東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動などについて書いていきます!

医療と介護Next2018年1月号に執筆記事が載りました

2018-02-25 14:11:15 | 講演・著書など

 少し前になりますが、医療と介護Next2018年1月号「アラナイ・アラハンの医療と介護」に、今永が執筆した「老衰(死)という未知の領域にどう向き合えばいいのか」という記事が掲載されした。

 今回は、<なぜ老衰(死)を論じる必要があるのか?>、<老衰(死)における臨床的な問題点とは?>、<老衰(死)に対して、医療・介護専門職はどのようにアプローチしていけばよいか?>という項目で、書かせていただきました。

 まだまだわからない部分が多い領域ではあり、歯切れの悪い表現も多くはなってしまいますが、少しずつ疑問を調べていきながら今後も機会があれば「老衰(死)」について執筆を行っていきたいと考えています。

 

 


第3回埼玉ポートフォリオ発表会

2018-02-25 13:45:36 | 初期・後期研修関連

 昨日は、さいたま新都心の地域医療教育センターにて、第3回埼玉ポートフォリオ発表会がありました。今回は学習企画として、「ポートフォリオができるまで~指導する・されるの裏側みせます~」と題して、当院の専攻医の深澤先生(東京医療センターから半年間当院で研修中)が作ったポートフォリオの作成過程を提示したうえで、「ポートフォリオをどのようなプロセスで作成していくのがよいのか」について、参加者の皆様とディスカッションを行いました。それぞれの施設の工夫などを共有する機会にもなり、個人的にも非常に得るものが大きかったです。

 学習企画のあとは、専攻医3名によるポートフォリオ発表会があり、それぞれのポートフォリオの発表とその内容に対するポジティブフィードバックや改善するとよくなる点など、ご意見を参加者からいただきました。

 今回で、3回目となりますが、着々と発表されるポートフォリオの質が高まっている気もしますし、埼玉内での施設間のつながりも強くなってきているのを個人的には感じています。

 どの施設で研修しているかではなく、オール埼玉で専攻医を育てていけるような環境づくりができればなと、夢がふくらみました。


「老衰」に関するインタビュー記事(М3.com)

2018-02-07 20:45:59 | その他

 1/19、1/26、2/2の3回に分けて、今永が受けたМ3.comという医療情報サイトに「老衰」に関するインタビュー記事がのりました。

いろいろなご意見もいただいており、参考になります。以前から感じておりますが、「老衰」を取り巻く問題については、医療者個々の経験や考えが大きく影響していると感じます。今回もそのようなことを感じるとともに、この問題について、議論がされていくとよいなと感じました。今年度は笹川記念財団から研究助成もいただき、全国の在宅医を対象に郵送式質問紙調査による横断研究を行うことができました。現在、結果をまとめておりますが、学会発表や論文投稿などを行っていく予定です。少しでも、今後の議論の参考となればよいなと思っています。

М3.comのインタビュー記事も、サイトに登録されている方は見ていただければ幸いです。


骨粗鬆症の治療薬についての疑問

2018-02-07 20:32:26 | 勉強会

  久しぶりのブログになります。また少しずつ再開していきたいと思います。今回は、骨粗鬆症の治療薬についての疑問を少し調べたので、それをのせたいと思います。

 

<骨粗鬆症の治療薬についての疑問>

疑問1:アレンドロン酸(ボナロン)は点滴と経口、どちらが効果ある?

 ボナロンの点滴を他院で今まで行っていた方が、紹介されました。薬剤のアドヒアランスも悪くなさそうだし、点滴でなくてもよいのでは?と思いましたが、もし点滴の方が効果あるのであれば続行かなと思い、調べてみました。 

Curr Med Res Opin. 2012 Aug;28(8):1357-67. doi: 10.1185/03007995.2012.709838. Epub 2012 Jul 20.

A multicenter randomized double-masked comparative study of different preparations of alendronate in osteoporosis - monthly (four weeks) intravenous versus once weekly oral administrations.

 アレンドロン酸の4週毎900μgの点滴群と週1回35㎎内服群を、RCT(多施設)で比較した研究。48~87歳の骨粗鬆症の患者325名(日本人)を対象として、52週追跡。プライマリアウトカムは、骨密度(BMD)。BMDは両群とも増加し、有意差はなかった。安全性に関しても両群に差は認めなかった。

⇒この結果から考えると、服薬アドヒアランスが保たれていれば、点滴と内服とであまりかわりないのかなと感じました。ちなみに薬価は後発医薬品で、点滴が2100円程度・35mg内服が1か月分で1020~1230円程度(255~310円/錠程度)となります。

 

疑問2:デノスマブと経口ビスフォスフォネート、どちらが効果ある? 

 プラリアなどのデノスマブを今まで定期的に打っていた方で転医されてくる方がやはりいらっしゃいます。これも、内服ではだめかなと思う部分もあり、調べてみました。

Int J Clin Pract. 2012 Apr;66(4):399-408. doi: 10.1111/j.1742-1241.2011.02806.x. Epub 2012 Feb 7.

Comparison of clinical efficacy and safety between denosumab and alendronate in postmenopausal women with osteoporosis: a meta-analysis.

 デノスマブとアレンドロン酸の効果と安全性を、閉経後の骨粗鬆症の女性を対象として調べたメタ分析。6ケ月毎のデノスマブ60㎎皮下注と週1回アレンドロン酸70㎎内服とを比較。デノスマブ群はアレンドロン酸内服群と比較して、骨折のリスクに関しては有意差がなかったが、骨密度は有意に増加した。感染症や悪性腫瘍の合併に関しては両群で差がなかった。

⇒骨折に関しては有意差がないのが判断の難しいところですね。アレンドロン酸も日本での通常量の倍である点も判断を迷わせます。ちなみに薬価はプラリアが3万程度となります。やはり、高いは高いですね…。

 

疑問3:費用対効果が高い治療は?

 ここまで調べてきて、費用の面がやはり気になってきました。費用対効果が高い治療はどれなのかを調べてみました。

Endocr Pract. 2017 Jul;23(7):841-856. doi: 10.4158/EP161678.RA. Epub 2017 Apr 27.

CLINICAL EVALUATION OF COST EFFICACY OF DRUGS FOR TREATMENT OF OSTEOPOROSIS: A META-ANALYSIS.

 費用対効果の観点から骨粗鬆症の治療を調べたメタ分析。「骨折の予防」を効果としている。患者の平均年齢は67.3 ± 8.1 歳、フォローアップ期間は25.5 ± 12.6 月。最も費用対効果が高い最初の治療は、ジェネリックの経口アレンドロン酸とジェネリックのゾレドロン酸点滴であった。経口アレンドロン酸で治療中に骨粗鬆症に伴う骨折を起こした際の治療の変更に関しては限られたデータしかなかったが、ジェネリックのゾレドロン酸点滴は、アドヒアランスや副作用の観点から考慮してもよいかもしれない、と結論。

⇒治療薬の使い分けは専門医の方からすれば、いろいろと個別化して使い分けるのかもしれません。しかし、一般医としては、この結果も考えると、骨折の一次予防としては、とりあえず経口のボナロンでいいかなと思ってしまいました。