冬の空を見上げる
薄い雲に隠れて月がぼんやりと光っている
灰色の雲が流れる
薄い紙が千切れるように流れゆく雲は形を変えている
雲の隙間から銀色の光が瞬いている
名前も知らない星が一つ、二つ
僕は白い息を吐く
地上にも冷たい風が舞っている
夜の闇に飲み込まれないように歩く
底冷えのする空気に触れて頬が痛い
マフラーを口の上まで上げて
毛糸の帽子で耳を隠す
行き交う自動車がまばらな国道を横切り
広い公園に出る
黒い空は覆いかぶさるように広がっていて
それが僕を少し悲しくさせる
僕は自分の卑小さを感じないように
急ぎ足になる
気がつけば手袋を外して
毛糸の帽子も脱いでいる
僕たちが昏い夜を恐れて
僅かばかりの灯をともす
何も見ることのできない場所で
僕はずっと一人で彷徨っている
消え入りそうな光が
その部屋の入口を教えてくれる
僕を待っている人はいるのだろうか・・・・・・