よっちんのフォト日記

旅先や日常で感じたことを
写真と文章で綴ってみたい。
そう思ってブログを始めてみました。

朝靄の光の中-群馬県片品村:尾瀬・尾瀬ヶ原

2023年08月07日 | 群馬
Oze, Katashina Village, Gunma Pref.

さてさて、尾瀬で東電小屋に泊まったワタクシ達は、尾瀬2日目の朝を迎えました。
山小屋の朝食は6時からなのですが、ワタクシ達は6時には至仏山の登山を開始したいと考えていました。
東電小屋から至仏山の登山口までは歩いて2時間かかりますので、山小屋を4時には出発したかったんです。
となると山小屋の朝食は無理なので、自分達でお湯を沸かしてワタクシはカップライスを食べようと思っていました。
前日、「自炊をするのにガスバーナーはどこで使ったらいいですか」と小屋の人に訊いたところ、
「建物の中はやめてください。建物の外のベンチがあるところなら大丈夫ですよ」と言われていたんですよ

当日(7月26日)、朝3時に起きたのですが、あらあらビックリ。部屋の窓を開けるとシトシトと雨が降ってるんです。
「これ、ベンチに座ってガスバーナー使われへんで」「雨の中では無理やなぁ」と困った状態になりました。
この日も天気予報は「晴れ」ですし、雨雲レーダーを見ても雨の気配は無いんですが、山小屋では雨が降ってるんですよ。
仕方がないので相棒さんが持っていたロールパン2つだけを食べて、4時に山小屋を出発しました。
しかし、しっかりと朝食を食べなかったことが、後々ひびいてくるんですよねぇ


歩き始めて20分。午前4時20分頃に東の空が明るくなってきました。山小屋を出る時には少しだけ降っていた雨も止みました


燧ヶ岳のシルエットが朝焼けの空に浮かびます。この時間、尾瀬ヶ原を歩いているのはワタクシ達だけ。
静寂の中、ワタクシ達は木道の上を歩いて行きます


この時、気温は14℃。連日、熱帯夜が続く下界から見れば、夢のような涼しさかもしれませんね


早朝の尾瀬ヶ原は朝靄に包まれていました。これはこれで幻想的な風景ではあるのですが、
山に登るとなるとスカッと晴れてほしいです。太陽が登ってきたら、朝靄が晴れると期待しましょう


ニッコウキスゲの花が咲いていました。今回、ニッコウキスゲの大群落を見ることを楽しみに来たのですが、
ニッコウキスゲは数えるほどしか咲いていませんでした。これはもう残念、無念というしかありません


ニッコウキスゲの花が少ない理由ですが、一つは6月に遅霜が降りたので、多くの蕾がやられてしまったこと。
もう一つは最近シカが増えていて、シカによる食害が大きな要因だとのこと。
霧ヶ峰に行った時も、ニッコウキスゲがシカに食べられて困っているという話を聞きました。難しい問題ですね


周囲が明るくなって気がついたのですが、ありとあらゆる植物の茎にアキアカネが停まっているんです。
相棒さんが言うには「雨や夜露で羽根が濡れてるやろ。羽根が重たいから飛ばれへんねん。
羽根を広げて太陽の光で乾かすんやで」とのこと。相棒さんは天体、生物等に詳しいんですよ。
それにしてもどれくらいの数のトンボがいるのか、想像もつかないほどの数でした


歩き始めて約1時間。空はかなり明るくなってきました

PS.この日のワタクシ達が歩いたルートはここで見ることが出来るので、参考にしてください。
https://yamap.com/activities/25723630

使用したカメラ:FUJIFILM X-Pro2


夜明けを表す言葉ってたくさんありますよねぇ。思いつくだけでも夜明け・明け方・明け・曙・未明・朝まだき・暁
黎明・朝明け・有明・東雲・早暁・薄明・夜明け前・朝方・朝っぱら・早朝などが思い浮かびます。
それだけ農耕民族である日本人にとって早朝というのは、生活に密着した時間帯だったのでしょうね。



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我慢我慢-群馬県片品村:尾瀬・尾瀬ヶ原

2023年08月04日 | 群馬
Oze, Katashina Village, Gunma Pref.

