奈良の秋の風物詩「鹿の角きり」が6日、奈良市日野町の「鹿苑(ろくえん)」で始まった。勢子(せこ)や神官に扮した奈良の鹿愛護会(同市)の人たちが鹿を追い込み、押さえつけるたびに、観光客らから歓声が上がった。角きりは発情期の雄が角で人やほかの鹿を傷つけるのを防ぐため、江戸時代初めに始まった。8日まで。

 角きり場には興奮した様子で走り回る雄鹿。勢子たちが声を掛けながら、竹ざおで追い込む。竹製の捕獲具で捕まえ、数人がかりで押さえつけると、神官が近づき、のこぎりでゆっくりと角を切り落とした。

 静岡県磐田市の中学1年生、川原ゆずさん(12)は「初めて見ました。思った以上の迫力でした。捕まえる人が力ずくで捕まえようとする姿が格好よかったです」と話した。

 正午~午後3時の5回、3頭ずつ切る。中学生以上1千円、小学生500円。奈良の鹿愛護会(0742・22・2388)。(桜井健至)