決戦ゴジラ
出現バージョン
7月1日通販先行発売!!
7月の新商品第一弾は久しぶりの「決戦ゴジラ」でシチュエーションカラーとなる「出現バージョン」!! 全体的にメタリック系で塗装し、劇中で見られた夜の海から現れたあのシーンを思い浮かべて下さい!! 通販先行で発売です。皆様のお申し込みをお待ちしております。
今回お知らせするのは、『三大怪獣 地球最大の決戦』に登場したゴジラ「決戦ゴジラ」の3つめのカラーバリエーション。久しぶりの新規カラーです。キングギドラが初めて登場した作品で、ラドンとモスラと共に戦ったゴジラです。
今回のカラーのテーマは、劇中で見られたゴジラの出現シーンをイメージしたカラーリングです。
日本を訪れたインファント島の小美人が帰る予定だった客船に金星人を名乗る女性が現れ「出航してはならない」と予言。しかしその警告を無視して客船は出港。その夜、船に向かってくるクジラの大群。その後ろ、暗闇の海面からいきなり姿を現したのはゴジラ!! クジラを追って現れたゴジラは客船に熱線を浴びせて炎上させた……。
この時のゴジラをイメージした配色にすべく、成型色は紺色。部分的にボディにメタリックブルーをスプレーし、夜の海中から現れた時の濡れた感じを表現。キバ、ツメ、背びれの先端をシルバーで塗装する事でゴジラの熱線放射をイメージしました。
もちろん今回の商品も、これまでのシリーズで発売したゴジラ同様、その怪獣の持つ個性を強調する羽沢組ならではのディフォルメタッチでアレンジし、「Gメモリーズセレクション」のテーマでもある「カッコかわいく」から外れる事ないようなバランスで造型、配色して遊べるソフビとして制作するものです。
この商品の販売は2011年7月1日(昼12時より電話にて受付)より通販で発売を開始致します。
たくさんの皆様のお申し込みをお待ちしております。
G メモリーズセレクション
「決戦ゴジラ 出現バージョン」
●ソフトビニール製
●全高約17センチメートル
ノンスケール ディフォルメタイプ
●価格 4830円(税込)
●発売日 2011年7月1日発売
昼12時より電話受付開始
●登場作品 東宝映画『三大怪獣 地球最大の決戦』1964年作品
TM&©1964,2011 TOHO CO.,LTD.
6年目のこれから
おかげさまで今年の2月でGメモリーズセレクションは5周年を迎えました。このGメモリーズブログも3月で4年を過ぎ、これからも弊社のゴジラソフビ達で楽しんで下さっている皆様に喜んでいただけるようがんばりたいと思います。今年は年頭からいろいろあり、すでに5月の半ばを過ぎてしまいましたが、少しだけ振り返ってみたいと思います。
弊社は創立してこの5月で18年になります。そのうち、フィギュア制作・販売業務を開始して6年。ソフビフィギュアシリーズであるGメモリーズセレクションをスタートさせて6年目となりました。これもひとえにお求めいただいている皆様、関係各社の皆様のおかげです。ありがとうございます。
振り返ってみると、現在までソフビだけで71もの種類の商品を発売させていただきました(未塗装を除く)。しかもゴジラを中心に東宝怪獣だけです。
開始した当初から今に至るまで、いろいろな種類のゴジラたちを作ってみたいと思ってはいましたが、現実的には目の前の1つを完成(制作から販売まで)させる事が精一杯の毎日が続いて、気がついたら今……というのが現在です。
あの頃に思い描いていた展開と、ほとんど同じ5年後になっているなぁ…と実感しているのですが、これはとても幸せな事だと思っています。
1つの商品を発売させていただくまでにいろいろな方とのおつきあいがあります。それを続ける事でお客様やご協力いただく方も増え、直接、間接問わずいろいろな皆様と関わらせていただいております。東宝各担当者様、金型屋さん、成型屋さん、塗装業者の方、制作材料の各業者様、ヘッダーの印刷屋さん、情報を掲載していただく雑誌やネットの各社の皆様、ゴジラ映画に関わられた関係者の皆様、会計士の先生、相談に乗って下さる経験者の方、その他各方面の皆様、そしてお求めいただいている皆様、ご意見を下さるお客様達。
