大規模なエルニーニョ現象、6年ぶり暖冬か 気象庁予想
2015年11月30日20時07分
この冬は6年ぶりに暖冬となる見込みだ。気象庁は、西高東低の冬型の気圧配置が強まりにくく、東日本と西日本、沖縄・奄美地方の12月~来年2月の平均気温が平年より高くなると予想する。昨年6月から続く大規模な「エルニーニョ現象」が原因とみられる。
日本から遠く離れた、赤道が通る太平洋の日付変更線付近から南米ペルー沖で、海面水温が平年よりも高くなるのがエルニーニョ現象だ。過去30年間の水温の平年値と比べ、どれだけ高いかで規模を判断する。過去最大だった1997年春~98年春は最大で3・6度高くなった。82年春~83年夏の3・3度、72年春~73年春の2・7度が続く。
今回は10月末の海面水温は2・7度高く、過去3位タイだった。気象庁は「12月にかけてさらに発達する。過去最大には届かないが、かなり大規模なエルニーニョ現象になる見通し」としている。
一般的にエルニーニョ現象が起きると異常気象になり、日本では冷夏暖冬になる傾向とされる。
仕組みは複雑だ。東の赤道付近で海水温が平年より高くなる反動で、①フィリピン付近では海水温が平年より低くなり、高気圧ができやすくなる。②偏西風が日本の東で北に蛇行し、北海道の東にある低気圧の影響が本州付近では弱く、冬型の気圧配置が長続きしない。③本州では、大陸の高気圧から冷たい北西風が吹きにくくなる。この結果、東日本以西の寒さが緩むと考えられている。北海道と東北地方では平年並みの寒さになる見通しだ。
一方で雨や雪への注意も必要だ。エルニーニョ現象でフィリピン付近で高気圧ができやすくなると、その高気圧の西側を通る形で、本州の南岸を発達しながら進む「南岸低気圧」が発生しやすくなり、太平洋側で雨が降りやすくなる。ここに強い寒気が南下するなどの条件が重なると、首都圏でも大雪が降ることもあるという。
気象庁によると、97年春~98年春は、西日本や沖縄・奄美で1度、東日本で0・6度高かった。一方、過去2番目の規模だった82年春~83年夏は、西日本と沖縄・奄美で平年値を0・4度下回った。安田珠幾・エルニーニョ情報管理官は「一般的にはエルニーニョ現象の年は暖冬と言われる。ただ、大規模な現象が起きても平年並みの冬になる年もあり、現象の規模と暖冬の関係は十分に解明されていない」としている