長男がミニバスをはじめて1年半ほどになる。
僕は前に勤めていた会社を辞めて、地域の活動に積極的に参加するようになったらいろいろなことが見えてきた。
地域のコミュニティなんて存在しないのかと思っていたけど、実は活発に活動していて、僕に見えていないというか、見ようとしていないだけだった。
長男の通う小学校では小学生のバスケ、ミニバスが実は盛んだった。
僕は子どもにサッカー、野球、水泳、空手、何でもいいからスポーツをやってもらいたいなと思っていた。
自分が中学生の時にバスケ部に入っていて、バスケを好きだったので子どもがやってくれたらいいなあと思って、試しに一日参加させてみたら、ぜひやりたいというので実は心底うれしかった。
やりはじめたのはいいけれど、臆病で優しい子なので腰が引けてるし、気持ちが前に行かない。だからボールや勝負に対する執着が足りない。
他の子の方が積極的だし、頑張って見える。「もっと頑張れよ!」と心の中で思って歯痒い思いで見守っていた。
うちの子は母親譲りの真っすぐな正義感があるので、力一杯努力して、サボらなくて、ルールを守る優等生なんだ。1年もそういう態度を続けているとそれなりに長所が顕われてくる。練習をサボらないで全力でやっているから体力がついてきた。センスは相変わらずで、ちっとも器用じゃないからそう簡単に活躍はできないんだけど、それでもそれなりに体力だけはついてきた。
1年生の時は40位くらいだったマラソン大会の順位が、10位以内を目標にできるようになった。そんなところを監督やコーチも見ていてくれて、ちっともバスケが上手じゃないうちの子に積極的に声をかけてくれる。父親としてはすごくうれしいことなんだけど、本人はそうでもないらしい。声をかけてくれていることも、ただ怒られているとしか受けとめられないらしい。そして、わが家は母親が厳しい。ちょっと気を抜いた素振りをすれば「やる気がないならやめろ!」と厳しく言われる。本人としてみれば、親に言われたからはじめたことだし、毎週土日に欠かさずバスケの練習に行っていたら好きなレゴブロックも思う存分はできないので、そんな風に言われて、やめれるもんならやめたいもんだくらいに思っているらしい。
それでも、怒られながらも頑張って練習に行って、そして、ちっとも上手くならないしそれほど楽しくもないし、なんのためにやっているのかわからなくなったのか、「行きたくない!」と泣きべそをかく。いじめられたりからかわれていたりするのかなと心配もしたけど、仲間たちはみんないい子だし、どうやらそういうことでもないらしい。今日もショッピングモールの映画館でミニバスチームの6年生たちに出会って、親しく声をかけられているのをみると親としてはちょっとうれしかったりする。
僕は続けてもらいたいから無理やり行かせたいとも思うんだけど、モチベーションが大事だから行きたくないものを無理に行かせるのは逆効果かなとも思う。
ミニバスは昨年、小学3年生からはじめた。3年生の子にスポーツのやる気を出させるなんて、これは相当難しいと思う。いろいろ考えた末に「スラムダンク」を読ませようと思った。人の心を動かすにはストーリーが必要だと考えたからだ。スラムダンクは単行本で40巻くらいになっている。大判の完全版なら25巻で完結。そこで僕は完全版を毎月1巻ずつ買って読ませることにした。そして、今日買ったスラムダンクは17巻。つまり、ミニバスをはじめて17ヶ月になったのである。
15巻、16巻はドラマチックで感動的だった。それに比べると17巻はちょっと地味だ。だけど、よく読むと深いのである。活躍するには才能だけじゃなくて、努力が大切だということを教えてくれる。地味な基本練習の重要性を教えてくれる。そして、そうした努力はやがて力となって報われるのだ。スラムダンクの登場人物は才能があって最初からスターのキャラが多いけれど、努力によって報われるストーリーが実は多いのである。
うちの子に足りないのは勝負への執着と、チームで勝つことの楽しさ、そしてチームに自分が貢献できることの喜びだ。
たかだか小学校4年生にそれを要求してもなかなか難しいことはもちろんわかっているけれど、やがて実感する日が来るはずだ。チームで勝つことや、チームへの貢献をわかるようになると、スポーツは断然面白くなる。だからその日が来るまでは、親としては投げないで頑張ってほしいと願うばかりである。
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