■耐震は倒壊(とうかい)しない強度。免震・制振は揺(ゆ)れを抑える仕組み

 アウルさん 「KYB」という会社がつくった免震(めんしん)・制振装置(せいしんそうち)で不正があったと聞いたよ。大丈夫(だいじょうぶ)なの?

 A 建物を建てる時には、まず耐震基準(たいしんきじゅん)を満たす必要があるんだログイン前の続き。免震や制振で国などの基準に合わないとしても、すぐに建物の安全性に問題が出ることはないとみられているよ。

 ア 耐震基準って?

 A 1950年にできた建築(けんちく)基準法に基づいているよ。以前は震度(しんど)5強程度の地震でも建物が損傷(そんしょう)しないことが求められていた。でも過去の地震被害(ひがい)を受けて81年に基準が強化され、今は震度7程度でも人命に危険をおよぼすような倒壊(とうかい)が起きない強度が求められているんだ。

 ア それではなぜ、免震や制振装置を付ける建物があるの?

 A 耐震基準を満たしていても、大地震で亀裂(きれつ)が入るなど建物に被害が出る場合もあるし、大きな揺(ゆ)れで家具やオフィス機器が倒(たお)れてけがをすることもある。より高い安全性能を求め、揺れを抑える免震や制振装置をとり入れる建物が増えているんだ。

 ア どんな建物で?

 A 揺れが大きくなりがちな高層建物、不特定多数の利用者が出入りする施設(しせつ)、被災(ひさい)後も活動を続ける必要がある病院や庁舎などで使われているよ。

 ア どんな仕組みなの?

 A 免震は、地下に装置を設けて振動(しんどう)が建物に伝わりにくい構造にする。制振は、各階に装置を配置して風や地震の力を吸収し、揺れを低減させるんだ。

 ア 不正があるなら、やっぱり心配だね。

 A ただちに大きな危険があるわけではないけど、装置の効果が想定よりも小さくなって、揺れ幅(はば)が大きくなったり、建物の一部が損傷したりする可能性がある。わたしたちも地震にそなえて、家具やオフィス機器を固定(こてい)するなど、ふだんから対策を取ることが大切だよ。