・効果の乏しい化学療法などを行わなくなる?
Janeらの報告:医師と患者の予後に関する相違が大きいとより延命治療を選択する(1998年、JAMA)
・身辺整理や残りの人生やりたいことを行える?
InnesらのSys review:ある程度の予後告知は、患者の不安を減らし、将来の計画をファシリテートする(2009年、Palliative Medicine)
□患者は予後告知を望んでいるのか?
InnesらのSys review:2つの量的・2つの質的研究で、治らない・限られた命である事の情報はほとんどのPt望んでいる。実際の期間を知りたがる人は少ない(よいニュースなら知りたい)。
□予後告知を行うことにより、不安が増したり、うつになりやすい?
Barnettら(Psychooncology 2006) :106例の進行がん患者を対象としたインタビュー調査。予後の情報を望んでいた49%のうち、約半数が予後について十分理解しており、22%が大まかな理解はあるが、非現実的な時間軸であった。この2つの群で心理的負担感は有意差あり。(「十分理解」群のほうが少なかった:身体症状の影響?)
実際にホスピスに登録した人の15%が6ヶ月以上の予後で、15%が7日以内に亡くなっていた(Christakisら:NEJM1996)。
PPIも、予後3週・6週を感度・特異度80%程度
□日本ではどうなのか?
★どのような希望?
・Sanjoら(Annals of Oncology 2007):general populationとPCU遺族対象のアンケート調査
6か月の余命:一切議論したくない1割、詳細に話してほしい4割
1~2か月の余命:一切議論したくない2割、詳細に話してほしい4割
・滝沢ら(臨床泌尿器科 2004):がん専門病院の初診時にアンケート調査⇒75歳以上では予後告知の希望は有意に少なかった。
★実態は?
田代ら(緩和ケア 2013):6つの診療所において在宅緩和ケアをうけたがん患者の遺族を対象としたアンケート
病院医師から77%が病名告知。質的予後が46%・量的予後が25%
どの程度事前に患者が告知希望をしていたかについては半数の家族が「わからない」と回答。
質的な予後告知はある程度、本人にも必要なのかなとは思います。量的な予後告知はおそらく個別化が重要なのでしょう。Sanjoらの報告などはそれを表しているのかなとも思います(ただし、実際のがん終末期患者を対象としていない点で参考程度にしかならないかもしれません⇒詳細に話してほしい人のほうが多いから話したほうがよいとはならない、一切議論したくない人がいることにも注目すべき、かつこの割合ががん終末期患者でどうなるのか)。どの程度患者が知りたいのかを様々なタイミングで探りを入れるのは重要なのでしょうね。でも実際は非常に難しいのかなと思います。
質的予後にしても、量的予後にしても、個人的には実際の臨床にあてはめるときに、考えなくてはならないことが2つあると考えてます。1つはなんのために予後告知をするのか(本人、家族とも)。もう1つは「言わずもがな」も重要。家族に伝えるにしても、本人に伝えるにしても、医療者の安心やエゴのために伝えることは少なくしたいなと思っています。