、そうそうあるもんじゃないぞ?」
天使「でも人を傷つけてまで笑いをとるのは邪道だわっ!」
悪魔「いやいや、『悪口』じゃ無くて『事の顛末』を書くだけだから。あれ?誰が来たよ?」
天使「ホント?宅急便かしら。ちょっと見て来るわ」
という心の葛藤を約0.2秒程した結果、書く事に決めた。
ただし、主人公の名前は伏せ、【仮名:N・Mさん】としておく。
ほら、これだと誰だかワカラナイし◎
* * *
4月某日。
『雨男』から『嵐男』に昇格したナカムラm、もとい、N・Mさんとの『お天気対決』を制したこの日、
『晴れ男』の自分が運転する車にN・Mさんを乗せ、愛知県知立市へと向かった。
目的地は市内牛田町にある某教室&飲食店。
『2月にこの世を去った絵画教室主催者であり友人の四十九日法要を関係者と近しい者だけで行おう』
という名目を掲げた集まりだったのだが、実際には、宴会好き集団の単なる集会である。
故人を大好きだった友人ら総勢18名が集まった。
異変は集合場所から教室へ移動している最中の車内で起こった。
突然、「ぁぁぁぁあぁああああああーーーーっ!!!」というAV女優顔負けの絶叫がおこり、
「いかーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!」と言ったきり固まるN・Mさん。
顔色は真っ青である、と言いたいところなのだが、血色は極めて良さそうだった。
「どうした?」「なにがあった?」「きさまそれでも軍人か!」などの怒号が飛び交う中、
ようやく彼のクチから出た言葉は、「・・・教室のカギ忘れた。。。」と言うコンパクトな一節。
冷蔵庫には大量の飲み物が冷えており、テーブルにはおつまみやお菓子がセッティングされている。
BGMの選定および曲順まで決め、準備万端整えてあるその教室に入る為のカギが無い、と。
正気を取り戻したN・Mさんは、合鍵を持っていそうな人に連絡をするも誰一人として捕まらず。
そうこうしている間に教室に着いた。
「一番安そうなガラスを叩き割れば良い」
「SWAT(特殊火器戦術部隊)に知り合いはいないのか」
「この中に『空き巣で犯罪経験』があってヘアピン持ってる人~♪」
さまざまな解決策が提案され、実行に移されるも、『牛田のアルカトラズ』の異名をとる教室には歯が立たない。
時間だけが空しく過ぎて行く。
だが到着から30分後、知力・体力・焼酎力を兼ね備えた『某夫オールスターズ』がある部分の開放に成功、
何一つ器物を損壊することなく、また死傷者を出す事も無く、無事、玄関の解錠に成功した。ミラクル!
「やれば出来る/最後まで諦めない/食べる前に飲むっ」等を実践した、素晴らしい出来事であった。
予定通りに宴は進み1次会終了、
教室から歩いて2分のところにある飲食店へ移動・2次会のスタートとなった、その前にっ。
この日は特別ゲストが控えていた。故人の奥様と娘さんのお二人である。
生前は、ちょっとした歯車の食い違いから距離をとるようになってしまった故人夫婦だったのだが、
この日は会の主旨を耳にした奥様が参加を快諾、2次会に顔を出して下さることになったのだ。
そして不幸中の幸い&ミラクルその2!
奥様は、故人が所有・管理していた教室の鍵を持っている!!
