はぎやまのりへいの日常

読書、映画、美術展、そしてキャリア教育。
好奇心と愛で書き綴ります。

Vol.260 フランシス・ベーコン展

2013-05-01 21:39:15 | 芸術




たしか、初期の京極夏彦の小説に人の顔を認識できない女性が登場したと思う。

顔を覚えないと、相手が誰だか認識できないものだろうか?

声や感触や雰囲気だけでも誰なのかはわかるだろう。
だけど、最後はやはり顔で判断していることが多いと思う。
頼りの「顔」が悪夢のようにぐちゃぐちゃだったなら、
やはり不安だ。

動物の怪談で、狸や狼の化け物が人を食い殺して
その人に成りすましていると、
身内の人間、例えば夫や子どもが
「たしかに妻なのだが、明らかに妻とは違う」
というように感じて正体を見破るという話が多くある。

ベーコンの絵はそんな絵のような気がする。

静止したものではなくてスピードや時間の経過を描いているので、
犬が犬ではないし、人の顔は認識できない。

そして檻に囲まれている。

顔に穴がある絵がある。
穴は黒いことが多いが、白いものもある。

その穴から空間が歪み、身体や顔が奇妙に捩じれる。
吸い込まれようとしているようにも見える。

天才なのか、病んでいるのか。
いずれにしてもあまり気持ちの良い絵ではない。


MacのPhoto Boothの渦巻きというエフェクトで写真を撮ってみた。
忌々しい感じだ。


ベーコンは17歳の時に、道端にある犬の糞を見て、
人生はこのようなものだと悟ったんだそうだ。


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