決して弊社だけの力だけで続けられたのではないという事を忘れずに、皆様に感謝する気持ちを持ち続けてこれからも作っていきたいと思います。
個人的にはできるだけ長く続けたいとは思っていますが、いつまでやれるのかという事はまだ考えないようにしています。私事ですが、40代後半の今、同世代には普通にお孫さんがいらっしゃる方もいるように、だんだん体力的に落ちてきているので若い頃のように無理はできなくなってきている事は感じています。その分○○ゴジラを作る事は一生に一度しかないかもしれないと思うと、1つ1つにより魂を込めて後悔のないように作らなきゃと、また改めて気持ちを引き締めざるをえません。
幸せな事に、反省は毎回ありますが後悔は今の所1つもなく続けてこられました。今後、幅広い大掛かりな展開は難しいとは思いますが、マイペースで弊社でしかできない商品提供を前向きに続けていきたいと思います。
各方面の皆様、これからもたまにわがままなお願いをしてしまう事もあるかもしれませんが、今後もお付き合いの程よろしくお願い致します。
商品をお求めいただく皆様、これからもできるだけ皆様に喜んでいただけるようにがんばりますので、今後ともよろしくお願い致します。
おかげさまで今年の2月でGメモリーズセレクションは5周年を迎えました。このGメモリーズブログも3月で4年を過ぎ、これからも弊社のゴジラソフビ達で楽しんで下さっている皆様に喜んでいただけるようがんばりたいと思います。今年は年頭からいろいろあり、すでに5月の半ばを過ぎてしまいましたが、少しだけ振り返ってみたいと思います。
弊社は創立してこの5月で18年になります。そのうち、フィギュア制作・販売業務を開始して6年。ソフビフィギュアシリーズであるGメモリーズセレクションをスタートさせて6年目となりました。これもひとえにお求めいただいている皆様、関係各社の皆様のおかげです。ありがとうございます。
振り返ってみると、現在までソフビだけで71もの種類の商品を発売させていただきました(未塗装を除く)。しかもゴジラを中心に東宝怪獣だけです。
開始した当初から今に至るまで、いろいろな種類のゴジラたちを作ってみたいと思ってはいましたが、現実的には目の前の1つを完成(制作から販売まで)させる事が精一杯の毎日が続いて、気がついたら今……というのが現在です。
あの頃に思い描いていた展開と、ほとんど同じ5年後になっているなぁ…と実感しているのですが、これはとても幸せな事だと思っています。
1つの商品を発売させていただくまでにいろいろな方とのおつきあいがあります。それを続ける事でお客様やご協力いただく方も増え、直接、間接問わずいろいろな皆様と関わらせていただいております。東宝各担当者様、金型屋さん、成型屋さん、塗装業者の方、制作材料の各業者様、ヘッダーの印刷屋さん、情報を掲載していただく雑誌やネットの各社の皆様、ゴジラ映画に関わられた関係者の皆様、会計士の先生、相談に乗って下さる経験者の方、その他各方面の皆様、そしてお求めいただいている皆様、ご意見を下さるお客様達。
決して弊社だけの力だけで続けられたのではないという事を忘れずに、皆様に感謝する気持ちを持ち続けてこれからも作っていきたいと思います。
個人的にはできるだけ長く続けたいとは思っていますが、いつまでやれるのかという事はまだ考えないようにしています。私事ですが、40代後半の今、同世代には普通にお孫さんがいらっしゃる方もいるように、だんだん体力的に落ちてきているので若い頃のように無理はできなくなってきている事は感じています。その分○○ゴジラを作る事は一生に一度しかないかもしれないと思うと、1つ1つにより魂を込めて後悔のないように作らなきゃと、また改めて気持ちを引き締めざるをえません。