「解錠したは良いが施錠はどうする?」という大問題も一気に解決した。
2次会会場から車で15分程の距離にある故人宅に向かい、お二人をお連れして戻った。
ぇえ、晴れ男兼運転手(=シラフ)ですから。おやすいご用です◎
教室のカギをかけ、奥様に返却。
始まりこそドタバタした1次会ではあったのが、終わってみれば楽しい思い出では無いかっ。
美味しい料理とそれ以上に消費されるアルコールで、瞬く間に2次会も終了した。
ご機嫌なN・Mさんは、酔拳マスター以上におぼつかない足取り&回らない呂律 with 定まらない視点。
かけがえの無い友人を失って以来落ち込みがちだったN・Mさんなのだが、この日はとても楽しそうに見えた。
・・・飲めない自分が体感・体験することは出来ないが、人生に酒は必要なモノなんだろう。なぁ、N・Mさん。。。
ご機嫌な酔いどれ天使ズを乗せた3台の車は知立駅へと向かった。
そこから電車で名古屋駅へ移動し、1・2次会に参加出来なかった有志と合流・3次会へとなだれ込む為に。
その3台とは別に、故人親子をご自宅まで送り届ける為に遠回りをするmy車には、
N・Mさんともうお一方、計5人が乗車し店を出た。
その時点で、『芸人がコントで演じる酔っぱらい』以外の何者でもない状態のN・Mさんだったのだが、
大人しく座っている分には害は無い。無事親子を送り届け、知立駅へ向かって走りだした。
この時、自分は、残る二人を知立駅まで送り届けたらソコで離脱、3次会には参加せず高速で帰宅るつもりだった。
N・Mさんにその旨を伝え、駅で待っているであろう先行チームに連絡をとり、集合場所等決めるよう促した。
「ないからとれん~♪」 酔っぱらいのご機嫌な声が響く。
ハンドルを握りながら「・・・ハイカラな列車(トレイン)がどーしたと言うのだ」と思っていると、
突然カバンの中身を車内にブチまけ出したN・Mさん。
「ケータイがない~ん♪」 ・・・ぉいぉい、「ない~ん♪」じゃねーし。
「最後に使ったのはドコ?/ポケットには無いの?/ってゆーか寝るな!」等と言いつつ、仕方なく2次会会場まで戻る。
お店の方に事情を話し、一緒に探していただくも、ケータイは無い。
あるとすれば、、、1次会会場の教室だ。
そう、目と鼻の先にあるものの、カギが無くて入れない教室に、だ(涙
事態を把握していないN・Mさんに、「…ケータイ、どーすします?」と聞くシラフ男。
当然、「…明日、自分でカギ持って取りに戻ります。。。」という答えを期待して。
「ケータイほちぃ~♪」 ・・・またカギを借りに戻れと言うのかーっ(ToT)!!!
呑まない自分を呪いながら、三たび故人宅へと向かう。
その間、「どこに行くの~♪」「故人宅に行くの~?じゃー電話しておこっか~♪」「あれ~?ケータイがない~ん♪」
というような意味不明の一人コントが20万回程繰り返される。
故人宅へ到着する寸前、連絡が取れなかった酔いどれチームの一人から連絡があり、こちらの状況を説明する。
と同時に、酔いどれチームの現状も聞く。
「もう解散して自宅に戻ったよ^^」 ・・・ぁあ、、、。。。
この後、彼らにN・Mさんを預けさえすれば、自分は開放されると思っていたのだが、今やその夢も消えた。
気を取り直す気力も無いまま玄関の呼び鈴を鳴らす。 …反応無し。
地元でも有名な名士の家でもある広大な故人宅の周囲を見て回る。 …人がいる気配無し。
親子を送り届けてから40分以上経過している。どこかに出かけてしまわれたのだろうか。
残念なことに、故人妻さんの電話番号は、 N・Mさんしか知らない、、、。
「…N・Mさん、、、故人妻さんがいないからカギ借りられないょ、、、」
「ん~♪だったらちょっと電話してみよっか♪…ぁれぇ~???ケータイがない~ん♪」
・・・説明する事を諦め、その場を後にした。
結局、
運悪く連絡がついてしまったT・Jさん~N・Mさんの弟子にして最大の被害者~と名駅で待ち合わせ、
そのままN・Mさんを押しつけて帰宅した。
残ったものは、ケータイが手に入らなかった徒労感と、
『人生に酒は必要かもしれない、と思った自分はバカだったのかもしれない』、という想いだった【完】
※かなり脚色しています&酔っぱらい、嫌いじゃありませんから^^