放課後、自転車に乗って、町内を走っていて、同じ様に自転車に乗った、「男」とからかった奴を見つけると、後を追いかけた。
向こうは集団の中では元気だが「一対一」となると怯えて逃げる。
そこを絶対に逃がさず、脚力に物を言わせて人気のない野原に追い込み、自転車をぶつけて転ばすのである。
あっけなく転び、「ぴーー」と泣く彼を冷ややかに一瞥し、立ち去るのが喜びだった。
内股とは正反対のタイプである。
女の子が男の子のような恰好をすると、もの凄く、はやし立てられた時代だった。
歴然と「男」と「女」が区別されていて、小学生の女の子の中にすでに「かわいい女」を意識して行動していた子がいたのであった。
松田聖子がデビューした時、ぶりっ子と言われていたが、それは彼女がデビューする以前に、すでに世の中には、そういうタイプが居たという証拠である。
本人の本当の気質は知らないが、服装、ヘアスタイル、しぐさ、必須アイテムの内股から、ぶりっ子の象徴になった。
だいたい、こういうタイプは同性からは好かれないから、その反動か、女が外股で何で悪いというふうになり、外股どころか、大股開きも大丈夫になった。
パンツを穿いて大股開きで街を闊歩する。
それが、かっこいいと言われるようになった。
男性達は、ちょっとひいたと思う。
それでもフリフリの服を着て、内股にして女をアピールするより、大股開きのほうが気分がいい女性達はそうしていた。
そのうち、ある業種ではパンツも穿かずに平気で大股開きする女性まで登場して一時期はとんでもない状況に陥っていた。
そして段々内股は廃れ、どこかに跳んでいってしまったのである。
外国には内股なんてないだろうから、日本舞踊とか日本的なしぐさが必要な場合は別にして、内股は日本女性からは永久に無くなったものだと考えていた。
ところが最近、雑誌を見ていて広告写真に可愛らしい若いモデルが内股ポーズでおさまっているのを見て「おおっ」と目を見張った。
「いったい、これは自主的に?それともカメラマンが?」
私は、じーっと写真を眺めた。
あまりに女性達が大股、外股で歩き過ぎて、男性を蹴り飛ばしたために反動で世の中が、そろりそろりと内股志向になってきたのだろうか?
流行のメイドちゃんたちも内股だ。
外股で堂々と立っているメイドなんて、本物の外国のおばちゃんメイドくらいしかいない。
これから世の中で、どれくらい内股が出現してくるのか、興味深く観察していきたいと考えているところである。
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