鉢から地植えした藤袴の花が、今年はじめて咲いた
高さは1mもないと思う。
秋の七草の一つ。
地味な花だから個人的にはあまり好きではなかったけれど、
じっくり見ていたら、可愛く感じるようになった
乾燥させると葉や茎が良い香りになるそうだ。
古くは「ラニ」の花として、「蘭」という漢字を当てるとか。
漢方的な所から入ってきた植物と思う
しかし、
「平安時代には、かさね色にはあっても、色目は無い(以下長崎盛輝「重ねの色」)」
というのが不思議。
かさね色は表紫、裏紫だそうだ。
和訓栞に、「花の色をもて藤と称し、その弁をなせるをもて袴とす」
秋、茎の先端に淡い紅紫色の筒状の花を群り咲かせる。
平安文学では、大和物語や古今和歌集にも見え、源氏物語に藤袴の1篇がある。
玉蔓に夕霧が御簾から藤袴を差し入れ、
『同じ野の露にやつるる藤袴
あはれはかけよかごとばかりも』という和歌が有名である。
私の個人的な思いでは、
復元された国宝源氏物語の御法の紫の上の最後ともいえる場面に
庭の花として描かれていたのが印象的で、ずっとこの花を探していただけにちょっと感激。
実際の花は、うす藤色といった印象で、
紐のよう物が出てきて満開なのだろうか?と不可解な花。
蕾の時は、意外にもピンク色っぽくて可愛い。
筒状の花というよりも、丸く感じるのは、
本来は河原にはえていたものが、
近年では雑種化されて園芸種でもなくなっていったせいかもしれない。
絵として、他にも前述絵巻の宿木の匂宮が琵琶を弾く場面の庭の花として登場しているが、
それだけ秋の草として有名なのに、
同じような植物の紫苑の紫苑色のように、
色目として伝わらなかったのは不思議な気がする。
もしかしたら、国宝絵巻は紫式部の時代より100年ぐらい違うという事情かもしれない。
万葉集の山上憶良が秋の七草として詠んだ藤袴、
きっと河原に沢山ススキなどとはえていたのだろうと想像。
荻の花もススキも何となく荒涼感があるけれど、
黄色いオミナエシや藤袴、桔梗などは色的に目にとまって
愛されたのかもしれない。
乾燥させると桜餅の葉のような匂いというのも面白い。
今後もしばらく花の様子を観察しようと思う(笑)