プーケット二日目
浜辺で私達の隣にいた新婚カップルは、単に新婚旅行のビデオではなく、
まるでエッチ系のビデオ撮影のような執拗な撮り方を始めていた。
彼は彼女の半ズボンの脱ぎ方も気に入らなかったようで、何度もやり直させていた。
それも「ちょっと僕たち、新婚旅行でおふざけでやってるんです」といったふうではなく、
旦那が監督、奥さんが主演女優のセンを狙っているみたいなのだ。
「やだー、いったい何なの、あの男」
「きっとビデオマニアなのよ」
「マニアはいいけどさぁ、やたら怒っていてこわいよ」
「新婚旅行であれなんだから、これから大変だよ、あの女の人」
「あーあー、でも怒られても笑ってるよ、奥さん。怒られるのが好きみたい」
私達は海に入るのも忘れて続けて彼らを観察していた。
Tシャツと半ズボンを脱いだ新妻の撮影を終えた彼は、
水着一枚になった彼女の姿を足の先から頭に向かって、下から上へ撮っていった。
「むちむち新婚妻、なんとか、かんとか」といった裏ビデオの撮影を見ているようであった。
次は何かと期待していると、彼は彼女に海に入るように指示した。
海に入るまでもちろん彼は撮影し続けている。
奥さんは見たところ、身長、158センチ、体重62キロといった感じである。
泳いでいる姿でも撮影するのかと思ったら、彼は彼女の足元を指さし、
又、なんだかんだと言っている。
離れたものだから何を言っているのか聞こえない。
しばらくすると彼女は両手を海の中に入れて、ぱちゃぱちゃやりながら水遊びを始めた。
すると又、彼が文句を言った。
彼女は、じっと言うことを聞いている。
そしてしばらくして、同じことを始めたのだが今度は、
にっこり笑ったり、小首をかしげたり、髪の毛をかきあげたり、というおまけがついていた。
「パターンにはまった演出だねぇ、あの男、女が長い髪の毛をかきあげれば、色っぽいと思ってるのよ」
「あの人、ずーーっと旅行中、ああやってビデオを撮り続けるのかなぁ」
「そうに決まってるわよ、あれはマニアの目つきだもん」
いけない、いけないと思いながら、私の頭の中には彼らの今夜の出来事が浮かんできてしまい、
あーだ、こーだと映り具合を調整しながら二人の姿をビデオに撮るのではないかと想像すると「あーーもう、やめてくれぇ」と言いたくなった。
つづく
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