幸せな事に、反省は毎回ありますが後悔は今の所1つもなく続けてこられました。今後、幅広い大掛かりな展開は難しいとは思いますが、マイペースで弊社でしかできない商品提供を前向きに続けていきたいと思います。
各方面の皆様、これからもたまにわがままなお願いをしてしまう事もあるかもしれませんが、今後もお付き合いの程よろしくお願い致します。
商品をお求めいただく皆様、これからもできるだけ皆様に喜んでいただけるようにがんばりますので、今後ともよろしくお願い致します。
Part.7 完成してみて
今日は2つのバージョンが完成した「モスラ幼虫」の発売後について。
▲「モスゴジ」(ブルーグリーン)と「モスラ幼虫 岩島戦バージョン」。
■個人的な感想とお客様の声
配色については前に「こだわり」で書いた通りです。
実際に劇中ではシーンとしてはたくさん登場する訳ではありませんし、カラーバリエーションを多数は考えてはいません(あと少しだけ考えてはいます)。弊社の「モスゴジ」に並べたいというのが一番の目的でしたので、基本になる「誕生バージョン」「岩島戦バージョン」があれば、ある程度は目的が果たせるだろうと思っていました。
個人的にはこうして「モスゴジ」と並べられて満足しているのですが、「モスゴジ」目線で見ると足下に「モスラ幼虫」がいる事でより「モスゴジ」がゴジラらしく見えるし、逆に「幼虫」目線で見ればすぐそばにゴジラが立っているとより「幼虫」らしさを感じられます。単に作った立場だからそう勝手に思い込んでいるのかもしれませんが、並べてみて初めて感じた事でした。完成までにいろいろあったから、思い入れが強すぎて余計そう思うのかもしれませんね(笑)。ちなみに「決戦ゴジラ」や「キングギドラ」と並べてみても幸せを感じている私です。
発売当初、双子の造形の違いをつけて商品化した事については「マニアックすぎるよ」「(双子の差は)誰も求めてないんじゃないの?」と、幼虫の造形について詳しくはないだろうと思われる方々からは「○○から発売されたものと似てんじゃないの?」とおっしゃる方もいました。(いずれもお客様ではありません)
逆に実際にお求めいただいた皆様からは「モスゴジと並べてみますね」「双子の差があるのは初めてなので良いですね」「ゴジラ以外の怪獣も待っていたんです」等といったお言葉をいただきました。ゴジラファンだけではなく、モスラファンもいらっしゃってこの時に初めて弊社商品をお求めいただいた方も何人かいらっしゃいます。その後も「モスゴジと一緒に飾っているんです」「対決シーンのジオラマ作ります!」と言って下さった方もいらっしゃいます。
双子の造形の差については、「差はあるべきだ」と同様に思われていたコアなファンもいらっしゃった事は事実ですし、もし他社商品と似ているというのであれば、ぜひサイズや成型色だけではなく隅々までとことん比べてみて下さい。何一つ後ろめたさはありませんので。
この「モスラ幼虫」を発売して言われた多かったお言葉がもう一つ。
「こうなったら成虫も欲しいですね」と。あーやっぱり……です。
私も成虫も好きだし欲しいし作りたいし原型制作も楽しそうだし……。翼の塗装作業を考えるとなかなか腰が上がりません(泣)。
でもいつかは挑戦してみたいと思っています。だって『モスラ対ゴジラ』版の成虫は意外と商品化されているソフビって少ないですからね。
●「モスラ幼虫 岩島戦バージョン」「モスラ幼虫 誕生バージョン」現在発売中です。ご希望の方は弊社までお電話でお申し込み下さい。
Part.6 許諾への道(2)
今日も「モスラ幼虫」を東宝様に許諾していただくまでについての続きです。
▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。
■そして解決!?
