建前と実際

　テレビである大学の先生が「地域のみんなで子育て支援を」と題し、例えば子どもを虐待した親を罰するのではなく、地域が親の子育てを支援するために、その人材育成をしているという。シニア世代には生きがい創りのためにも、子育て支援に参加して欲しいと。

　しかしながら最近は地域の幾つもの団体が、役員の成り手不足などのために終了したり、子どもに近いＰＴＡもが解散したところがある。シニアも一人一人は何かしたいと思っているが、例えば頭書のような「子育て」団体を作ることが難しい近ごろである。

地方自治の危機（追記６７）地方議会の質疑

　市町村の議会の様子が地元新聞に掲載されている。
　代表質問や一般質問の要旨となっているが、議員さんの質問の例は、「防犯灯LED化支援の現状と課題は？」、市執行部の回答は「□灯に補助し、LED化率は△％から〇％に上昇した。」、質問「新型コロナ緊急経済対策の検証は？」、答え「国県の施策と連動し、必要な支援ができている。」、質問「ヤングケアラーの実態把握と支援が必要。」、回答「実態把握や相談支援に努める。関係機関との連携強化を推進する。」等々
　議員が自ら、あるいは事務局に託して、執行部に聞けばすむことを議会でやり、しかも抽象的な回答をもらっているのは、いかにもかったるい。

総会の書面決裁

　コロナ禍のため、地域の住民組織や同好者組織などの年次総会が書面で行われるケースが増えた。顔を突き合わせての総会と違って、毎年同じ事業や決算の賛否だけならよいが、意見を言いたい場合が困る。地域の場合は、意見が出されても何もしない。
　一方、私が会長をしている趣味の会では、遠慮なく意見を出す人がいて、次回顔を合わせたときに話すことで了解してもらっているが、まとめ役の大変さを慮る人が少ない。
　ジェンダー論などで、主婦の家庭内労働の価値が認められないのと同じで、会の取りまとめ役の苦労を想像できない人がいる。

地方自治の危機（追記６６）現場知る弁護士を

　朝日新聞　2021.2.7の教育面「スクールロイヤー　現場知る弁護士もっと」を見て、誰でも自分の注目点には反応するものだと再認識した。記事の要旨は以下の通り。

「いじめや不登校、ブラック校則など、学校を取り巻くさまざまな問題の解決に向けて法律のプロの知恵を得ようと、スクールロイヤーを導入する動きが出ている。しかし神内さんは、日本の弁護士の多くは弁護士以外の仕事に就いたことがなく、現場感覚に乏しいため、社会のニーズに応えられなくなっていると感じ、学校現場で弁護士と教員の兼業をしている。

　現状の法律や判例自体が学校現場の実情に合っていない。文科省は、いじめ等の解決を期待しているというが、海外には弁護士がいじめを解決するという発想がそれほど無い。つまり現場を知らない弁護士では難しいのだ。」

　わたしが何年か前に本ブログのメインで書いたのは、自治体の危機に関して、弁護士ひいては裁判官がいかに自治体の現場を知らないかということであり、如上のスクールカウンセラーの文章に我が意を得た感じがした。

「知っていた」と「知らなかった」の弁明の軽重

　新聞報道によると、2021年2月9日「水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤が混入した問題で、福井県は、製造した小林化工に116日間の業務停止命令を出した。」「社長ら経営陣も違法性を把握していたと指摘した。」

我々の日常でも、何か行き違いがあったときなど、正直に「おかしいとは思っていました」とか「知っていました」などというと、「知っていてそうしなかった、あるいは間違ったのは余計いけない」と相手の怒りをあおる事になるのはよくある。嘘でも「知らなかった」と侘びを入れた方が、相手の怒りを抑えるらしい。

　安倍前首相の「桜の会」も似ている。「おかしいとは思っていたが、多分分からないと思っていた」とは決して言わない。