もう一つ、判決文の決め台詞。「市長について、いかなる実体法上の根拠に基づいて諏訪市に対して損害賠償義務を負うのか特定して主張していない」。これも文書で述べているだけで口頭説明が無いので、ひっくるめて煙に巻いているように思える。
「実体法上の根拠」という字面から考えると、「手続きの不始末は分かったが、それで何か具体的な損害が生じたのか」、と問われている感じがする。損害については、訴状において幾つも記述したが、裁判所は全く無視したか、損害と認めなかったと考えられるが、その辺を説明していただけない。
「実体法」とは民法・商法・刑法など、権利や義務がどのように発生・消滅するかを定めた法と用語辞書にある。これに対し、「手続法」とは、実体法上の権利や権利や義務を実現する手続きを定めた法で、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政事件訴訟法などであるという。
損害については何種類も裁判所へ申し上げたのであるが、たとえば「予定価格の無い発注引き合いは、手続きを誤っただけで実際にどんな損害が生じたか、それを原告が言わなければ、問題は無い」ということか。「損害を特定できなければ、手続法は守らなくてよい。つまり、手続きの透明性は必要ない」と裁判所は言っているに等しい。損害を見積もるにしても、情報はすべて被告側にある。
井上元著『住民訴訟の上手な活用法』(p.327)にあるように「その性質上金額算定が極めて困難な場合、民事訴訟法248号を適用して損害額を契約価格の5%とする」、あるいはp.225には、「住民訴訟を健全に機能させるためには、原告が行為の違法性について合理的な疑いを生ぜしめるだけの立証をなした場合には、証拠資料を提出しうる立場にある被告においてその合理的な疑いを解消しなければ違法性を推定するなど、住民の立証責任は緩和されるべきである」とある。合理的な疑いのある「ごみ収集量の正確さ」の求釈明をしたが、裁判所は無視した。
一方、以下の損害は分かりやすい。【地方自治の危機(4)】に述べたように、資源ごみ収集業務委託契約書によると、「常設ステーションへの『持込みごみ』については二つの業者に委託したが、それぞれの見積り額をそのまま認めていたので、高額の業者には過払いをしていたことになり、明らかに市民に損害を与えた。この事実は判決文にそぐわないので、裁判所はこれを無視したと考えられる。決め台詞を、この事実を裁判所がどう判断したかを言わないカムフラージュに使っている。
「実体法上の根拠」という字面から考えると、「手続きの不始末は分かったが、それで何か具体的な損害が生じたのか」、と問われている感じがする。損害については、訴状において幾つも記述したが、裁判所は全く無視したか、損害と認めなかったと考えられるが、その辺を説明していただけない。
「実体法」とは民法・商法・刑法など、権利や義務がどのように発生・消滅するかを定めた法と用語辞書にある。これに対し、「手続法」とは、実体法上の権利や権利や義務を実現する手続きを定めた法で、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政事件訴訟法などであるという。
損害については何種類も裁判所へ申し上げたのであるが、たとえば「予定価格の無い発注引き合いは、手続きを誤っただけで実際にどんな損害が生じたか、それを原告が言わなければ、問題は無い」ということか。「損害を特定できなければ、手続法は守らなくてよい。つまり、手続きの透明性は必要ない」と裁判所は言っているに等しい。損害を見積もるにしても、情報はすべて被告側にある。
井上元著『住民訴訟の上手な活用法』(p.327)にあるように「その性質上金額算定が極めて困難な場合、民事訴訟法248号を適用して損害額を契約価格の5%とする」、あるいはp.225には、「住民訴訟を健全に機能させるためには、原告が行為の違法性について合理的な疑いを生ぜしめるだけの立証をなした場合には、証拠資料を提出しうる立場にある被告においてその合理的な疑いを解消しなければ違法性を推定するなど、住民の立証責任は緩和されるべきである」とある。合理的な疑いのある「ごみ収集量の正確さ」の求釈明をしたが、裁判所は無視した。
一方、以下の損害は分かりやすい。【地方自治の危機(4)】に述べたように、資源ごみ収集業務委託契約書によると、「常設ステーションへの『持込みごみ』については二つの業者に委託したが、それぞれの見積り額をそのまま認めていたので、高額の業者には過払いをしていたことになり、明らかに市民に損害を与えた。この事実は判決文にそぐわないので、裁判所はこれを無視したと考えられる。決め台詞を、この事実を裁判所がどう判断したかを言わないカムフラージュに使っている。