今までになかった原型でのNG。
どうしても納得できないし、なかなかこちらのコンセプトや出来が許諾範囲から外れていない事を理解していただけません。
電話やメールでは無理と判断し、最終的にはスケジュールを調整して直接東宝本社で担当者様にお会いさせていただき、お話させていただこうと言うことになりました。「モスラ幼虫」の原型はもちろん、これまで許諾していただいている代表的な商品、Gメモリーズセレクションのコンセプトから「モスラ幼虫」の制作企画書まで大量のプレゼンを用意する事にしました。
たかが大量生産する訳でもないディフォルメソフビに大げさな…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。他社さんで見られるレトロソフビのようにもっと簡略化して大まかな形状に改良すればOKをいただけたかもしれません。しかし、それではいままで発売してきたディフォルメテイストとは違ってしまいます。ここで諦めてはGメモリーズセレクションそのものを自ら方向転換しなくてはならなくなり、今後に影響すると考えていました。Gメモリーズセレクションのコンセプト自体が「リアルだから」の一言でNGならば、もう発売はできなくなるからです。
そしてまた驚く事がありました。最初の申請から3ヶ月弱、そのプレゼンのための材料を用意している準備の最中、やり取りをさせていただいていた担当者様が他の部署にすでに移られたのでノータッチになったと前任の方から聞かされました(正直「聞いてないよー!」とまたまたびっくり)。
後任の方が決まるまでの間、前任の方に間に立っていただきましたが、もしかして後任の方にまた最初から説明しなくちゃならないのかと、ちびまる子ちゃんのキャラクターの顔の縦線状態でした。そして後に後任の方にこれまでのいきさつを正直に伝え、新たに申請。
一発OKです。その後もすんなり本申請まで。…………。
嬉しさを通り越して言葉がありませんでした。最初の申請からOKをいただくまで3ヶ月も経っていましたから。もちろん原型も当初から何一つ変更箇所はありません。
この間のやりとりは何だったのか、この時の版元様の詳しい事情はどうだったのかはよくわかりません。いちメーカーである弊社に言えない事情もあったのかもしれません。解釈の違いもあっただろうし、もしかしたら気がつかない所でこちらに不手際や失礼があったのかもしれません。結果的に何人かの方に時間やお手数をかけてしまった事は確かですからその点は大変申し訳なく思います。
まずはとにかくほっとしました。産みの苦しみというのは大げさかもしれませんが、そのせいか余計商品になった幼虫達が愛おしくてたまりません。そして既存のキャラクターの版権商品の許諾をいただく難しさを痛感しましたし、こういう事もビジネスの上では今後あり得る事なのだと勉強になりました。
ご理解いただき、許諾いただいた現担当者様には深く深く感謝する日々です。
お求めいただいた皆様、よかったら「生まれてきて(発売できて)よかったね」と幼虫達の頭をなでてあげて下さい(笑)。
Part.5 許諾への道(1)
今日は「モスラ幼虫」を東宝様に許諾していただくまでについて。
▲上「モスラ幼虫 誕生バージョン」、下「モスラ幼虫 岩島戦バージョン」
■最初の申請はNG!!
東宝キャラクターの場合、許諾していただくまでにはいくつかの行程があります。原型監修、彩色監修、版権表記監修、仮申請、本申請です。
この「モスラ幼虫」の時は最初の原型監修でNGが出ました。「リアル」であり「ディフォルメ」ではないという事のようです。
かなり驚いたのが正直な所です。それまで発売してきたゴジラに比べてかなりディフォルメアレンジしましたし、頭身でも全体的なバランスでも実物より大幅にかわいく造形したつもりでした。本物との差という点ではゴジラ以上にディフォルメしたものとこちらでは判断していました。むしろいつも以上に「リアル」から離れてかわいくなったとすら思っていたぐらいです。
