来春の天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位の準備を進めるため、政府は12日午前の閣議で、安倍晋三首相が委員長を務める「式典委員会」の設置を決めた。直後に首相官邸で初会合を開き、安倍首相はあいさつで、新天皇の即位日となる2019年5月1日を来年限りの祝日とし、来年の大型連休を10連休とする方針を表明した。

 首相は、新天皇の即位を国内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」の同年10月22日も、祝日とする方針を明らかにした。5月1日と10月22日を、来年に限って祝日とする政府提出法案を臨時国会に提出する見通し。

 この日設置した委員会の名称は「天皇陛下の退位及び皇太子殿下の即位に伴う式典委員会」。菅義偉官房長官が副委員長を務め、杉田和博西村康稔、野上浩太郎の3官房副長官、横畠裕介内閣法制局長官、山本信一郎宮内庁長官、河内隆内閣府次官で構成する。1~2カ月に1度会合を開き、式次第や参列者の範囲などを検討、皇位継承の各儀式の実施指針となる大綱を取りまとめる。

 首相は「天皇陛下の退位と、皇太子殿下の即位が同時に行われるのは約200年ぶり。我が国の歴史にとって極めて重要な節目だ。国民こぞって言祝(ことほ)ぐことができるよう、政府として万全の準備を進めていかなければならない」と述べた。

 初会合では、皇位継承順位第1位の皇嗣(こうし)となる秋篠宮さまが、皇太子と同様の立場であることを内外に示す「立皇嗣(りっこうし)の礼」の2儀式を、憲法が定める国事行為として20年4月19日に行うことも決定した。

 ログイン前の続き立皇嗣の礼は、天皇の弟が皇太子待遇となるのに伴い初めて実施される。浩宮さまが皇太子となった際の「立太子(りったいし)の礼」にならい、皇太子待遇となったことを宣言する「立皇嗣宣明(せんめい)の儀」、天皇にお礼を述べる「朝見の儀」を20年4月19日に行う。立太子の礼では賓客を招く祝宴「宮中饗宴(きょうえん)の儀」も行われたが、宮内庁内には見送り論がある。

 この日の会合では、来年2月24日に政府主催で行う「天皇陛下在位30年記念式典」の概要も決まった。即位20年の式典を基本的に踏襲し、首相が式辞、衆参両院の議長と最高裁長官らが祝辞を述べる。「国民代表の辞」もあり、民間から研究や芸術、スポーツなどで業績をあげた人々も招く。

 内閣府には、各府省庁の事務次官らで構成する「式典実施連絡本部」(本部長=菅官房長官)を設置。警備、外国からの賓客、国内の参列者といった分担ごとに班を立ち上げ、事務的な準備を加速させる。

 政府は4月、皇位継承に伴う一連の儀式や式典に関する基本方針を閣議決定。憲政史上初となる退位の礼として来年4月30日に「退位礼正殿の儀」、翌5月1日に皇位のしるしとされる神器などを引き継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」――といった一連の日程を決めていた