さてさて、尾瀬ヶ原を東に向かって歩いてきたワタクシ達は、見晴と呼ばれる場所にやって来ました。
ここは登山道が交差する場所で、6軒の山小屋が集まっているんです


その中にある尾瀬小屋という山小屋の売店で、ちょっと休憩しようということになったのですが、
ここの売店、生ビールにワイン、カクテルなども販売しているんですよ。
「生ビール飲みたい。いや、冷えた白ワイン飲みたい」と思いました。心の底から飲みたいと思いました


しかし、この日の目的地である山小屋まであと30分ほど歩かねばなりません。
もしその途中で木道から足を踏み外して転落でもしようものなら、「高齢の登山者、酒に酔って湿原に転落」などとネットに書かれ、
罵詈雑言、誹謗中傷を浴びるのは明らかです。それ以上に登山は最後まで慎重であらねばなりません。
ワタクシ、ここは我慢我慢と自らに言い聞かせ、まずは冷たい湧き水をグッと一杯飲みました


そして売店に行ってよ〜く冷えたコーラを購入。ここは耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだのでありました


しばしの休憩の後、この日の目的地である東電小屋という山小屋に向かいます。ここまで来たらあとは30分ほどの道のりです。
ふと足元を見ると、木道の下に可愛いネジバナが咲いていました


鮮やかなノアザミが目を惹きます。さあ、翌日は向こうに見えている至仏山への登山です


お昼近くになり山の上に雲が湧いてきました。「これぞ夏山」という光景ですねぇ


尾瀬は水が豊富です。そのおかげで水に不自由しませんし、多くの山小屋に風呂があるのがありがたいのです。
さあ、この日お世話になる山小屋はもうすぐそこです

PS.この日のワタクシ達が歩いたルートはここで見ることが出来るので、参考にしてください。
https://yamap.com/activities/25708022

使用したカメラ:FUJIFILM X-Pro2


この尾瀬小屋の売店にカップル、もしくはご夫婦の方がいたのですが、男性は生ビールを、女性は白ワインを飲んでいました。
そして、2人のテーブルにはパスタとソーセージの盛り合わせも運ばれて行きました。
ワインにパスタ、ソーセージ…ちょっと前の山小屋では考えられないようなメニューですね。



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環境を守る-群馬県片品村:尾瀬・尾瀬ヶ原

2023年08月03日 | 群馬
Oze, Katashina Village, Gunma Pref.

さてさて、尾瀬ヶ原を歩くワタクシ達ですが、尾瀬ヶ原のど真ん中、散策路が十字に交差する竜宮という場所にやって来ました


木道の横にベンチが置かれたあったので、ワタクシ達はここでしばしの休止を取ることにしました。
こんな贅沢な場所で、ゆったりと時間を過ごせるのですから幸せですなぁ


よっちん氏も大満足です。齢61となったよっちん氏ですが、なんとかあと5年くらいは山に登りたいものです。
そのためには普段から足腰を鍛えておくことが大切ですな


前にも書きましたが、昭和30年代の尾瀬では登山者が自由に湿原を歩いていました。
しかし、当然ながらぬかるんだ湿原は非常に歩きにくいため、木を切って湿原に敷いたのが木道のはじまりでした。
木道が置かれ始めた頃は湿原を歩く登山者も多く、特に木道周辺の湿原が急速に荒廃してしまいました。
その後、湿原を守るために木道整備がすすめられ、現在では尾瀬全体の木道は総延長がなんと約57kmにもなるんです