その都度、版元様の事情は変動があるのはどこの世界も同じ事だとは理解しているつもりでしたが、まさか「リアルだから」という理由でのNGになるとは夢にも思いませんでした。この頃は数ヶ月前から「最近(許諾が)厳しくなった」と他のソフビメーカーさん達からちらほら聞かされていた事は確かです。「今まで大丈夫だったのにウチの○○はOKがでなくて出せなくなりました」とか「羽沢組さんはどうですか?」と聞かれた事も何度かありました。一般のソフビコレクターさん達との間でも「△△さんの○○が出せなくなったらしいですね」という話題がいくつもあったぐらいで、他社商品で若干そういう事が多くなった事は弊社としても多少は感じていました(表にでないだけでおそらくはもっとそういった事があったようです)。他社さんに比べれば弊社のそれまで発売してきた商品はスムーズに許諾していただいてきました。許諾範囲から逸脱しているものを申請した事はありませんでしたから。
許諾させていただいている側の立場ではありますが、この時は引けませんでした。この時からしばらく何度かのやり取りが続きます。理解していただくために、日頃「こだわり」「見聞録」「裏話」で書いているものよりもさらに具体的にどの部分がディフォルメとしてアレンジしているのか、長文のテキストまで作ったほどです。私の理解力と説得力がないのか、どうしても版元担当者様のおっしゃる事に納得がいかなかったし、こちらの事も理解していただくのは難しいようでした。
そして「リアル」と「ディフォルメ」の法人同士もしくは個人の解釈、版元様の許諾範囲の解釈にまでになり、それまで4年以上許諾していただいたにもかかわらずG メモリーズセレクション全体のコンセプトへの疑問すら問われます。
これでダメなら今後のGメモリーズセレクションは全てNGになるだろう勢いでした。
続きはまた明日。
Part.4 造形のポイント
今日は「モスラ幼虫」の粘土原型の造形作業について。
▲左「モスラ幼虫 誕生バージョン」、右「モスラ幼虫 岩島戦バージョン」
■双子の差を明確にしての造形作業
双子の幼虫「太郎」「花子」の違いをまず明確にする事から作業は始まりました。
大きく分けて3つのポイントがあります。頬の凹凸の形状、ボディの下部分の傷やしわ、フジツボのような突起、そして一番の違いは頭の下部分である事がわかりました。特に頭の下(通常では地面についているので、見えない箇所です)は、誰が見てもはっきりと形が違うのがわかります。詳細は2010年5月29日~6月4日の「こだわり」の記事をご覧下さい。
そしてそれぞれの3つのスーツの違いも可能な限り調べたのですが、限界があります。どうしてもわからないアングルでは「太郎」は「太郎」の、「花子」は「花子」の「良いトコ取り」でまとめる事にしました。形状としてのデザインの「統一」をめざし、「ごまかし」のディフォルメに走らないように注意しながらです。
粘土原型を始めた時には、もちろんGメモリーズセレクションとしてのいつもの「カッコかわいく」のディフォルメテイストからは外れないように心がけて原型制作に当たっています。何でもかんでも凹凸やしわ、傷、形状を加えてしまえばディフォルメではなくリアルタイプになってしまいますので、「太郎」「花子」それぞれの大きな特徴になっている部分は絶対的に残し、細かな部分は簡略しています。具体的な差、結果はやはり「こだわり」をご覧いただいてご理解いただけると思います。
とにかく見れば見るほど大小の傷やしわが多すぎる怪獣でもあるのです。
その特徴を入れれば入れるほど、実際の「太郎」「花子」それぞれに似てきますが、その分リアルに近づいてしまいます。Gメモリーズセレクションでは、似ている事は大前提ですが、かわいさ重視ですし、羽沢組独自のディフォルメテストから外れる訳には行きません。そのさじ加減が難しい所でしたし、作っていて楽しい部分でもありました。
もちろん「太郎」「花子」共に体部分の関節の数は実物と同じにしていますが、頭身やサイズは弊社商品の「モスゴジ」に合わせるように4頭身で大きさも約13cmにしています。このへんも「こだわり」に書いた通りですので、そちらをご覧下さい。
造形の方向性が決まって、原型制作を始めてからは予想以上に楽しい作業でしたし、時間もゴジラに比べれば遥かに早いものでした。いつもは粘土を前にすると「ゴジラを作りたい!!」衝動にかられるのですが、幼虫制作時はそれを忘れさせるほどで、ゴジラ以外の怪獣でもこういう思いができるのだと発見しました。
Part.3 造形の問題(2)
今日は「モスラ幼虫」の造形にあたって見つかった原型作業の前での問題についての続きです。
▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。
■双子の造形の違いは妥協したくないのです!!
