一昨年のHNK紅白歌合戦では「トイレの神様」という歌がたいへん話題に
なりました。
この歌で歌われているトイレの神様はとても綺麗な女神様だそうですが、
この神様が本当に存在することを知りました。
一人はハニヤスヒメノカミ、もう一人はミズハノメノカミという名です。
なんとハニヤスヒメノカミはイザナミという神様のウンコから、ミズハ
ノメノカミはオシッコから生まれたそうなのです。
この話だけ聞くと「神様がウンコとオシッコから生まれるなんて、そんな
滅茶苦茶な!」という気持ちにもなります。
しかし、ここから先が重要です。
ハニヤスヒメノカミは土壌を守り豊穣をもたらしてくれる神様、ミズハノ
メノカミは水(生活用水・農業用水)の神様なのです。
昔はトイレは便所と呼ばれ、水洗式ではなく汲み取り式でした。
汲み取った糞尿をどうしていたかというと、畑にまいて肥料にしていた
のです。
私がまだ10歳以下の子供だったころの自宅でも、天秤みたいにして棒に
つけた二つの桶をかついだおじさんが、たまに家に来て便所にたまった
し尿を汲み取っていったのを憶えています。
また日本はほんらい湧き水に富んだ国で、あちこちに湧き水や浸出水が
ありました。
これらの水は沢や小川となり、人々はその水を農業用水をはじめとして
生活のいろいろなことに利用してきたのです。
自然と共存していた昔の日本人にとっては無駄なものなんて、きっと
なかったのでしょう。
汚く臭いウンコやオシッコでも畑の大事な肥料となり、おいしい農作物
になって帰ってくる。こうしたエコロジー的な自然の循環をを経験的に
知っていたから、トイレも肥料づくりの入り口として、そしてオシッコ
やウンコも決してバカにしなかったのではないでしょうか。
それにお二人は綺麗な女神様。
そんな神様がいるのなら、トイレも綺麗にしなくてはと思うでしょう。
桜木神社さんで聞いたお話のおかげで、私は神道が縄文時代からの自然
崇拝・自然信仰を起源としていると知りました。
その後、自然と共存する古くからの日本人の知恵などの精神文化が、
神道の中に隠れていると推察して、神社や神様について調べています。
今回ハニヤスヒメノカミとミズハノメノカミというトイレの女神のことを
知って「自然の恵みや摂理を神様としてきた。」というのは、こういうこと
だったのかとよく理解することができました。
こうした日本人の心に感激さえしました。
今後も、こうした神社の儀式や神様について探っていきたいと思います。