夏になるとNHKが「日本怪談百物語」とか「文豪怪談」といった面白い番組を放映してくれる年もあるし、雑誌で妖怪やお化けの特集が多い年もあるのだけれど、今年はそうでもない。
「お化けが足りない。」とフェイスブックに書き込んだら、風流人の山野辺さんから「上野でやってる幽霊画展は見たかい?」というコメントをもらった。
調べてみると三遊亭圓朝コレクションの幽霊画中心とあった。
圓朝コレクションの幽霊画ならば、何年か前に谷中の全生庵で開催された幽霊画展で観てはいたのだけれど、今回の幽霊画展は話題にもなっているようだし、行くべきだと思って予定を調整した。
中央に蚊帳が吊られた休憩場所がある展示室にずらりと幽霊画が並べられている。
そのほとんどは色がなく、会場全体がモノトーンの色あせた印象になっている。
耳を澄ますと風の音の効果音が流れている。
絵とは謂えどもこれだけの幽霊に囲まれ、みつめられると動きが不自然になる。
かくかくして思うように足が出ない。一歩を踏み出すのが億劫だ。
足がすくむというのはこういう状態なのだろうか。
心なしか頭も重い気がするし、目眩もする。
蚊帳越しに観る幽霊画もまた一興。面白い演出だ。
幽霊画と言えば「円山応挙」といつしか子どもの頃から教わってきたが、実際に応挙の絵を観たのはおそらく大人になってからだ。
応挙の幽霊は儚げではあるけれど、線が柔らかく、ふっくらとしていて優しそうで、恐ろしさは感じない。
今回は応挙本人の画はないようだけれど、手本にして描かれた作品がいくつか展示されている。
展示室の最後のコーナーの手前で展示されているお化けのお面は強烈なインパクトでこれはトラウマになるかも。
帰りにショップで泉鏡花小品集「おばけずき」を購入。
夏はもう終わりな感じだけれど、秋に怪談を読むのも悪くはないだろう。
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