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南海トラフ地震の「予兆」!? 4月の三重沖地震に学者ら厳重警戒
4月14、16両日に最大震度7の揺れを起こした熊本地震は今も大きな被害の爪痕を残す。この半月前の4月1日に三重県南東沖で発生したマグニチュード(M)6・5の地震は、被害はなかったが、津波を伴う巨大地震につながる可能性があったとの見解が地震研究者の間で広がっている。西日本の地震に詳しい梅田康弘・京都大名誉教授(地震学)にこの地震の性質や今後の見通しなどを聞いた。(編集委員 北村理)
-三重県沖の地震について、政府の地震調査委員会は先月「プレート境界地震」と結論づけた。プレート境界地震とはどのようなものか
「地球の表面は『プレート』と呼ばれる十数枚の岩盤に覆われている。それらは互いにゆっくり動いており、プレート同士が接触している場所(プレート境界)はひずみ(エネルギー)がたまる。ひずみが一定規模になるとプレートの接触面が崩壊し、津波地震が発生する。今回の三重沖地震の場合、太平洋沖に広がるフィリピン海プレートと日本列島側にあるユーラシアプレートの接触面が一部分崩壊し発生した」
-南海トラフ地震に発展する可能性はあったか
「可能性はあった。接触面の崩壊が南海トラフに達していたら大きな被害が出たかもしれない。今回は崩壊が局所的だった」
-三重沖地震の特徴は
「あのエリアでのプレート境界地震は昭和21年の南海地震(死者1330人)以来。フィリピン海、ユーラシア両プレートは密着しているため、巨大地震以外は地震が起きないと考えられてきた。一方、非常に微弱な『スロースリップ地震』が起きており、その観測は巨大地震予測につながるとして注目されている」
-昭和19年東南海、同21年南海地震に「前震」はあったか。今回は前触れと考えられないのか
「確認されていない。戦中戦後の混乱期だったため調査は困難だ。今回は次の南海トラフ巨大地震の前触れとも考えられ、研究者の注目度は高い」
-次の巨大地震への関心が高まっている
「いつ起きるかという予知は現在の科学では不可能だが、仮説はある。昭和東南海、南海地震がそれ以前の地震の規模に比べ小さかったため、従来の90〜150年の発生間隔より短くなるというものだ。いつ地震が起きても対処できるようにしなければならない」
-われわれが注意すべきことは何か
「まず気をつけねばならないのは、東日本大震災より地震の揺れによる被害が大きいと考えられることだ。東日本を起こした日本海溝の震源域は陸から遠いが、南海トラフは近く、地震の揺れがより強く陸上に届く。津波の到達時間も短い。家具固定で自宅内の避難路を確保し、津波から逃れられる安全な場所を事前に把握しておくなど身近なことから取りかかるべきだろう」