大社駅は、山陰本線の出雲市駅と縁結びの神で有名な出雲大社の門前町の大社駅とを結んでいた全線単線非電化の大社線(7.5km)の一般駅として、1912(明治45)年6月1日に開業しましたが、1990(平成2)年4月1日に大社線が廃止されたことに伴い、廃駅となりました。
大社駅は、島式ホームと相対式ホームの2面3線を有し、貨物側線や引き上げ線もありました。 この駅は出雲大社のお膝元であったことから、かつては東京・名古屋・大阪などから直通列車が設定されていたほか、お召列車が乗り入れたり、最盛期には各地からの団体臨時列車が年間280本も乗り入れるなど、参拝鉄道の様相を呈していました。
ちなみに、大阪からは1985(昭和60)年3月14日のダイヤ改正まで、寝台急行の「だいせん5号・6号」が大阪~大社間(出雲市~大社間は普通)で運転されていました。
出雲大社を模した造りの木造駅舎は、1924(大正13)年2月13日に竣工した2代目で、鉄道省本省の建築課に在籍していた曽田甚蔵氏が設計したものです。 この壮大な和風駅舎は2004(平成16)年7月6日に国の重要文化財に指定され、今も現役当時のまま姿で保存されています。
大社線は、最盛期の1972(昭和47)年には1日平均4,000人の利用者がいましたが、周辺の道路が整備されるにしたがって、出雲大社参拝の団体客は貸切バスへ、個人観光客もレンタカーやタクシーを利用するようになり、直通急行列車や団体臨時列車の乗り入れは年々減少していきました。 さらに、沿線の住民もバスやマイカーにシフトしてしまったことから、大社線の利用者は減る一方でした。
こうしたことから、1980(昭和55)年12月に施行された国鉄再建法により、大社線は1987(昭和62)年2月3日に第3次特定地方交通線として廃止承認されます。 そして同年4月1日の国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された後、1990(平成2)年4月1日に廃止され、それに伴って大社駅も廃駅となり、78年の歴史にピリオドを打ちました。
<大社駅の年表>
・1912(明治45)年6月1日:旧国鉄大社線の一般駅として開業
・1924(大正13)年2月13日:2代目駅舎が竣工
・1974(昭和49)年10月1日:貨物取扱い廃止
・1985(昭和60)年3月14日:線内折り返しの普通列車のみの運行となる
・1987(昭和62)年4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる
・1990(平成2)年4月1日:大社線の廃止に伴って廃駅となる
(改札口)
(駅舎内)
(廃止時の時刻表)
(出雲大社方を望む)
撮影年月日:2014(平成26)年6月25日
それ以来、大社には行ってないんですが、画像を見ると当時の思い出が甦ってきます。 ほんとに懐かしいです。