韓国は、日本との対立で外交資源の7割を使い果たしているという。
韓国外交部は、「憎い日本をどうやっつけるか」と頭をひねっているのだ。
呆れる話だが、真実らしい。
日本外交は世界を俯瞰して中国包囲網づくりに余念がない。
日韓のこうした違いを見ると、改めて韓国は衰退する国家という印象を強めるのだ。
『中央日報』(8月1日付)は、「米中対決を見るある韓国人の不安感」と題するコラムを掲載した。
筆者は、尹永寛(ユン・ヨングァン)ソウル大学名誉教授・ハーバード大学訪問教授である。
最近米国メディアの大きなニュースは、1月の議事堂乱入事件聴聞会、インフラ投資予算法案通過問題、コロナワクチン拡大などだ。
それぞれ米国が深刻な政治的分裂を克服し民主主義を固めることができるか、長期的国力上昇の基盤を用意できるか、正常生活に迅速に戻って経済と社会を安定させることができるかに関する重要懸案だ。
また、米国が民主国家の代表走者として国際的リーダーシップを強化しルールに基づいた国際秩序を確立するための必須課題でもある。
(1)「米国人は米国の政治体制の復原力は強固だと自信を持つ。実際にニクソン大統領の辞任のような大事件以降も米国の民主主義はしっかり維持されてきた。
ところがその時は現在のように米国政治が深刻に分裂してはいなかった。
トランプ政権4年以降、はなはだしくはマスク使ってワクチンを打つことまでも政治化されてしまったこの分裂を、バイデン大統領がうまく克服し対外的リーダーシップを行使できるだろうか?
それがはらはらし、米国が不安な理由だ。
だれがなんと言っても韓国は70年間米国主導の国際秩序で成功した国であるためだ」
米国は、国内問題では鋭く対決するが、対外問題では与野党が一致して行動する。
これこそが、米国の真髄である。
米国は、南北戦争(1861~65年)という内戦を経験して克服してきた国である。
その米国が、一時的な対立で国内の結束が乱れるようなことはあり得ないのだ。
第一次・第二次の世界大戦も国論不統一を乗り越えたのだ。
それが、トランプ氏一人の力で米国が分裂する?
もっと歴史的な目で米国を見るべきだ。
(2)「2番目に、もし中国が本当に米国に代わることになるならば、その次にくる中国主導の世界秩序はどんな姿だろうか?
2017年の中国共産党第19回大会で習近平主席は「中国は独立を守り発展のスピードを出そうとする他の国と民族に新たな代案を提供する」と演説した。
米国や西欧の民主主義はポピュリズムや政治的分裂で失敗し中国の政治体制と発展方式、いわゆる中国モデルがはるかに優れているということが判明したということだ。
もちろんその中国モデルの核心は権威主義だ」
中国が、米国に取って代わるという論理はどこから出てくるのか。
ソウル大学教授を務めた人物の吐く言葉ではない。
余りにも韓国人特有の「感情8割・論理2割」を象徴するような見方で唖然とするのだ。
民主主義が、権威主義に屈服するという論理は、過去の世界に出現したことはない。
それは、市場経済のもたらす「復元力」の偉大さである。
権威主義の下では計画経済である。
それは、特定の層に有利な経済計画の遂行で必ず成長軌道を外す。
現在の中国経済にそれが現れている。確かな経済を見る目が、世界史を透視できる力を持つのだ。
(3)「3番目に、米中対決が及ぼす余波の深刻性を韓国の政治指導者はどれだけ切実に体感しているのかわからない。
状況がこのように展開しているのに朴槿恵(パク・クネ)政権当時からこれまで韓国の外交が日本との対決という魔法にかかって抜けられなくなっている気がする。
6~7年前にある外交官は私席で韓国外交のエネルギーの70%が日本と戦うのに消費されているようだと自嘲的に話したことがある。
外交の大きな絵の中で激変する未来に対応した方略を執行するのに国家的エネルギーが使われず放電されている感じだ。
しかしそのスタイルは毅然とし、国際基準に合致し、戦略的でなければならない。
それでこそ国際社会で日本を道徳的にも世論上で圧倒して貴重な政治資産とエネルギーを節約しもっと重要な未来アジェンダに投資できる」
この下線部を読んで、私は唖然とした。
日本から技術や資金の援助を得て成長できた韓国が、今ようやく自立できるようになったら復讐を考えている。
はっきり言えば、「根無し草」の韓国経済が今後、順調に発展するのは困難である。
どうか、私のメルマガ280号を併読していただきたい。
韓国経済のさらなる発展の困難性を取り上げている。
(4)「いっそ日本との過熱した対決に注ぎ込んできたエネルギーは、対米外交を全面的に刷新するのに使ったとしたならどうだっただろうか?
イスラエルや台湾の対米外交水準にアップグレードし米国を韓半島の平和定着にさらに積極的に引き込むためにだ。
そうでなければインドのような潜在的大国との協力に投資し過度に高い対中経済依存度も低くして米中対決の否定的波及効果を相殺しようと努力したならば?
最後に私たち自らの姿が不安な理由がここにある」
このパラグラフも、視点が完全に狂っている。
日本と対決するエネルギーは、米韓同盟の充実に向けるべきだ。
韓国は、米国の後ろ盾がなければ外交的に自立が難しい国である。
米国と一体化することで、中朝の圧力をはね返せれる。
中朝との融和策は、韓国を軽視する結果を招くであろう。
日本が、嫌いであればそれまでのこと。
日本から融和をお願いする立場でないのだ。
いずれ訪れる韓国経済の急落状態で、「隣国の誼」を持ち出すことのないようにお願いしたいと思う。