全国の魚や野菜が集まる東京都中央卸売市場豊洲市場」(江東区)が11日、開場した。83年間続いた築地市場(中央区)が6日で営業を終え、移転。土壌汚染問題などで予定より2年遅れたが、新たな食の流通拠点を目指す。

 この日は早朝からマグロなどの初セリがあり、真新しい施設でさっそく威勢のいいかけ声が響いた。

 豊洲市場は、都が約5700億円かけて整備。移転前の築地では全国の中央卸売市場の4分の1の水産物が取引されており、都は豊洲についても「日本の中核市場」(小池知事)を目指す考えだ。水産や青果ごとに建てられた施設は、築地と違って屋内に外気が入りにくい「閉鎖型」で、温度や衛生管理を強化。広さは築地の1・7倍となる40・7ヘクタールで、魚や野菜の加工や調理ができる「加工パッケージ棟」や、荷物を他市場に転配送するための施設も整備するなど、最新の設備をそろえる。

 都が移転を決めたのは2001年。築地市場の老朽化や狭さが深刻化したことから、2・3キロ離れた豊洲を予定地としたが、08年に環境基準の最大4万3千倍の有害物質ベンゼンが検出され、都は対策工事に追われてきた。16年に小池百合子都知事が就任すると、安全性の懸念などを理由に移転を延期。土壌汚染対策の柱だった「盛り土」がないことが分かったうえ、地下水からも基準を超えるベンゼンが検出されて追加対策を実施したことなどから、予定より2年遅れで開業することになった。

 豊洲市場では、すし屋など多くの飲食店や物販店も築地市場から移転。観光客などは13日から利用できる。一方で築地市場は11日から解体作業をはじめ、20年東京五輪パラリンピックでは、選手や大会関係者らの輸送拠点として使われる予定だ。

 11日未明には、ぼや騒ぎもあった。午前2時50分ごろ、豊洲市場内の7街区で出火。東京消防庁によると、魚などを運搬する小型運搬車「ターレット」(ターレ)1台が焼けた。約30分後に鎮火し、けが人はないという。