自動ドア

自動ドアは時に誰もいなくても開く時がある。何かの電波を受信すれば反応するからだという。その日も開いた。そして閉じた。誰も出入りする者はいない。朝の四時だから新聞配達もまだ来る時間ではない。ホテルのロビーには、自分がカウンターにいるだけで他には誰もいない。奥にいる警備員に話すと昔同じことがあったと言った。そのときは髪の長い女性がカウンターの向こうに立っていたように見えたが、行ってみると誰もいなかったという。夜があけてから他の担当に話すと、外を通る車の発する電波に反応してドアが開くのではないか、と言った。しかし、自動ドアは内外二枚あって、その夜開いたのは内側だけだったのだ。あとで土地のことに詳しい人に聞いたらあそこはもとお墓だったからねえとのことだった。なるほど。