3 人間臭さと観客ターゲット
▲「メガロゴジラ グリーンバージョン」(10月発売予定)
■正義のゴジラがいても良いじゃないか
この作品は内容的にゴジラが主人公とは言いがたい物語になっています。
基本的にストーリーの中心となるのはジェットジャガー。ゴジラは助っ人的キャラクターとして描かれています。
それまでのゴジラ映画でもたびたび見られていましたが、ゴジラや怪獣達の動きやアクションがコミカルだったり人間臭かったりする要素。この作品からはより多く表現されたと言っても過言ではありません。
それに子供達は喜びつつも、大人やマニアには苦笑いされてしまった部分なのかもしれませんが、ターゲットとなる観客の年齢層を完全に意識したという点では徹底したのかもしれません。書籍やメイキング等での中野監督の言葉からもそういったニュアンスは感じられます。
ジェットジャガーの手信号(?)で会話が通じてしまうゴジラ、ゴジラとジェットジャガーの握手、ピンチのジェットジャガーを必死で助けるゴジラと、人間臭い友情という部分で子供に教えるためだろう要素がいくつも作品内では見られます。
またメガロとガイガンにしても、優勢に笑う仕草を見せたり、死んだ振りをしてみせたり、ジェットジャガーを人質にしてまるで「動くなゴジラ」と言わんばかりの悪者ぶりも、まさに時代劇や刑事ドラマの悪役。
子供達にとっては自然でも、大人やマニアにとっては「自分たちの望む怪獣映画」ではなかったのかもしれません。
私は当時10歳。コミカルなゴジラに苦笑いをしつつもそれなりに楽しんでいたと記憶しています。大人になってからは「恐怖のゴジラ」が好きではある事は変わりませんが、「正義のゴジラがいても良いじゃないか」と揚げ足を取らずに素直に楽しめるようになりました。
この作品ももうすぐ公開から40年。興行的事情があった事を理解する云々は別にしても、一つのゴジラ作品として楽しめた方が幸せだと思いません!?