源氏物語と共に

源氏物語関連

浮舟の不運

2013-06-26 11:14:08 | 登場人物
浮舟の巻名は後世の人がつけたという事でしたが、
浮舟の巻に歌がありました。

有名な橘の小島を見て匂宮と浮舟が歌を詠みます。

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   年経(ふ)ともかはらむものか橘の
      小島のさきに契る心は  (匂宮)


   橘の小島の色はかはらじを
       この浮舟ぞゆくへ知られぬ (浮舟)
    
その後の浮舟を暗示したかのような歌です。

さて、浮舟の不運は、おつきの女房が高級で無かった事。

夜の闇に紛れて、いくら匂宮が薫に似せて侵入しようとも、
高級な女房なら、その香りの違いに気づくはず。
しかし、残念ながら女房は香りの違いに気づくこともなく、
匂宮を薫と思って浮舟の寝所に案内してしまいます。

気づいた時にはすでに遅し。

中の君邸で匂宮に見つかった浮舟は、
その後に、薫に囲われて宇治に行きますが、
また運悪く、中の君に送ったお正月の手紙が
匂宮の来訪中に届きます。

中の君も、匂宮に薫からの手紙と勘ぐられているので、
目の前で開いてしまうしかないのです。

お正月の手紙には、おめでたい事を書くのが普通ですが、
ちょっと違っていたのですね。世間を知らない人の手紙。若い女だと。

そして、以前の匂宮との怖かった事も内容にさりげなく書いていた。
これは、以前に会った若い女の手紙で、彼女は今は宇治にいると確信。
決行します。

匂宮もそこまで薫に対抗しなくてもとも思うのですが、
中の君に香りが移ったことも含めて、
普段からいろいろ思う事があったのでしょう。

匂宮は浮舟にぞっこんになります。

それほど浮舟は、何も知らない美しくて可憐な人だったのでしょうね。

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