三女はよく幽霊を見る。
長女もよく見る。
次女はというと、見るけど何にも言いたくないみたい。
私?
昨日の夜、私の布団を踏みつけて歩いて行った人がいたけどそれはいつものことなので・・・。
近くのバス停から家まで歩いて3分ぐらいなんだけど、この道よく出るみたい。
一年前ぐらいに葬儀場が出来て、夜道も明るくなり、まあ暗いよりは明るい方がいいし
人通りもないよりはあった方がいいかも、と何とも複雑な気分なんですが。
夜遅くにそこを歩く三女はやっぱり怖いみたいです。
ただ出るだけならいいけど引っ張られるなんてことがあったら・・・。
帰るコールが来たらなるべくバス停まで迎えに行くようにしてるの。
で、少し前の事なんだけど。
帰り道でちょっとはっきりとしたおばさんの幽霊をみた三女。
効果があるのかどうかよくわからないけど、バス停までの道のりに塩をまいて
お祓いをしたら少しは成仏してくれる人もいるかも、と私は思ったのでした。
人通りのない時間帯。
暗くなってから実行に移そうと、大量の塩を用意しておきました。
で、夜。
三女からの帰るコール。
いざ!
ビニール袋に大量の塩を入れ私は家を出たのでした。
外はもう日も暮れて真っ暗です。
葬儀場も珍しくやっていないようで時々通る車のライトがまぶしく光ります。
さあ。
今。
ふれ。
塩をふりまくれ。
私はビニール袋から握れるだけの塩を手に持ち、そして歩きながらさりげなく塩を少しづつ道にふり落しながら歩くのでした。
歩くのでした。
ずんずん歩き続ける。
と、私はふとあることに気がついたのです。
こ、これはまるでマイケルジャクソンではないか?ということに。
今夜はビート・イットのpvのアレ。
細かく右手でリズムを取りながら歩く。
ああ、全くアレそのもの。
「ふふふっ」と楽しい気分でどんどん塩をまきながら歩いて行くと、前から三女が。
何だか恥ずかしい気もするけどこれは大事なこと。
出来るだけ塩をまいてから帰ろうとマイケルジャクソンを続ける私なのでした。
「え?ママさん?」
なんとすれ違うまで私に気がつかなかった三女。
「なんか、車のライトでよく見えんやったけど。前からすごい格好いいシルエットの人が
歩いてくるなぁと思いよったんよ。」
「え?マイケルみたいな?」
と私が聞くと
「そうそう、なんか踊りながら。」
ああ、他の誰ともすれ違わんでよかった~。
って、本当は一人、男の人と連れ違ったんですけどね。
ふふっ。
変なおばさんって思ったことでしょう。
三女が言うのは、逆光で顔とかほとんど見えなかったので私だとは全くわからなかったそうです。
皆さんも細かく小刻みに塩をふる時はマイケルジャクソンの気持ちになってやってみてね。