現在は当然ですが木道の上しか歩くことは許されません。湿原に立ち入らないのはもちろん、湿原にカメラの三脚を立てるのもダメです。
植物や木道、登山道を保護するため、トレッキングポールにはキャップをつけることが義務付けられます。
湿原にポールを突くのは、キャップをつけていてもダメ。それだけ湿原というのは繊細な自然なんですね


今回、一番よく見かけた花がこの「コバギボウシ」でした。爽やかな紫色が目を惹きますわ


これは多分「オゼミズギク」でしょうか。黄色い花を見ると、不思議と身体に力が湧いてくるんです


振り返ると至仏山の雄大な姿が見えました。日本百名山でもある至仏山は、翌日に登る予定です。
一直線に山頂に伸びる登山道が見えますが、翌日、この急登にワタクシは痛い目に遭わされるのですな


こちらは燧ヶ岳ですが、写真の中央部に建物の屋根が見えるかと思います。
ここは「見晴」と呼ばれる場所で、山小屋が5軒集まっているんですよ。ここでちょっと冷たいものでも飲もうと思います

PS.この日のワタクシ達が歩いたルートはここで見ることが出来るので、参考にしてください。
https://yamap.com/activities/25708022

使用したカメラ:FUJIFILM X-Pro2


NHKの朝ドラ「らんまん」のモデルである植物学者牧野富太郎は、尾瀬も訪れているんですよ。
富太郎にとって尾瀬という高層湿原に生育する数多の高山植物は、この上なく魅力的な草花だったことでしょう。
ただ、富太郎は植物を採りまくったために、案内役を務めてくれた平野長蔵という山小屋の主人から
「お前は尾瀬の自然を破壊するつもりか。研究よりも保護を考えろ」と一喝されたというエピソードが残っています。
植物学の研究に人生を捧げた牧野富太郎、尾瀬の自然を心から愛した平野長蔵。
お互いの「らしさ」が伝わるエピソードですね。



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夏の思い出-群馬県片品村:尾瀬・尾瀬ヶ原

2023年08月02日 | 群馬
Oze, Katashina Village, Gunma Pref.

さてさて、尾瀬を訪れたワタクシ達は富士見峠から一気に登山道を下って行くのでした


樹林帯の中を下って行くのですが、途中からはかなりの急坂でした。
ただ、登山道は整備されているので、歩きやすいのがありがたかったです


この日(7月25日)は後から知ったのですが、群馬県伊勢崎市では39.5℃を記録していました。
最近、天気予報では「身の危険を感じる暑さ」なんて言葉を使っていますが、この言葉も大袈裟ではないですね


午前9時30分、ついにワタクシ達は尾瀬ヶ原に到着しました。長い間憧れ続けた尾瀬ヶ原についにやって来ました。
尾瀬ヶ原は群馬県片品村、福島県檜枝岐村、新潟県魚沼市にまたがる日本最大の高層湿原です


ワタクシの世代ですと、小学校か中学校の音楽の時間に『夏の思い出』という唱歌を歌った経験があると思うんです


夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 遠い空 
霧の中に浮かびくる 優しい影 野の小径
水芭蕉の花が咲いている 夢見て咲いている 水のほとり
石楠花色に黄昏れる はるかな尾瀬 遠い空


誰もが覚えている歌詞だと思いますが、この歌詞で誤解されていることがあるんですよ。
「尾瀬に行く」と言うと、「いいですねぇ。水芭蕉が咲いているんじゃないですか」と言う人が多いと思いますが、
尾瀬で水芭蕉が咲くのは5月末でして、7月に尾瀬に行っても水芭蕉の花は100%見ることが出来ません


とは言え、この歌が多くの人に尾瀬への憧れを掻き立てたことは間違い無いでしょうし、ワタクシはいい歌だなぁと思います。
唱歌や童謡って美しい日本語、素晴らしい言葉の表現を自然に学んでいったと思うんです。
最近は小学校でもあまり唱歌を歌わないと聞くのですが、それは寂しいなぁと感じるんですよ


