衛星打ち上げ名目で事実上の弾道ミサイル発射予告をしている北朝鮮が、すでにミサイルへの燃料注入を始めたとみられることが4日わかった。米国防当局者が朝日新聞に明らかにした。「早ければ数日内に発射準備が整う」としており、北朝鮮が設定した発射予告期間初日の8日から間を置かずに発射される可能性がある。

 国防当局者によると、事実上の弾道ミサイルへの燃料注入の動きが見られたのは、北朝鮮北西部、平安北道(ピョンアンブクト)・東倉里(トンチャンリ)の発射場。現地時間の4日以降、屋根のある鉄道施設や作業用の白い幕で覆われたミサイル発射台、燃料庫がある場所で、人や機材の動きが活発になった。米国は地表にある大きさ30センチ程度の物体も解析できる軍事偵察衛星などを使って北朝鮮の動きを監視しており、すでに燃料の注入が始まったと判断した。

 ログイン前の続きこの当局者は、いったん燃料注入を始めたら、安全性や確実性の面から途中で中断したり、抜き取ったりすることは難しいと指摘。通常の作業ならば、数日で発射準備が整うという。

 北朝鮮は、「地球観測衛星」を打ち上げるロケットの発射を8~25日の期間中、午前7時から正午(日本時間午前7時半から午後0時半)に実施すると国際海事機関(本部ロンドン)に通知している。

 北朝鮮は、「人工衛星」打ち上げ名目の長距離弾道ミサイルを発射した2012年4月には、実際に発射した2~3日前に燃料を注入。この時は、招待した外国メディアに北朝鮮の衛星管制総合指揮所の責任者が説明していた。燃料の注入が終われば、ほぼすべての準備が整う。12年4月の際は、予告期間の2日目に発射されたが、機体が空中爆発し、ミサイル発射は失敗に終わった。

 北朝鮮の行動は予測しづらく、衛星で監視されていることを逆手に攪乱(かくらん)する意図がある場合もある。ただ燃料注入が事実なら、天候などの要因はあるものの、8日以降はいつでも発射できる態勢を整える意図があるとみられる。