昨日の勉強会の内容についてのせます。以前、外山先生が<高齢男性とデイサービスなどへの社会活動参加>というテーマで勉強会をやってくれました(今年1月20日の記事にあります)。そのときに、「ついついデイに行ってもらうことが目的になってしまうことがあるが、まず、介護負担軽減を目的とするのか、それとも行くことで患者さんのQOLに(現在もしくは将来)寄与することを目的にするのか」ということを考える必要があるよね~というディスカッションが出ました。そのときに、そもそもデイケアやデイサービスがどれくらい患者さんにとって、もしくは家族の介護負担軽減に対して効果があるものなのかと思ったので、今回認知症患者さんを例に、調べてみました。
<認知症患者に対するデイケア・デイサービスの効果は?>
★Zank Sらの報告(Journal of Gerontology 2002)
高齢者(平均79.5歳、認知症以外の高齢者含む)を対象とした縦断研究。6か所のデイケアで施行。
デイケア群43例(週2回以上のデイケア)とコントロール群40例(デイなし)。
年齢・性別・身体機能・精神状態・社会的状態をマッチングして、10日後・3か月後・6か月後・9カ月後のWell-being, dementia symptoms, health indicator, ADLを調査。(デイケア群は79%、コントロール群は63%が認知症と診断)
デイケア群で、Well-being・dementia symptomsの悪化が有意に低かった。
介護者の介護負担・ Well-beingでは2群間に有意差はなかった。
★Femia EEらの報告(Gerontologist 2007)
認知症患者を対象として、デイサービス群133例とコントロール群68例の2群に分けて、介護者の観察によるBPSD症状を調査。デイサービス群では夜間の睡眠に関連する症状が有意に少なかった。抑うつ・焦燥に関しては少ない傾向があったが有意差なし。
★Mosselo Eらの報告
認知症ある高齢者を対象として、デイケア群30例とコントロール群30例の2群に分けて、2か月後の認知機能・身体機能・BPSD(NPI score)・介護負担(CBI)を調査。(年齢・認知機能をマッチング)
デイケア群では、2か月後のNPI score・抗精神病薬の処方数・CBIは有意に低下した。(認知機能・身体機能は有意差なし)
★Tretteteig Sらの報告(Aging Ment Health 2016)
認知症患者の家族介護者にデイケアが与える影響についてのシステマティック・レビュー(質的・量的研究の両方を統合)
家族介護者は、レスパイトサービスと認知症患者のケア能力を改善するサポートサービスの両面で捉えていた。デイケアの質は、デイ使用や家族介護者のケアのモチベーションに影響していた。
これらをまとめると、デイは、認知症患者のADLや認知機能自体には効果はないかもしれないが、認知症の症状にはよい影響があるかもしれないし、家族の負担は減らしそうではある。やはり、デイの質は重要かもしれない。
でも、RCTとかはあまり見当たらず、ある程度マッチングはされているものの、デイに行く人・行かない人によってバイアスはありそうですよね。日本の研究などはほとんどありませんでした。そもそも海外のデイってどんな感じなのでしょうかね・・・。国によっても違うのでしょうけど。デイの質が重要なのは納得です。というか、臨床的にはその人に合うデイを選択することも大事ですよね。それはデイの内容もそうですし、地域性も関係あると思います(昔からの知り合いがいるかどうかなど)。そのあたりも含めて介入した研究なんかあると面白いですよね。