<noscript style="display: none;"></noscript><noscript style="display: none;"></noscript> EU離脱へ――。英国の国民投票の結果が24日、驚きとともに世界を駆け巡った。呼応して激しく動いた円相場や株価。日本国内では、今後の暮らしへの影響に不安が広がった。

 経済の先行きへの不安が広がる。

 「どこまで影響が広がるのか全く想像がつかない」。名古屋市でネジ製造工場を営む男性は不安を隠さない。売り上げの約7割が、トヨタ向けなど自動車部品関連。その一部は欧州に渡る。「EU内で離脱の連鎖が進み、世界経済が混乱するかもしれない」。熊本地震などで売り上げが落ちただけに「泣きっ面に蜂」とこぼす。

 欧州で根強い人気を誇る盆栽をEU向けに輸出する「横浜植木」(横浜市)の柳原邦之園芸部長は「もし英国とEUで検疫の検査方法が別々になれば、業務に影響が出る」と懸念する。ギリシャ・ショックなどで、ここ数年は期待ほど輸出が伸びていないという。「さらに景況感が悪くならないか注視したい」

 円安も一因となって増えていた訪日外国人観光客。JTB広報担当者は「円高がさらに進むと、訪日客にとって日本での宿泊や食事代が割高になり、影響が出る可能性がある」という。

 東京の大学に通い、9月からロンドンの大学院に留学予定の中川花依(かい)さん(23)は「対立が深まり、過激な運動が増えるのでは」と話す。多様な背景を持った人たちとの交流を期待していた。しかし、女性議員殺害事件もあり、「今はロンドンに行くのが怖い」。

 ロンドンの金融街シティーで働く日系メガバンクの駐在員(40)は「予期していなかった。英国も私の勤め先も、これからどうするんだろう」と不安がる。職場にはEU加盟国出身の同僚もいる。「同僚も何人かいなくなると思う。英国の経済力低下は避けられないのではないか」

 日英両国民の親善のために活動する「一般社団法人日英協会」の白方純事務局長(64)は商社マン時代に約5年間、ロンドンに駐在した。「結果は意外。国際情勢や経済環境には様々な影響が出る可能性があると思う」と心配する。