久しぶりのブログになります。また少しずつ再開していきたいと思います。今回は、骨粗鬆症の治療薬についての疑問を少し調べたので、それをのせたいと思います。
<骨粗鬆症の治療薬についての疑問>
疑問1:アレンドロン酸(ボナロン)は点滴と経口、どちらが効果ある?
ボナロンの点滴を他院で今まで行っていた方が、紹介されました。薬剤のアドヒアランスも悪くなさそうだし、点滴でなくてもよいのでは?と思いましたが、もし点滴の方が効果あるのであれば続行かなと思い、調べてみました。
Curr Med Res Opin. 2012 Aug;28(8):1357-67. doi: 10.1185/03007995.2012.709838. Epub 2012 Jul 20.
A multicenter randomized double-masked comparative study of different preparations of alendronate in osteoporosis - monthly (four weeks) intravenous versus once weekly oral administrations.
アレンドロン酸の4週毎900μgの点滴群と週1回35㎎内服群を、RCT(多施設)で比較した研究。48~87歳の骨粗鬆症の患者325名(日本人)を対象として、52週追跡。プライマリアウトカムは、骨密度(BMD)。BMDは両群とも増加し、有意差はなかった。安全性に関しても両群に差は認めなかった。
⇒この結果から考えると、服薬アドヒアランスが保たれていれば、点滴と内服とであまりかわりないのかなと感じました。ちなみに薬価は後発医薬品で、点滴が2100円程度・35mg内服が1か月分で1020~1230円程度(255~310円/錠程度)となります。
疑問2:デノスマブと経口ビスフォスフォネート、どちらが効果ある?
プラリアなどのデノスマブを今まで定期的に打っていた方で転医されてくる方がやはりいらっしゃいます。これも、内服ではだめかなと思う部分もあり、調べてみました。
Int J Clin Pract. 2012 Apr;66(4):399-408. doi: 10.1111/j.1742-1241.2011.02806.x. Epub 2012 Feb 7.
Comparison of clinical efficacy and safety between denosumab and alendronate in postmenopausal women with osteoporosis: a meta-analysis.
デノスマブとアレンドロン酸の効果と安全性を、閉経後の骨粗鬆症の女性を対象として調べたメタ分析。6ケ月毎のデノスマブ60㎎皮下注と週1回アレンドロン酸70㎎内服とを比較。デノスマブ群はアレンドロン酸内服群と比較して、骨折のリスクに関しては有意差がなかったが、骨密度は有意に増加した。感染症や悪性腫瘍の合併に関しては両群で差がなかった。
⇒骨折に関しては有意差がないのが判断の難しいところですね。アレンドロン酸も日本での通常量の倍である点も判断を迷わせます。ちなみに薬価はプラリアが3万程度となります。やはり、高いは高いですね…。
疑問3:費用対効果が高い治療は?
ここまで調べてきて、費用の面がやはり気になってきました。費用対効果が高い治療はどれなのかを調べてみました。
Endocr Pract. 2017 Jul;23(7):841-856. doi: 10.4158/EP161678.RA. Epub 2017 Apr 27.
CLINICAL EVALUATION OF COST EFFICACY OF DRUGS FOR TREATMENT OF OSTEOPOROSIS: A META-ANALYSIS.
費用対効果の観点から骨粗鬆症の治療を調べたメタ分析。「骨折の予防」を効果としている。患者の平均年齢は67.3 ± 8.1 歳、フォローアップ期間は25.5 ± 12.6 月。最も費用対効果が高い最初の治療は、ジェネリックの経口アレンドロン酸とジェネリックのゾレドロン酸点滴であった。経口アレンドロン酸で治療中に骨粗鬆症に伴う骨折を起こした際の治療の変更に関しては限られたデータしかなかったが、ジェネリックのゾレドロン酸点滴は、アドヒアランスや副作用の観点から考慮してもよいかもしれない、と結論。
⇒治療薬の使い分けは専門医の方からすれば、いろいろと個別化して使い分けるのかもしれません。しかし、一般医としては、この結果も考えると、骨折の一次予防としては、とりあえず経口のボナロンでいいかなと思ってしまいました。