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地方自治の危機(追記44)「自発的パラドックス」

2019-03-02 11:27:48 | 地方自治
 金子郁容著『ボランティア…もうひとつの情報社会…』p103に標記のことばがある。
 その意味の一つの例として、「仮に、エチオピアで飢餓に苦しむ難民救済のための募金に協力することを要請されたとする。すると募金箱に100円入れても、10,000円入れても、なぜもっと出せないのか、と言われるかもしれないという“つらい”立場に立たされることになる。」
 また「それでは、スーダンやバングラディシュについては何もしなくていいのか」と自責の念に駆られる。」

 すなわち「言いだしっぺは損をする。自ら進んで行動を取った人は、その後もいっそうの自発性を発揮することを期待され、しかも、傍観しているだけの人の分までの負担を負わされて“割を食う”」

先ほど、お亡くなりになった東北大学の西澤潤一名誉教授は、光通信などの特許が外国に持って行かれないように腐心された。しかし、学者が特許権利に首をつっこむことに、日本では当時猛烈な批判を浴びたという。これは「自発的パラドックス」にも通じる所があるのではないかと私は思った。

 社会が成熟していないと先見者は浮いてしまうが、西澤潤一氏はひるまなかった。今では「産学協同」も当たり前になった。

 自治体で新しいことができないのは、「かつて無難に過ぎた先例主義」を破ろうとする人には、「自発的パラドックス」としての「攻撃」に耐えることが必要になるからであろう。
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