ではでは、尾瀬ヶ原のど真ん中でちょっと大休止としましょうかね

PS.この日のワタクシ達が歩いたルートはここで見ることが出来るので、参考にしてください。
https://yamap.com/activities/25708022

使用したカメラ:FUJIFILM X-Pro2


私は登山というと北アルプス、八ヶ岳などに行くことが多いのですが、北アルプスでも八ヶ岳でも必ず関西人に出会います。
しかし、尾瀬と草津温泉に行った今回の3日間、関西人と一人も出会うことがありませんでした。
やっぱり群馬県って関西からは遠く、なかなか行きにくい場所なんだなぁということを実感しました。



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蘇りつつある「天上の楽園」-群馬県片品村:尾瀬・アヤメ平

2023年08月01日 | 群馬
Oze, Katashina Village, Gunma Pref.

さてさて、長年の願いであった尾瀬にやってきたワタクシ達ですが、いきなり尾瀬ヶ原に行くのではなく
まずはアヤメ平に向かって歩いて行きました


横田代の湿原からしばらく歩いて行くと稜線の南側が開けて、北関東の山並みを望むことが出来ました。
ワタクシ、北アルプスや南アルプスからだと山の位置関係、山の形などが頭にインプットされているので
目に見えるおおよその山の名前がすぐに思い浮かぶのですが、北関東の山はほとんどわかりません。
地図などを見ながら判断すると、右手に見えるのは武尊(ほたか)山でしょうか。
左手の方は皇海山、日光白根山、男体山あたりになるのかなぁ


鳩待峠から2時間少々で「アヤメ平」に到着しました。池塘の向こうに見えるのは燧ヶ岳です。
尾瀬ヶ原は東の燧ヶ岳、西の至仏山に囲まれた高層湿原です。燧ヶ岳は尾瀬を代表する山の一つで、日本百名山にも選定されています


アヤメ平は一帯は標高約2,000m弱。尾瀬ヶ原をとりかこむ山脈の背骨部分にあたり、
足元の湿原のみならず、周辺の山々の眺望にも恵まれているんです


こちらは尾瀬を代表するもう一つの山である至仏山。ワタクシ達はこの山に翌日登ることにしていました。
美しい稜線を眺めていると、「明日は頑張るぞ」という気持ちになるのでした


このアヤメ平ですが、昭和30年代にまだ木道が整備される前の登山ブームの頃には、現在と違い登山者は湿原を自由に歩き回っていました。
その結果、昭和40年ごろにアヤメ平の湿原はあちこちが荒廃してしまいます


その後の関係各所による地道な植生復元活動の甲斐もあり、現在ようやく往時の姿を取り戻してきました。
とはいえ、復旧にはまだまだ時間がかかるようで、一度破壊された自然を取り戻すというのは大変な労力なんですね


昭和30年代の登山ブームの頃、山は「征服すべき」存在であり、山頂に立つということが登山の目的だったのでしょう。
そこには「山の自然を愛でる」「山の環境を守る」という感覚は無かったでしょうから、当時の登山者を責めるつもりはありません。
歴史を語る時、一番やってはいけないことは今の価値観でその時代を語ることですから


アヤメ平からさらに15分ほど歩くと富士見峠に出ました。この池は富士見田代と呼ばれ、池の向こうに燧ヶ岳が見えます。
ここから一気に尾瀬ヶ原に向かって尾根を下って行くんですよ

PS.この日のワタクシ達が歩いたルートはここで見ることが出来るので、参考にしてください。
https://yamap.com/activities/25708022

使用したカメラ:FUJIFILM X-Pro2


山の懐に抱かれ、雄大な自然の中を歩いているだけで、身体の中が浄化されて行く気がします。
大袈裟な言い方をすれば「生きていてよかった」「この世に生まれてよかった」というような気持ちになるのです。
だからどんなにしんどい思いをしたり、時には身の危険を感じるようなことがあっても、私はまた山に行こうと思うのでしょうね。



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