人生100年時代への備え ──今日は世界骨粗鬆症デー
2018年10月20日
2007年生まれの子は107歳まで生きる?
2007年に生まれた日本の子どもが、107歳まで生きる可能性は50%ある、という研究結果があるそうです。
伸び続ける平均寿命、科学の進歩……を考えれば、「人生100年時代」の到来は現実的なものかもしれません。
ならば……長い老後を豊かに、楽しく、自立して生きたいですね。単なる長寿ではなく、生活の質を伴った自立した老後「quality of life(QOL)」を実現したい……。
前回は、高齢化社会の大敵である骨粗鬆症の原因や問題点、症状をご紹介しました。今回は、骨粗鬆症の予防や治療についてみていきましょう。
2107年 ── 今からおよそ90年先の予測であるとしても、驚きですね。「長生き=幸せ」とは限りません。経済的な問題もあれば、介護など周囲への負担の問題もある。それらを踏まえたうえで、「人生100年時代」に備えていきたいですね。
「人生100年時代」に期待するためにも、骨粗鬆症とどのように取り組めばよいのでしょうか?
骨の新陳代謝 ── 生まれ変わる骨
骨は骨吸収(骨を壊す働き)と、骨形成(骨をつくる働き)を繰り返し、健康な骨を維持します。そのピークは一般的に40代までで、それ以降は骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨量が減っていきます。
健康な骨では、骨吸収と骨形成のバランスがつり合っていますが、骨粗鬆症の骨では、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上まわってしまい、骨がスカスカしてもろくなり骨密度が低下します。特に女性は閉経後、ホルモンバランスの関係から骨吸収のスピードが骨形成を上回り、60代以降で骨粗鬆症のリスクが高まります。
骨粗鬆症、予防の柱は食事と運動
バランスのとれた食事
【多くとった方がよい食品と控えたほうがよい食品】
多くとった方がよい食品
● カルシウムを多く含む食品(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、大豆・大豆製品)── 骨の材料
● ビタミンDを多く含む食品(カツオ、鮭、卵、きのこ類)── カルシウムの吸収率をアップさせる
● ビタミンKを多く含む食品(納豆、緑色野菜)── 骨をつくる働き
● 果物と野菜
● タンパク質(肉、魚、卵、豆、牛乳・乳製品)── 骨の質を高めるコラーゲンの材料
控えた方がよい食品
● リンを多く含む食品 (加工食品、一部の清涼飲料水)
● 食塩
● カフェインを多く含む食品(コーヒー、紅茶)
● アルコール
また、運動することによって、骨が刺激を受けて骨細胞が働き、骨の形成を促す指示を伝えます。するとカルシウムが取り込まれてあらたな骨細胞が形成されます。骨は骨に対しての重さ(体重)や運動という負荷を感じて、身体を支えるために骨を強くします。
大切なことは「寝ているよりも座っているほうが、 座っているよりも立っているほうが、立っているよりも歩いているほうが、骨を強くするためにはよい」ということ。マメに動くことをこころがけたいですね。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でもつくられます。夏の直射日光を長時間浴びることは皮膚が赤くなるなどダメージにつながりますが、適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。
冬であれば30分~1時間程度散歩に出かけたり、夏であれば暑さを避けて木陰で30分程度過ごすだけで十分。 屋内で過ごす時間が長い高齢者や、美容のために過度な紫外線対策を行っている人には、ビタミンD不足が心配されます。
運動をかねて外出する機会をつくり、上手に紫外線と付き合っていきましょう。
骨粗鬆症の治療
早期治療が効果的
骨密度検査は、骨の健康を知るうえで重要な手がかりです。 日本では、40歳以降の女性を対象に5年刻みに骨密度の節目検診を行う自治体が多くなっています。 特に閉経後の女性は、可能であれば1年に1度検診を受けるとよいとされています。
骨密度検診は、地域の広報誌やホームページ、保健センターに問い合わせするなどして確認できます。かかりつけの医師に相談するのもよいでしょう。
検診で骨密度が減っていると判定された場合は、指示された時期に医療機関で診断を受け、治療の時期を逃さないようにしましょう。
骨粗鬆症治療の目的は、骨密度の低下を抑え骨折を防ぐことにあります。治療の中心は薬物治療になりますが、骨粗鬆症の発病には食事や運動などの長年の習慣も深く関わっています。そのため、薬物治療とともに食事療法や運動療法も並行して行い、骨強度を高めていくことが重要です。
薬物については、老化によって減ってしまった骨を若い頃のように戻す薬はありません。
しかし、最近では早期治療により骨粗鬆症による骨折がかなり防げるようになりました。 現在使われている薬は、骨の吸収(骨を壊す働き)を抑える薬、骨の形成(骨をつくる働き)を助ける薬、吸収と形成の骨代謝を調節する薬の3つに大別できます。
極端なダイエットはNG!
健康的なダイエットを……
バランスのよい食事と運動──健康的なダイエットが骨粗鬆症予防にもつながるのですね。
では、最後に骨粗鬆症予防のおススメメニューをご紹介しましょう。
【じゃこトースト】
材料(1人分)
食パン(6枚切り)1枚(60g)、しらす干し15g、青じそ1枚、焼きのり1枚、ピザ用チーズ25g
作り方
●食パンに、焼きのり、チーズ、しらす干しをのせてオーブントースターで焼き、せん切りにした青じそを散らす。
日常の小さなこころがけをつみ重ねることで、健康的に美しく年を取り……「人生100歳時代」に備えたいですね。