パウエル発の「緊縮」恐怖…韓国株価2700割れ
「緊縮の恐怖が市場をのみ込んだ」。
27日の金融市場に対する専門家の言葉だ。
米国から飛んできたタカ(通貨緊縮)の爪が国内金融市場を引っ掻き回し、「ブラックサーズデー」の恐怖に陥れた。
KOSPI(韓国総合株価指数)は3.5%、KOSDAQは3.7%の下落となった。
韓国ウォンと債券価格も値下がりした。
この日、KOSPIは前日比3.5%(94.75ポイント)下落した2614.49で取引を終えた。
2020年11月30日(2591.34)以来14カ月ぶりの最安値だ。
21日から5営業日間の下落幅は8.7%(248.19ポイント)にのぼる。KOSDAQも前日比3.73%落ちた849.23で引けた。
これは2020年11月17日(839.47)以来の最安値。
指数を引き下げたのは外国人投資家だ。
この日、外国人はKOSPI市場で1兆6300億ウォン(約1560億円)分を売った。
個人の売り越し額も1680億ウォンだった。
機関が年金基金(1兆2200億ウォン)を中心に1兆8000億ウォンの買い越しとなったが、指数の下落は防げなかった。
外国人売りはウォン安ドル高につながった。
この日のソウル外国為替市場で韓国ウォンは前日より5.1ウォン値下がりし、1ドル=1202.8ウォンとなった。
2020年7月20日(1ドル=1203.2ウォン)以来1年6カ月ぶりのウォン安ドル高水準だ。
債券市場も「ブラックサーズデー」の衝撃を避けられなかった。
3年満期国債の利回りは0.061ポイント上昇した2.217%となった。
これは2018年6月14日(2.227%)以来3年7カ月ぶりの最高水準。
国債の利回り上昇は債券の価値の下落を意味する。
「衝撃」の引き金を引いたのは米国発の緊縮恐怖だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)は26日(現地時間)、連邦公開市場委員会(FOMC)定例会議後に発表した声明で「米政策金利を現水準(0.00-0.25%)で維持する」と明らかにした。
続いて「雇用指標の改善と物価高の状況を考慮し、近いうちに金利を引き上げる」と述べた。
続く記者懇談会でパウエルFRB議長の発言はさらに一歩踏み込んだ。
パウエル議長は「3月のFOMC会議で利上げ条件が整えば金利を引き上げる」と明らかにし、事実上3月の利上げを予告した。
この場合、2018年12月以降初めての利上げとなる。
これまで「1月の利上げ」までもシナリオに入れていた市場は驚かなかった。
テーパリング(資産購入縮小)が終わる3月の利上げ予告は予想範囲だった。
ニューヨーク株式市場も安堵し、定例会議前後にナスダックは一時2%台の急騰となった。
しかし雰囲気が変わるのに長い時間はかからなかった。
「インフレファイター」パウエル議長の発言に市場が動いた。
攻撃的な利上げが可能で、早期の量的緊縮に突入する可能性があるという発言に投資心理が揺らいだ。
物価・雇用水準に関する発言も緊縮が加速すると予想され、ナスダックは横ばい、ダウ(-0.38%)とS&P500(-0.15%)は下落した。
続いて27日の日経平均(-3.11%)と中国上海(-1.78%)などアジア株式市場も一斉に値下がりした。
今後FOMC会議を開くたびに利上げの可能性が開かれているのかとの質問に対し、パウエル議長は「謙虚かつ敏捷(humble and nimble)に行う必要がある。
今後のデータと見通しの変化に基づいて対応する」と述べ、これを否認しなかった。今年のFOMC会議は3月、5月、6月、7月、9月、11月、12月と計7回開かれる予定だ。
この会議で毎回0.25ポイントずつ金利を引き上げる場合、米国の政策金利は年2%に達する。
フィナンシャルタイムズ(FT)は「パウエル議長がパンデミック以降最もタカ派的な記者会見で明確な(緊縮)信号を送った」とし、FRBが今年予定された7回のFOMC会議ですべて金利を引き上げる可能性を否認しなかった点に注目した。
バンクオブアメリカ(BoA)も「今年の利上げが4回以上になる可能性が高まり、今後、市場は年内6、7回の引き上げを反映すると予想する」と明らかにした。
パウエル議長がタカ派の本性を表したのは強まるインフレ圧力のためだ。
パウエル議長は「我々が見ている高いインフレが長期化する危険がある」とし「長期的な景気拡張のために物価安定に献身する」と述べた。
米国の昨年12月の消費者物価指数(CPI、前年同月比)が7.0%急騰するなど、インフレの流れが尋常でない。
一方、韓国株式市場について、専門家らは「株式市場の短期調整が避けられない」という見方を示した。
SK証券のチェ・ソクウォン知識サービス部門長は「緊縮の加速化で市場に恐怖が広がった状況であり、株価は追加で5%ほど下落する可能性がある」と予想した。