ポスト文在寅政権へ向かう韓国ー次期政権の経済課題は何か
2022年02月14日 向山英彦
韓国では2022年3月9日に大統領(5年任期で再選なし)選挙が実施される。
本稿では、文在寅(ムン・ジェイン)現政権が進めた経済政策を回顧しながら、その評価を行い、次期政権の経済課題を探ることにする。
17年5月に発足した文政権の経済政策の目玉は所得主導成長であった。
家計の所得を増やして成長を図る目的で政策が相次いで実施されたが、最低賃金の急激な引き上げによって飲食・小売業界を中心に人減らしの動きが広がったうえ、輸出の減速で景気が悪化したため、任期途中から政策の重点がシフトした。
19年に入ると、文政権は設備投資の活性化や次世代産業の育成強化、研究開発の支援など、企業を対象にした政策に注力するようになった。
とくに官民が協力しながら半導体産業の強化に乗り出したことが注目される。
この背景には、「中国製造2025」にもとづく中国企業による国産化や日本政府による対韓輸出管理の強化があった。
20年は、新型コロナ対策とコロナ禍で疲弊した経済の立て直しが優先されるようになった。
7月に発表されたコリアンニューディールは、
①デジタルニューディール、②グリーンニューディール、③より強固なセーフティネットから構成されており、それまでの政策を包括する内容になった。
このように、文政権は韓国を取り巻く経済環境の変化に伴い、経済政策の重点をシフトしてきた。
これまでの実績をみると、コロナショックの影響もあり、経済成長率や雇用面などでは朴槿恵(パク・クネ)前政権の実績を下回っている。
また、文政権下では所得主導成長に関連した政策や新型コロナ対策などにより、財政が急激に悪化した。
さらに、家計債務の一段の増加と住宅価格の高騰などが生じた。期待された公正と雇用創出は実現されず、若者の文政権離れが進んだ。
次期政権にとっては、経済の革新(イノベーションを含む)を推進しながら、若年層向けの良質な雇用創出と住宅価格の安定化が重要な経済課題となろう。
住宅価格の安定化を図るうえでは、中規模のスマートシティ建設も検討に値しよう。