以前、外来で通院している方に、来院の手段をできるだけ聞くようにしているということを書いたことがあります。その時は、高齢者の自転車について書かせていただきました。今回は、認知機能が低下している患者さんの自動車運転について書きたいと思います。
<認知機能が低下している患者さんの自動車運転に対してどのように介入するか> AMAのガイド、JAMAのレビュー2011、AFPのレビュー2006から作成
•認知症があると、クラッシュのリスクが2倍以上
•MCI(軽度認知機能障害)もドライビング・スキルの障害と関連あり
①記憶障害のある患者にはルーチンで運転状況を質問(クラッシュ・車のへこみ・信号や交通表示の見損ない・他のドライバーからのクラクション・ニアミス・交通違反・家族から注意されてないか)
②可能なら(同乗する事のある)家族から情報収集(ごく軽度の認知機能障害の患者でも有用)
③2つの認知機能検査が推奨されている
Clock Drawing Testで異常、Trail-Making Test Bで180秒以上→未来のクラッシュodds rario2.21
④内服チェック(ベンゾ・抗ヒ・抗うつ・メジャー・筋弛緩薬)と飲酒
⑤必要に応じて運転中止をすすめる
Tips:「運転してはいけません」と文字に書いて渡す。患者自身の安全と共に他の運転者の安全のためであることを伝える。誰かを事故に巻き込んだらどのように感じるかを問う。経済的な面を強調。他の交通手段を家族などと共にアレンジ
⑥運転中止した後のフォロー(うつ、閉じこもり、虐待の有無のチェック)
⑦運転に関する話し合いや運転中止に関して拒否的な場合…
自己チェック表、周りで運転やめた方がよい人は?などの質問をし、気づきを促す
ここで重要なのは、事故がおこると他人を巻き込んでしまうことだと思います。その患者さんの問題ではなく、公衆衛生的な観点からも積極的に運転状況を聴取し、状況に応じて介入していくことが必要だと再認識しました。