前回書きましたように劇中に登場する造形が統一されていなさすぎる幼虫です。しかも双子です。
「太郎」「花子」共にどれを基本にして作っていいのかわかりません。ましてや全6スーツとも各方向から見たアングルの写真がありませんし、映像で何度も確認しても6スーツとも全方向のシーンはありません。さすがにこれは困ってしまいました。
日頃新商品を作る時は他社さんの同一名商品は見ないように心がけています。そのメーカーさんのディフォルメテイストや個性に影響を受けたくないためや、間違った造形的情報の可能性もあるためにそれを取り入れないためです。が、この時だけはさすがに困ってしまい、他社さんではどうしていただろうと思い、自分のコレクションを引っ張り出して比べてみました。結果は2010年5月24日の記事にある通りです。
レトロタイプとしての商品が多いためか、ほとんどが明らかにオリジナルディフォルメの造形、もしくは他作品の幼虫との混合の形をしています。『モスラ対ゴジラ』の幼虫に近いものでも「太郎」「花子」そして3種類のスーツの混合としての形で作られているのです。ましてや私が持っているものの中で「太郎」「花子」ときちんと造形の違いを出しているものは1つもありませんでした。2体セットのものでも単に口が開いているかいないか、もしくは尻尾がまっすぐか曲がっているかだけの違いです。
これまで発売してきた弊社のソフビ商品ではできる限りディフォルメとはいえ、そのキャラクターの特徴や個性を入れたものにしたいと考え取り入れてきました。当然「モスラ幼虫」についてもそうありたい訳です。
弊社が知る限り、「モスラ幼虫」で双子の造形の差を作り分けている塗装済み完成品のソフビ商品はこれまでなかった訳ですが、やはり商品化するのであればそれに挑戦しなければGメモリーズセレクションらしくない「妥協」となります。
ディフォルメ商品なのですから、造形が明確にされていない所はオリジナルテイストのディフォルメアレンジにして、無理に双子の差も付ける必要はないかもしれませんし、お求めいただくお客様のニーズももしかしたらそこまでないのかもしれません。
が、「(双子の差をはっきりさせた造形の幼虫を)どこもやらないならウチがやろう!」という気持ちはもちろんありますし、何よりもどうせ作るならいつものように羽沢組らしく可能な限り徹底的にベストを尽くすそうと考えを改めました。他社さんは他社さん、ウチはウチ……と気持ちを切り替えて、もう一度写真や映像を確認してたくさんのスケッチと「太郎」と「花子」の差をはっきりさせるための注意書きを書き溜め始めました。
これほど何度も見ただろうかというぐらい映像をコマ送りでゴジラ作品を見たのは初めてだったかもしれません。まさか、ゴジラではなく幼虫でこのような事をするとは夢にも思っていませんでした。
Part.2 造形の問題(1)
今日は「モスラ幼虫」の造形にあたって見つかった原型作業の前での問題について。
▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。
■統一されていない双子の造形
「モスラ幼虫」を商品化するにあたって立ちふさがった大きな問題の1つは、幼虫そのものの造形でした。
同じように見えて「モスラ幼虫」は登場する作品ごとに全て造形が異なります(流用フィルムを使用しているものを除く)。
弊社で発売しようとするのは『モスラ対ゴジラ』に登場した双子の幼虫です。ですからその劇中に登場した幼虫の造形にすべく作業を開始した訳です。
原型制作前には、いつものように書籍、ムック本等の写真を集め、映像でも確認をします。
調べれば調べるほど幼虫の造形が大変である事がわかってきました。
双子の幼虫は、便宜上「太郎」と「花子」と呼ばせていただきます。ゴジラとの戦いで尻尾に噛み付いた方を「太郎」、岩影から先にゴジラに向けて糸を吹いた方を「花子」とします。もちろん劇中の設定ではこのような名前はありませんし、雌雄の差も明確ではありません。ここだけでの呼び名ですので誤解のないようにお願い致します。今後の「裏話」でもそのように呼称させていただきますので、あらかじめご了承下さい。
1. 同じ、もしくは似ているようで双子は完全に別の造形で作られている事。顔からボディのしわや傷まで同じではなく、特に頭の下(あごの裏や足の付け根等)には決定的な違いがあります。全く同じではないのです。
2. 劇中では双子それぞれ、ギニョールタイプ、自走式タイプ、操演タイプの3種類があると思われ、計6体劇中スーツが存在します。その6体がまた造形に差があるため、「太郎」「花子」それぞれでも統一された形をしていないのです。
3. さらにこの6体のスーツにおいて、全て左右非対称なのです。ボディはまだわかりますが、正面から見た時の顔の左右があまりにも違いがありすぎます。
4. 人気作品なので、資料が他の昭和初期作品に比べて多いかと思われますが、意外にも幼虫そのものの資料が少ない事。書籍、ムック本等で確認しても双子の造形の差について記載されているものが皆無で、当然3種類のタイプの差もまた明記されているものがないのです。中には『モスラ対ゴジラ』の記事でありながら他作品の幼虫の写真を使用しているものすらあります。
大きく3つに分けると以上の問題がありました。
1についてはおそらくそうだろう事は予想していたのですが、2と3、4については予想していなかった事でした。
そこでまず可能な限り、幼虫について把握すべく、モスラが登場する全ての作品の映像を見直し、資料を集める事から始めたのです。原型を作るための粘土を目の前にして、数日間この作業にあたりました。
その結果が2010年5月17~24日に掲載した「見聞録」です。興味のある方は見直してみて下さい。